熊野古道
著者 小山靖憲 (著)
ゆたかな自然に懐深く抱かれた聖地,熊野.「蟻の熊野参り」という言葉どおり,人々は何かに引きつけられるように苦しい巡礼の旅を続けた.中世の記録から,上皇の御幸や一般庶民の参...
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商品説明
ゆたかな自然に懐深く抱かれた聖地,熊野.「蟻の熊野参り」という言葉どおり,人々は何かに引きつけられるように苦しい巡礼の旅を続けた.中世の記録から,上皇の御幸や一般庶民の参詣のようす,さらに熊野信仰の本質,王子社成立の謎等にせまり,長年の踏査経験をふまえて,この日本随一の古道の魅力を語り尽くす.
目次
- 目 次
- 序――熊野とはどういうところか
- I 熊野詣の中世史
- 1 山林修行の地として――永興禅師そして宇多・花山法皇
- 2 院政期の大流行――上皇・女院そして貴族たち
- 3 『中右記』にみる貴族の参詣
- 4 藤原定家が記した上皇の参詣
- 5 地方の武士が主役に――承久の乱以降の変化
- 6 北野殿熊野詣日記を読む
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いつか行きたい熊野古道
2004/12/15 20:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
熊野地方は、南方熊楠が研究のフィールドとした自然豊かな地域です。世界遺産に登録されて更に有名になりました。
熊野古道とは、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に詣でるための道です。吉野からさらに南に位置する熊野は、古くから神々の住む聖地として崇められてきました。熊野への厳しい道を乗り越えて詣でることで、信仰が生まれました。これが「熊野詣」です。
熊野三山が成立した平安時代中期、法皇や上皇の御幸がはじまると、その影響で街道や宿場が整備され、「熊野詣」がますます盛んになっていきました。皇室、武士、庶民へと信仰の輪が広がり、「蟻の熊野詣」と言われるほど多くの人が訪れるようになりました。熊野信仰が、現世利益を追求するものであったこと、身分や性別を問わず誰でも受け入れてくれる神であったことがこの広がりにつながったとのことです。
「熊野詣」の道が本格的に整備されたのは江戸時代(17世紀前半)。盛んになった「熊野詣」には、いろいろなルートがあり、6つのルート(紀伊路・大辺路・中辺路・小辺路・大峯道・伊勢路)があります。
本書は、熊野詣での中世史、参詣の作法と組織、参詣道の現況などが盛り込まれています。日本史の折々に名を記す熊野にまつわる歴史を手際よく解説し、これから熊野を歩いてみようとする人にとってハイキングを奥行きの深いものにしてくれる手引き書となっています。
多くの古道が近年の道路工事で破壊されてしまっている実態も記されています。実際に熊野古道を歩いてみた記録であるからこそ書けることです。日本は便利さを求める中で、貴重なものを平気で葬ってきてしまっています。
最近は都会の人が、熊野地方の森林組合に入り、古道の整備にも精を出しているという話も聞きます。歴史・文化を大切にするのも無理解のまま見逃していくのも人次第であると感じます。そういう感性が養える本だと思います。