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紙の本
沈んだ世界 (創元推理文庫)
6、70年前から起こった一連の地球物理学上の変動により、地球は高温多湿の水浸しの世界となっていた。国連調査部隊イギリス隊に加わった生物学者ケランズは、激変した動植物の形態...
沈んだ世界 (創元推理文庫)
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商品説明
6、70年前から起こった一連の地球物理学上の変動により、地球は高温多湿の水浸しの世界となっていた。国連調査部隊イギリス隊に加わった生物学者ケランズは、激変した動植物の形態を調べながら水没した都市を遍歴していく……。1960年代の英国“ニュー・ウエーブ”運動を代表する旗手バラードの初紹介。【本の内容】
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紙の本
倦怠と狂気
2002/05/30 03:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
太陽の異常が引き起こした一連の現象により、地球の平均気温が上
がり、極地の氷の融解により海面は上昇、都市のほとんどが水没し、
そして、高温多湿の環境の中で生態系すら変貌しつつある地球を舞
台とした作品である。
物語は水没した都市を経巡る国連派遣の科学調査隊から始まるが、
しかし「正しいSF」のように、困難と闘う人類と科学の勝利などと
いうものを描いたりはしない。
ここに描かれるものは、ジャングルと化したなかば沈んだ都市の廃
墟と、そこに繁栄する異様な動植物たちの風景であり、そして照り
つける太陽の下、暑さと湿気の中で、倦怠し頽廃して行く人々の姿
である。
救いのない世界であるが、執拗な風景描写が描き出す、生命力に満
ち溢れたジャングルの生き物たちの姿や、狂気にとりつかれた人々
の姿は、非常に力強く魅惑的である。
ぜひとも夏の暑い季節に読みたい本である。