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女狐 (講談社文庫)
女狐
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紙の本
栗本薫の初期時代小説集
2011/01/29 23:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
1980~1981年に主に「小説現代」に掲載された短編8編で、1981年に単行本に、そして1983年に文庫化されたもの。栗本薫の比較的初期の時代小説群になる。
どれもが江戸時代の庶民の話。この文庫の解説の武蔵野次郎によれば、「江戸の巷における庶民の世界にくりひろげられる物語、つまり“世話物”といってよいストーリー構成になっている」わけだ。
表題作の「女狐」は、身分違いの女によって落ちぶれていく男とその女の顛末が描かれていて、最後は静かな哀しみとでもいった結末になっている。
そして、他の7編もどれも、短い話の中に人間が生きていくこと、何らかの理由で生を全うすることができなかったこと、そういったことからにじみ出てくる哀しみが漂っている。
派手な話でもないし、どれもが数十ページしかない話だけれど、晩年の栗本の作品にはない哀しみと静謐さに溢れたものばかりのように思う。晩年の作品群が栗本の筆の走るがままに書かれた作品だとしたら、ここに収められている作品たちは実はかなり技巧に走っている作品だったのかもしれない。しかし、私たちが、少なくとも私が惹かれた栗本薫は、こうしたある種整った物語だったのかと今更のように思ってしまう。