紙の本
中高生のこどもを持つ、親の世代が読むのにも適した良書
2000/11/05 11:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桜井まい - この投稿者のレビュー一覧を見る
分かりやすい文体で、少年・少女の性、生き方を描いている。学校の性教育の授業などで取り上げても、全く違和感は感じられないだろう。
そのくらい作品の世界観は明瞭で、あっけらかんとしている。中高生のこどもを持つ、親の世代が読むのにも適した良書だと思う。
紙の本
孤独と静寂と
2001/11/06 10:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
プールに潜った時に感じる茫洋とした静けさは、ざわざわした教室の中で感じる孤独に似ている。この小説を読むたびに、いつもそのことを思い出すのは、なぜだろう。
ゲイのトシヒコ、性同一性障害で少年の肉体を持つヤマダ、不安神経症と戦うミカコ。人は誰でも孤独を抱えて生きているという事実に、うすうす気づき始める、高校生という時間の中で、登場人物たちの抱える孤独は、深い海の底を思わせるような静寂に満ちている。
藤野千夜は、淡々とした軽やかな語り口の中で、それぞれの孤独と向かい合う3人のティーンネイジャーを、決して甘やかさない。時に残酷なほど彼らを突き放す。けれどそのことがかえって、ぞっとするほど恐ろしい孤独というものの正体を、忘れがたいほどの美しさで、読む者の胸に迫ってくる。
珠玉の一遍である。
投稿元:
レビューを見る
もうちょっと若い頃に読んだらまだちょっとは面白かったかもしれない。
ゲイとオカマ(というかまぁ性同一性障害)の少年と登校拒否の少女の話。
でも暗くもなければ悶々としているわけでもないのは結構好感が持てました。
でも何だか共感できず。
どちらかといえば表題作よりは一緒に収録されてた「午後の時間割」のほうが面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
買った当初は失敗した、と思った。けど、年を重ねていくうちに大はまり。手放せない一冊になりました。
思春期(特に高校生世代)って排他と度量が紙一重。これは受け入れるけどこれは無理、の線引きがものすごく曖昧で、たぶんどこまでが自分に害を及ぼす存在かわからないから、とりあえず抱き込む、ないしは突き放す。そのギリギリな加減をリアルに描いている。「午後の時間割」はちょっと毛色が違うんだけど、ハルコのけだるさがたまらない。
これ、ぜひ中高生のうちに読んでほしい。できれば、主人公たちと同じ高校生で。
投稿元:
レビューを見る
同性愛、と言えば敬遠する人もいるだろう。差別とかそんなことじゃなくて、ちょっと重そうとかそんな風に。けれどこの作品はさっくりと、まるで当たり前のようにそれを題材にしている。人よりちょっと悩みが増えるそれだけだとでも言うように。本当にそれだけだとさわやかに読める。恋する相手が同姓であっても、恋をすること自体に何も違いはないんだなと改めて思った。一昔前の高校生っぽい恋の話。
投稿元:
レビューを見る
スカートとキュロットの分厚い紙一重。
どうしようもない下らない馬鹿らしいことで傷つけ傷つけられる幼さの痛いこと!
投稿元:
レビューを見る
誰でもみんな、問題を抱えてる。ゲイも性同一性障害も、そんなに大問題じゃない。こういう気持ちなんだなあ、と素直に受け入れられる作品でした。高校生でこんなに堂々とありのままの自分を受け入れられるヤマダ、いいです。
投稿元:
レビューを見る
いとしいなあと今では自分のことさえなであたためたくなる とにかくフラットな男の子に弱いわたしが山田の気持ちをくむのもしかたがない、でもある部分では山田からはなれ、ほかのだれかをくんだり、うつろいながら色々を見てる みんなのことを書いているようで、一人のことを書いているみたい みんなの同じ気持ち、みんなの違う気持ちはこころのなかでもひとつひとついてじっとしたりじっとしていなかったりする いつか電車には乗れなくなるときも来るし、どうしてもどうしても好きで仕方がない子になにもいえないひは来るし、きりっと男の子のようになるひもくる ただ漠然と全部が一部にしていて一部がぼやんとして全部。
投稿元:
レビューを見る
個性的な主人公が、それぞれの今を生きていることが
感じられる。
「互いを理解できなくても、尊重しあうことはできる」
この本の解説にある言葉。相手をわからない奴だと思う
事は多々あり、でもわからなくても尊重することはでき
るはずだ。
投稿元:
レビューを見る
芥川を取った元男性(?)の短編集。表題は、ホモの子と、間違って男の身体に生まれたと思って身体をいじって女の子になろうとしている子と、電車に乗れなくなった女の子の話。でも、特に事件がある訳もなく、淡々と過ぎていく。確かに心理とか表現とか上手いのだけど、淡々としすぎて一体なんだったのか?って気分になる。特に「午後の時間割」のハルコの人物像が好きじゃないからなんだと思うけどね。
でも、ちゃんとしてるよ。これからもっと伸びると思う(笑)
投稿元:
レビューを見る
馬鹿馬鹿しい、関係ない、どうでもいい、しょうがない。
そんな言葉だけ並べれば投げやりで、そうは言いつつ内容はどろどろしたものを思い浮かべるけれど、全く逆。この本におさめられた2作は、いずれも十代後半のいわば青春時代の小説だけれど、からっと乾いていて明るい。それは、たんたんと受け入れる、突き抜けたあきらめや距離感に由来するように思う。
どういう言葉がいちばん適切かはわからないけれど、題材は、いわゆるセクシャルマイノリティを扱った2作品。でも特別なことを声高に言い立てたりしない。悩みは悩みとしてそこにあるけれど、その部分では悩まない、もしくは取り沙汰しない、そのあたりまえさ加減が潔くて心地いい。特に「午後の時間割」は何度も読み返したくなる雰囲気がある(実際何度も読み返している)。実際にはなにも起こらない、なんてことのない話だけれど、深刻ぶらずに生きるって、けっこう難しいんだよな、と、少しまなざしがかわるような一冊。
投稿元:
レビューを見る
同性愛、と聞いて連想されるそれらの葛藤だったり苦悩を飛び越えて悟り開いちゃってる登場人物達についてはいけませんでしたが、読みやすくおもしろかったです。
投稿元:
レビューを見る
距離感の具合がちょうど良い。
多感な少年少女期にそれぞれ軽くはない悩みを持っているのだけど、それを悩んでいるんだーとは決して言わない距離感。
同時収録の『午後の時間割』のほうが好きだった
デビュー作にしてはよく書き込まれた作品で、主人公のハルコは、ナナナンキリコの『ハルチン』みたいで好感がもてた。
かなり切ない話だと思う。
投稿元:
レビューを見る
今から10年くらい前によく読んでいた。
併録されている午後の時間割が好き。
主人公のだらだらとした感じで塾に行って
だらだらと友達と過ごしてる意味の無い会話が好き。
自分の学生時代とかぶる。
藤野千夜さん+男女=友情。みたいなのは
読む前から予想出来ていたのだけど(なまいき)
私はこのひとの描くテンポが好きなので
それはそれでオッケーなのです。
投稿元:
レビューを見る
これを読んでから身の回りの人達が同性愛者ではないかと思えてしまいます。だって、1作目ゎそうゆう話だってプロローグで分かったけれど、2作目…うそー!ってなった。
そんな2作をまとめるなんて、凄い人だと思う。
藤野 千夜…はじめて読みました。
まあ、たまにゎいいよね。うん。
ただ、最後がもやもや。気になる。
自分と考え方・恋愛観が違うからよけい続きが気になります。
私ゎこの本で読書感想文書けって言われたら苦手かも。