多くの人に読んでほしい
2025/03/16 09:39
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今現在の日本経済が困窮している理由が明快に書かれている。
政治家や経営者達が大いに反省するのはもちろんのこと、我々も様々なことを学び、そうした政治家や経営者を支持しないことは大切なのだと思う。
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わかりやすくて勉強になった。最近読んだ日本経済の故障箇所が、いくつか引用されており、軌を一にする論もあった。そのおかげなのか、多少理解できた個所が増えたように感じる。文章が読みやすいのもあるかもしれないが。
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バブルの時期での労働時間の変更、コロナ時期での残業時間規制でどれだけ労働投入率に影響があったか、それにより正しいインフレを作ることができてなかったのかなど私にとって新しい視点で主張をしている。
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グローバル化の果てに、情報〔文化も含む〕が、各所で寸断、途絶しつつあるのが、現状の世界なのかな。
気分は、横井さん、小野田さんというところか。玉音放送は、勿論、無い、けどさ。アノミー、無連帯感が、拡大しそうだな。分断統治の一種といえば、そうかもしれん。
各章に死角の説明があるのは、分かりいいな。
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はじめに
第1章 生産性が上がっても実質賃金が上がらない理由
第2章 定額昇給の下での実質ゼロベアの理由
第3章 対外直接投資の落とし穴
第4章 労働市場の構造変化と日銀の二つの誤算
第5章 労働法制変更のマクロ経済への衝撃
第6章 コーポレートガバナンス改革の陥宑(かんせい)
第7章 イノベーションを社会はどう飼いならすか
おわりに
参考文献
索引
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日本の実質賃金が低迷しているのは生産性の問題ではない
働き方改革で残業を増やせなくなったのは供給サイドの柔軟性を失わせた
イノベーションには収奪的なものと包括的なものがある
日本は生産性が上がっても実質賃金が引き上げられていない
日本の大企業が利益剰余金を積み上げている
合成の誤謬
長期雇用制を維持するため非正規雇用に依存してきた
ダークサイドイノベーション、収奪的な社会制度
日本は社会制度の漸進的改革を怠ってきた
定期昇給により、ペースアップを行わなくても個々の労働者の賃金はあがるからベースアップの必要がなく、日本の賃金はあがってこなかった
グリードフレーション
強欲インフレ
イノベーションによって本来機械化されるべきは低賃金層だが、低コストすぎてイノベーション化の力学かはたらかず、中間層が機械化される
そして仕事を失った中間層が低賃金層に流れ込む
エネルギー、輸送、情報通信
このシステムのいずれもが大きく変貌したときにテクノロジーが、人々に繁栄を導く
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これを書いている今日は、2025年3月12日。日経新聞の夕刊に下記のような記事がある。
【引用】
2025年の春季労使交渉は12日、大手企業の集中回答日を迎えた。基本給を底上げするベースアップ(ベア)に相当する賃金改善について、川崎重工業やNECは労働組合の要求に満額で解答した。各社の回答額は24年水準を上回る見通しで、物価高や人手不足に対応した賃上げが相次いでいる。
【引用終わり】
本書は、日本経済の低迷の要因や背景について、筆者なりの分析・見解をまとめたものであるが、低迷の理由の一つとして、大企業が業績が回復したにも関わらず、国内での投資や賃上げを行わず、儲けを内部留保に回したことをあげている。特に賃上げが行われず、雇用者所得がほとんど伸びなかったために、国内消費が盛り上がらず、それが更に企業の投資意欲を削ぐ、という悪循環が起こっていたことを指摘している。
大企業の賃上げには、一般的に、ベアと定昇がある。ベアは賃金カーブそのものを上方に修正すること、定昇は、同じ賃金カーブ内を上側に登っていくことと考えるのが一般的である。日本の企業は一時期、ベアを凍結していた時期があったが、大企業の場合には、それでも定昇が行われることは一般的であった。大企業の定昇は、通常、2%強程度はあるので、それが10年・15年と積みあがると、個々の従業員にとっては、ベアがなくても、相当に賃金は上昇する。しかし、それは同一賃金カーブ上を動いているだけの話なので、全員分の累積(積分値になる)は、変わらない(各年齢に同じだけの人数がいた場合には)、すなわち、必要コストはゼロになるのである。また、大企業の従業員は、このように、定昇分の賃上げを享受できたが、それすらも得ることが出来なかった労働者(中小企業や非正規など)は沢山いる。要するに、大企業でベアが凍結されたことが、日本人全員の賃金水準を抑え込んだのだということを、筆者は述べている(私の理解に誤解がなければ)。
そういう意味で、上記の日経新聞の夕刊記事は、その流れが変わりつつある可能性を示している。しかしながら、最近は、物価も上昇しているため、ベア率が物価上昇率以上でなければ、実質賃金は上がらない。そこまでの賃上げが行われるか、しかも、今年だけではなく、何年も(これまで凍結されていた分くらいは)続けて行われて初めて、日本人の平均的な賃金は上がることになる。
こういった流れが続くことを願っている。
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他国に比べて日本の実質賃金があがらないことをずっと疑問に思っていて、それは日本の生産性が低いから賃金も上がらないというようなことを聞いていて、なんとなくそうなのかなと思ってだけれど。
実際は2023年までの四半世紀で、日本の時間当たり生産性は3割上昇したのに、時間当たり実質賃金はの横ばいとのこと。近年のインフレで正確には3%程度下落とは。
仕方がないのかな、と思っていたけど回避できる策があると示す著者。
そういう視点があるんだという発見。
でも、わかっていても実際に意識やシステムを変えるって難しいのだろうな。
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▶図書館にあり。(予約数:6人待ち、2025-05-02)
●2025年3月14日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。定年を迎えたぐらいの年齢の方。
「Amazonベストセラー!
河野龍太郎氏は、四半世紀にわたってなぜ日本が経済停滞していたのかを解き明かした。
生産性が1.3倍に上がっているのに、大企業が人件費をちっとも増額しないで、内部留保したり海外投資に注ぎ込んだから、家計が犠牲になったのだ、と。
しかも大企業の経営者は、良かれと思って無自覚のうちに行っているので、気づいていないのだ。
政治家は財務省の言う事ばかり鵜呑みにせず、もっと勉強して、本当に国が豊かになる政策を推進してほしい!」
●2025年5月2日、Facebookで湘南美容外科の相川佳之さんがこの本を紹介してた。(2025-04-25)
相川佳之さんの投稿:
毎日の読書はこちら? 株価は上がって物価も上がって給与が20年間あまり上がらない理由が書いてあるかな?
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必読の一冊。過去約30年間休みなくサラリーマンとして過ごしてきたこの時代が、どのような時代で、またもっと違うスタイルはどのようにあり得たのかについて、大きなヒントと総括をいただいた書。一人一人頑張っているのに、どうして生活が向上しない(苦しいまま)のか、どうして他の国にに比べて給料が上がらないのか、どうして組織が変わらないのかなど、このサラリーマン生活で抱いてきた疑問について大変貴重な視座が得られた。
では今後どうすれば良いか、イノベーションに関する論考(労働の限界効用が向上する形での推進)がそのヒントを与えてくれる。が、その多くは、我々読者の今後の1日1日の対応や行動によって社会の変化を良い方向にもたらしていく。そのような行動の起点になる書でもある。トップエコノミストからの警告と啓蒙の意味は大きい。
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エコノミストによる現状の日本経済論。
日本の労働者の実質所得が上がっていないのは生産性が向上していないからではなく、企業経営の問題であること。労働者の所得が増えないことにより、長い経済の低迷、社会問題の噴出につながっていること。そのためには現状の収奪的な経済を見直し、応接的な経済に移行すること。包摂的な経済に移行していくためには、本質的には収奪的であるイノベーションを社会が飼い慣らす必要性があることを本書では訴えている。
その他印象的だったのは「ジョブ型雇用」が新しい雇用形式などではなく、産業革命成立期から有る古い雇用形式であること、既に非正規雇用や、中小企業での労働者は以前からジョブ型雇用であるという指摘だ。
以上本書の内容については概ね同意出来るし、納得感しかない。
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巷にいわれている日本は生産性が低いから成長からもデフレからも抜け出せないというテーゼにたいして著者は違う意見を投げかけている。 生産性は上がったにもかかわらず賃金増加に回さずに内部で利益を溜め込んできた大企業がその原因だと。 さらに、社会全体では民間セクターで蓄積された富を広く再配分できない社会構造で一部の層に富が集中している、と。そこには人口構成の問題、労働力の流動性の欠如などの構造も加わっているように思う。いまようやく賃金が上がってきているので、著者の考察がどのように現実かしていくかが見もの。 また、振り返ると、90年代に新卒で労働市場に入った自分の世代は、キャリアがまるまる失われた30年の期間に重なっている、少し複雑な気持ちにもなった。
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https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480076717/
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/mplusft/backnumber/202504/23593_202504010705.html
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議論の前提となる、日本の時間当たりの労働生産性がドイツ・フランス以上に上昇しているというデータ(OECDとのこと)を、この本以外からは見つけられない。
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「安い日本」という言葉が最近よく聞かれる。
諸外国に比べると異例なことに日本ではこの30年間実質賃金が一切伸びておらず、そこに円安も加わって、日本は国際的にみればサービスを安価に提供する貧しい国になってしまった。
その原因は何か。
巷では少子化を所与として「労働力不足だから生産性を向上すべし」とか、「内需は限りがあるから海外投資を盛んにすべし」とか「もっとイノベーションを」とか言われる。
著者によるとこれらはどれも誤りだという。
本書の興味深い主な主張は以下の通りだ。
・過去30年のデータを拾うと日本の生産性は30%も向上している。にもかかわらず実質賃金が上がらないのはバブル崩壊以降、大企業が実質ゼロベアしか行わず内部留保をため込むことに専心したから。そのせいで内需が刺激されず、結果として企業は国内投資を行わない負のスパイラルに陥ってきた。
・海外投資は盛んになったが、その利益還流の流れに日本の家計が組み込まれていないため、日本経済の発展にはあまり寄与していない。
・安価な労働力の登場(派遣社員や女性・高齢者等)が企業の賃金上昇機運を阻んだ。
・近年の「働き方改革」(=残業規制)が供給力不足を招き、円安インフレを招き、実質賃金が下がり、さらなる個人消費の弱さを招いている。
・メインバンク制崩壊後に輸入された欧米式コーポレートガバナンス(株主第一主義)が労働者への利益還元を阻んでいる。
・様々なイノベーションは、専ら効率化=人員削減の方向にばかり向けられて、労働者の限界生産性を向上させる方向に向いておらず、経営者ばかりがその果実を得ている。
生産性が実は向上しているというのも驚きだが、実は日本経済の強さは景気上昇局面に「残業」というかたちで労働力投入量を調整できる柔軟性にあったのだという主張は衝撃だ。
そうか・・・・ブラックな労働環境が日本の高度経済成長の源泉だったのか・・・。
さて、この「失われた30年」において、上記のような様々な要因が複合的に連鎖して招かれたのが今の「安い日本」なのだという解像度が上がってきた。
2025年現在の日本を見ると、円安インフレに遂に耐えかね上がり始めた賃金、遂に限界まで来たと感じる人手不足、行き過ぎた株式市場礼賛を受けてか散見するようになったMBOによる上場廃止・・・・等、著者が論じた問題点について変化の兆しはみられるように感じる。
日本が長いトンネルを抜けて活力を取り戻すかどうか、本当に今が正念場なのだろう。
一個人としては、選挙の際に経済政策を考える上でも参考になる一冊だと思う。