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紙の本
懐かしいSFがいろいろと収められている、ミュージシャン難波弘之氏の短編集
2020/06/02 23:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の難波弘之と言えば、おそらくミュージシャンであるというのが一番知られている姿だろう。hontoのサイトで検索しても、けっこうな数のCDが並ぶ。難波さん自身のリーダー・アルバムだけでなく、意外なミュージシャン(?)のバックなどにも登場している。それに、この十数年は、個人的には山下達郎のバンドに欠かすことの出来ないキーボーディストだ。
だが、その昔はテレビ(しかも、NHK教育だったりして)にも出て番組のホストを務めていたり、時々いろいろな雑誌にコメントや短文を載せたりもしているので、けっこう多才な人だということも知っている。
そんな多才な活動の中でも、実はご本人が本業よりも力を入れていたのではないかと思えるのが作家、しかもSF作家としての姿だったのではないか。
本も何冊か出しているが、そのうちの1冊がこの『飛行船の上のシンセサイザー弾き』だ。それを、30数年ぶりに読み返してみた。収められているのは短編が8編だ。
なんだかとても懐かしいものに出逢ったような気にさせられた。
それは、かつて読んだ時の記憶に出逢ったというよりは、もっと普遍的に懐かしく感じさせるようなものだった。というのは、どれも1960~70年代によく読んだようなSFの雰囲気がいっぱいなのだ。まあ、この本自体が1982年に刊行されており、巻頭に収められている「青銅色の死」は1960年代の著者が中学三年の時に書き上げたものだというのだから、当時の雰囲気が出ているというのも当然と言えば当然なのだけれど。
ただ、SFと言っても様々なジャンルがあり、ここに収められている8編はそれぞれ色合いが違うので、30数年経っていても十分楽しめた。
これを、ミュージシャンの余技と言っていいのかどうかわからないが、21世紀になってもうかなり時間が経った今の難波弘之だからこそ賭けるSFがあるような気がするので、音楽だけでなく小説もまた書いて欲しいなあと思ってしまった。
そして、できるなら音楽と小説と両立したような作品にお目にかかりたい。何と言ってもこの『飛行船の上のシンセサイザー弾き』は当時、この本とLPレコード(懐かしいなあ)が同タイトルで同時に発売されたものだったのだから。
ちなみに、私がこの本(と、LPレコード)を余計好きにさせてくれているのが、本のカバー絵でもありLPジャケットのイラストでもある原田治の絵なんです。