紙の本
不思議な言葉にひかれて
2001/07/18 12:32
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投稿者:みりぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夫に自殺され、その上愛人の存在を知ったみすずは夫に「月光の東まで追いかけて」という言葉を残した塔野米花という女性を探し始める。昔に米花に同じ言葉を言われた杉井もまた、米花を探し始める。米花はその美貌と才能を使い、つよく、賢く、そして悲しく生きていた。そのことを知ったとき二人は米花を探すのをやめ、自分の人生を生きていくことを決めたのだった。米花の人生を探すことによって、みすずは夫の自殺を乗り越えることができ、夫を許すことができた。
宮本輝氏が得意とする中年期の男女の話である。品の良い美しい女性、その女性に振り回される男、またその女性を巡る運命の歯車。宮本氏はこのような世界を表現するのが非常に秀でているように思う。宮本氏の世界に浸りたい方、この小説はお薦めです。
紙の本
ミステリアスで魅力的なストーリー
2001/06/06 07:36
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投稿者:emis - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語は「よねか」と言う名前の女性に関わる二人の人間の視点から書かれています。ひとりは、少年時代「よねか」に恋していた男性の視点から。もう一人は、外国で自死してしまった夫が「よねか」と同宿していた事を知った妻の視点から。
男性は現在のよねかを知らないし、女性はよねかに会った事も無ければどんな女性であるかも知らない。そしてふたりは、それぞれが「よねか」に執着し、それぞれのルートで「よねか」に関する断片的な情報を集めていきます。
ある時は悪魔のようにも見え、ある時は慈悲深い天使のようにも見える「よねか」という女性の生きてきた軌跡が、ふたりの視点から絶妙に浮かび上がっていくスリリングな物語の展開。
登場人物の誰もがとても魅力的だし、人間の品性を感じます。さて、ふたりは「よねか」に出会えるのでしょうか…。
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パキスタンが登場するとあって、これは読まなければ!と思ったけど、まぁパキスタンは関係ないわな。むしろネパール?
ある意味推理小説で、加速度的に読もうとしてしまう自分に気付いた。
ちょっといっぱいいっぱいの観もあったけど、でもやっぱりこれも再生物語。強い生き方には、誰もがひれ伏すのだ! と何故か思った。
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最初の章の“ですます調”に不思議と引き込まれていきました…
搭屋米花(よねか)の足跡を辿り米花の生き方に惹かれていく別々の二人…月光の東という謎の言葉も何とも言えない魅力を持ち、読者を引き込んでくれます♪
「よねか」の生き方をどう感じるか…読む度に変化していきそう。けれども、加古美須寿の“よねか”または“月光の東”に対する変化こそ章を重ねるごとに如実に現れてきて、見事な人としての美しさを放っているように思う。
ちょっと「睡蓮の長いまどろみ」と似てるかなと思う部分もありましたが、それはそれ。輝さんの作品を読み終えるたび、人生の何たるかが、わかるような気がしていたのですが、それこそ傲慢で何もわかっていない証拠だと愚かな自分を再認識しました。自分が50歳にならないとわからないことが今わかるわけないのも世の理ですよね。ただ、話から想像が働き、瞬間的に垣間見れているように感じているのかしら。
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2005?/有吉佐和子の「悪女について」と比較して読むと面白い。女性の人生ってドラマティック。200610/2回目。罪悪感ほど心身を傷めるものはありません。色々感じた中で今書きとめておきたいこと。主人公たちが姿を追い求めるのは、凛冽で負のエネルギーを感じさせながら、なぜか人を惹き付ける魅力を持つ女性。なぜだろう。彼女は約束を守る女性だった。そのせいではないか、と今の私は考える。もし卑劣で勇気がなければ、「約束」をすることすらできない。彼女は約束をする勇気を持ち、そしてそれを実行した。結果的に約束が永続的なものとはならなくても、「約束」をする勇気と不幸な運命に立ち向かう強さとそれに翻弄される弱さとのギャップに、人は魅力を感じたのではないだろうか。結果が失敗でも構わないのだと思う。約束が果たせなくてもよいのだとさえ思う。「約束」をする勇気と、それを示す誠実さを何より重要に思う。
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正直、主人公たちがヒロイン米花に惹きつけられる気持ちが理解できず、あまり入り込めなかった。男性読者は違うのかなぁ…。
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What can you see easten moon light?
Anyway, most of the characters in Teru Miyamoto's novels are rich, aren't they?
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周りの人からの話で一人の人物を浮き上がらせる手法は、まさに聞き込み捜査のようで、あんまり。でも、おもしろいことはおもしろい。女子の名前がダサイ。
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良かったです。とっても。
一人の男性が自殺した事を発端に、その妻と友人の2人の語り手で交互に話しが進んでいく形態になってるのだけれど、自殺した男性と、少し前まで一緒にいた塔屋米花と言う女性の謎を追っていく感じで話しは進んでいく。
2人の人物の今と、過去の塔屋米花が絡まって、最終的には
自殺した人の本当の原因もわからなければ、米花自身が登場して2人のいずれかと対面するって事もないわけなんだけれど、
米花の生き様は、心を打つ。
そして、わけもわからないまま、異郷の地で夫に自殺されて
残された妻の自己を取り戻していく姿も良かった。
謎の多くは解明されたとは言えないので、そこにこだわるなら
ちょっと物足りないって思う部分もあるけれど、作品としては
とても良くできていて、読み応えがあったと言える。
宮本輝の作品を読んでると、仏教にとても造詣が深いような印象を持つけれど、実際、どうなんだろうなぁ?
生と死の問題がジワジワと沁みてくるような、そんな感じがした作品でした。
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「月光の東まで追いかけて」という言葉を残して消えた女性をめぐる話。
誰もが、自分の手が届かないものに惹きつけられている。
宮本輝の作品は、文章も構成も丁寧で好感度が高い。
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月光の東とはどこなのか・・・ある一人の女性の一生を追いかけ続ける。その先で見つけたものは、厳しい現実。
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「月光の東まで追いかけて」と謎の言葉を残して転校していった同級生の女性について、30年後になって調べ始めて主人公。淡い初恋の思い出と共に、その女性がどのような人生を送ったのかが分かり始める。しかし、最後まで本人とはすれ違いのまま…。相変わらず宮本さんらしい話。いつも納得できないのに、彼の作品を読んでしまうのはなぜでしょう。
【2006年2月22日読了】
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月光の東まで追いかけて。
という言葉を残して消えた女。
月光の東ってどこ?
どこなんでしょうか?
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ずいぶん昔に読んだはずなんですが、すっかり忘れているので再読。
あいかわらず宮本輝どっぷりです。
「月光の東まで追いかけて」とつぶやいた初恋の女性。
カラチで自殺した友人の妻と一緒に、類まれな美貌を武器に貧困からの脱出を図った初恋の女性の軌跡を追うミステリーっぽい長編小説です。
多くの謎は解けないままですが人間の哀しさとか強さとかが浮かび上がり、二人の語り手によってくっきりと「女性」の姿が見えてくるところがおもしろかったです。
まだまだ宮本輝にはまりっぱなしです。
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著者の作品のなかではかなり好きなほう。
「月光の東まで追いかけて」との謎めいた言葉を残して行方をくらませる女性、塔屋米花(とうや・よねか)。その存在自体がミステリアスで魅力的に描かれている。
初版。