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商品説明
古今東西の「論理的思考」の構造を究明し、人類全体に通ずる、真に普遍的な新しい論理学の体系化を構想する試み。『現代思想』連載の論考をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中村 元
- 略歴
- 〈中村元〉1912〜99年。インド哲学・仏教学者。東京大学名誉教授。著書に「東洋人の思惟方法」「仏典のことば」「人生を考える」など多数。
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紙の本
「論理」をめぐる東と西の共通と相違を見渡す
2001/12/21 06:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
上下巻合わせて1,100ページを越える本書は,文字どおり著者の人生最後の大作である.著者の意図は,論理を対象とする東西の学問体系——すなわち,西洋哲学における「論理学」と東洋哲学における「因明学」——とを相互比較し,その共通点と相違点とを明らかにすることにある.
この「東西の論理学の比較考察」(p.13)を通して,人類普遍の「探求の理論」(p.67)としての論理学の姿をとらえることを著者は目指す.しかし,その道程は容易ではない.著者はいたるところで,将来あらわれるであろう第二第三の「中村元」に宛てて,本書での未解決問題を残しているからである.
もちろん,一般の読者にとっても,本書を通読することは一種の「修行」に通じる.東西の「論理学」に関するある程度のバックグラウンドをもっていないと,突っ込んだ理解はむずかしいのではないか.著者が錯綜したテーマをわかりやすく書こうと心がけていることは十分に伝わってくる.しかし,本書の完成を待たずに没したこともあり,部分によっては記述が途切れていると思える箇所もある.
上巻では,論理に関わるもっとも根本的な枠組み——知覚,概念,カテゴリー,思考原理——について,著者の博学に裏打ちされた記述が与えられる.私は東洋哲学の因明学についてこれまでまったく知らなかったのだが,西洋の論理学とパラレルな(場合によってはそれよりもはるかに精緻な)理論体系を長年にわたって構築してきたというのは一種の驚きだ.
著者は言う:「われわれは思議を越えたもの〈不思議〉の中から現われ,同じく思議を越えたもの〈不思議〉のうちに没する.その中間の過程にあって,われわれが生きるための手段となるものが合理的・論理的思考なのである」(p.147).生きるための「手段」という観点は,論理と論理学を単に形式的体系としてではなく,それらを人間の世界へ再び引き戻す働きがある.下巻では,判断と推理をめぐる人間の普遍的思考様式がテーマとなる.
本書はきつい山登りだが,得られる愉しみは格別である.
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【目次】
はしがき 9
第1章:論理と論理学 11
はじめに 13
第1節 論理学の正当性 19
第2節 論理学の目的性 29
第3節 論理学と宗教 45
第4節 思考に内含される諸要素 53
第5節 正しい知識 59
第2章:直接知覚の問題 71
第1節 感覚と知覚 73
第2節 直接知覚 83
第3節 直接知覚の対象——実在者 117
第4節 直観の種類 129
第5節 経験論との対比 155
第6節 真理性 161
第3章:概念の考察 175
第1節 概念とは? 177
第2節 概念と定義 181
第3節 語と意味 191
第4節 表象 227
第5節 概念と判断/推理 231
第4章:カテゴリーの体系 233
第1節 カテゴリー 235
第2節 カテゴリーの体系 237
第3節 種々異なったカテゴリー論をいかに解決統合するか?
——精密な表現の問題 261
第4節 カテゴリー論の構造的理解 269
第5節 実体 283
第6節 普遍 303
第5章:思考の原理 393
第1節 思考の原理 395
第2節 同一の原理 403
第3節 矛盾の原理 417
第4節 排中の原理 473
第5節 理由の原理 491
第6節 連関の原理/論理法則の価値 529
出典略号表 542
インドの論理思想見取り図 [546-547]
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