ピンクな子猫 （コバルト文庫）

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投稿者：秋野そら　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

芳と久住という男同士のカップルに育てられた公平（１５歳）は、芳にあこがれ、いつか芳をお嫁さんにするぞと、心に誓っていた。しかし、いつまでたっても父・久住のようにたくましい男にはなれず、気がつけば周りも認める小柄で華奢な女顔。ある日、街で出会った男に女の子と間違えられ手痛い目に合わせてしまう。
半年後、高校の入学式でその男にばったりと出くわしてしまった公平。あの日、手痛い仕打ちを受けたおかげで、半年間不能という屈辱を味わっていた瀬名は、公平を見つけたとたん、ものすごい勢いで追ってきた。公衆の面前で、捕まえられてしまった公平のその後は？　公平限定で不能から立ち直った、ホモ嫌いの瀬名の行く末は？
もう、あちこち付箋だらけの盛りだくさん！って感じで、ストーリーの始めから幼年期のトラウマからくる精神障害から始まって、瀬名の方も同じ経験の持ち主で、高校に入ったとたん、公平の容姿に目をつけた演劇部の有栖川玲は出てくるし、これがまた主役を喰ったキャラで…
展開がはやくて、でも、ストーリーの進め方に無理がなくて、はまり込んでしまえる作品です。これからの展開が楽しみです。

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投稿者：kaede　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　男同士のカップルに育てられ、父の恋人である芳（かおる）に憧れ、いつか父のようなたくましい男になって、芳をお嫁さんにする、と心に誓っていたが、実際は小柄で華奢な女顔に成長した公平。その日も、街で出会った男に女の子と間違われ、怒りのあまりとんでもない報復攻撃をしてしまった…。そんな強烈な出会いをした男とは２度と会うこともないと思っていたが、半年後、高校の入学式でその男・瀬名とバッタリ出くわして…！

　やっぱり、あさぎりさんの小説は奥が深い、と思えるのは、登場人物の過去設定がしっかりしているから、うまくメンタルな部分が交錯しあって読ませてくれる。

　いつも怒ったような仏頂面に、ウソが嫌いで、優しさと厳しさを持った、まったくノーマル男・瀬名。公平の過去、家庭の事情、猫っかぶりの本性をまるごと受けとめる瀬名もかっこよかったし、お元気に見えて、寂しい想いを、欲しいと思う気持ちを、あきらめてしまっていた公平は健気でよかった。早く続きが読みたくなる作品。