エルドアンが変えたトルコ 長期政権の力学

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トルコの首都はアンカラ。過去20年で当たりGDPが約3倍、最大の産業は自動車。日本の2倍の広さの国土であり、1割が欧州、9割がアジアに位置する。国民84百万人以上で、主にイスラム教徒。軍事的には、NATOの加盟国。経済的にはEUの準加盟国。トルコ共和国の誕生は、第一次世界大戦でオスマン帝国が同盟国として敗戦したことがきっかけ。バルカン戦争でヨーロッパ領土の大部分を失っていた。オスマン帝国はさらに第一次世界大戦でアラブ領土のほとんどを失った。その上、連合国軍は残ったアナトリア領土分割を開始。ケマルが祖国解放戦争を指導し、外国勢力を駆逐した後、1923年に共和制を樹立。

昨年末、イスラエルによるガザ地区への軍事作戦について「イスラム教徒としてわれわれはこの弾圧を止められないことを恥じている。ネタニヤフのしていることはヒトラーがしたことと何か違うのか」と、イスラエルのネタニヤフ首相を激しく非難。中東紛争でもウクライナ紛争でも、重要なポジションにあるトルコ。その大統領エルドアンの人物像を知りたかったが、本著は彼の生い立ちや人物を描くものではなく、政治手法や長期政権の力学に迫るものだった。少し狙いと違ったが、まあ、それはそれでという感じで読み始める。

一党優位性とは、同一の政党が3回の民主的選挙で連続して議会過半数を獲得している政党制
日本、オーストラリア、チリ、スリランカなど。経済実績が政権を長期化。エルドアン率いる公正発展党AKP政権は市場活性化のため、外国投資推進策として不動産購入を含めた国内外投資家を対等に扱う外国直接投資法の成立、貿易自由地区を輸出加工地区に変更し、インフラや税制を国際標準に近づける。更にスカーフを禁止するなど、世俗主義化した。

政治的なテクニックについて。国民が熱狂するスポーツが政治と密接に結びついている。エルドアンの場合はサッカー。政治理論では、政治は民主的選挙で勝つために、国民を所得順に並べたときに、ちょうど真ん中の位置の人を最も利する政策を提案するのが有効と考えられる。

また、エルドアンの演説における常用語句について。「一部のもの、我々は、誰も気を悪くしないでほしい、国民の意思…」ポピュリスト言説の狙いは、我々とそれ以外の両極化。

期待と異なる内容ながら、勉強にはなったので、良しとしようかと。