ブリュメール18日

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大佛次郎賞で興味をもって挑戦。ベルばらも読んでるし面白く読めるかもと思った浅はかな私を許して，という本だった。後書きで，これでも簡単に書いてもらえているという事実に，さらにのけぞることになり。ほんとすみません，でも何となく理解できたところもある気がしていて，上澄み３％くらいは読めているかもしれないと思いたい。

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ブリュメール18日のクーデターとその背景

総裁政府の制度的脆弱性と不安定化
国内外の危機的状況
革命家たちの思惑とナポレオン・ボナパルトの台頭

2. プリュメール派の形成と目的

クーデターを主導した政治勢力の思想と戦略
「革命の成果を守るために」行動した革命家たち
「国王なき王政支持者」とも表現される安定志向の穏健共和派

3. ナポレオン体制の成立と革命との連続性・断絶

革命期からの制度的連続性を持ちながらも新たな方向性を示す政治体制
民主主義を制御し、権威主義体制を形成していく過程
革命の理念と秩序の維持という二つの要請の間での葛藤

4. 選挙制度改革の試み

シィエスが考案した名士リスト制度の導入
「選ばない人民」を創出し、統治権力による任命の余地を拡大
個別投票の導入による政治的熱狂の抑制

5. 地方行政システムの再編

プリュヴィオーズ法による地方行政の集権化と効率化
「執行の単一性」原則と地方行政官の任命制
革命期の地方分権から中央集権への揺り戻し

6. 安全保障国家の形成

治安維持体制の強化と憲兵隊の改革
特別軍事法廷の設置による反乱鎮圧
強硬手段による「国内の反革命運動を終結」させる試み

重要な事実と引用

「プリュメール一八日が革命家たちによって革命の成果を守るために主導された事件」(p.107)
総裁政府体制は「生まれつきの欠陥がある」(p.111)とされた
プリュメール派は「強力な執行権力を打ち立てることで政府を再編し、安定した政治体制を確立する」(p.124)ことを重視
名士リスト制度は「選ばない人民、可決するが議論しない立法陪審院」(p.132)という特徴を持つ
プリュヴィオーズ法は「執行の単一性」や「地方行政官の任命制」(p.147)を導入
個別投票は「多くの市民に投票させること、選挙集会での騒動を避けること、反体制派が民衆を扇動するのを避けること」(p.169)を目的とした

分析
ブリュメール18日のクーデターは単なる軍人の野心ではなく、革命過程で生じた矛盾や危機に対する革命家たちの対応の結果であった。プリュメール派は革命の成果を維持しながら安定した統治体制を築くことを目指し、民主主義の理念と秩序維持の間で葛藤していた。導入された諸制度（名士リスト制、地方行政改革、安全保障体制強化）は国民の直接的政治参加を制限し中央集権化を進める側面を持ち、ナポレオン体制は革命の遺産を継承しつつも権威主義的方向へと変化していった。