紙の本
かなりバラエティに富んだ収録作品。
2003/03/18 22:34
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投稿者:forest - この投稿者のレビュー一覧を見る
第4巻に続き、最近読了しました。「時間からの影」がかなり難しかったので
時間がかかってしまいましたが…。
各作品ごとの感想。
「ダゴン」
収録作品の中ではかなり分かりやすかったです。軽いホラーのノリで
楽しく読めました。
旧支配者の神々は時代を選ばず襲ってきます。第2次大戦中、貨物船の
船員が体験する恐怖を描いてます。
「家の中の絵」
猟奇殺人ものの原点ではないかという感じの作品です。
現在のホラー映画の中には影響を受けているものも多いのではないでしょうか。
「無名都市」
アラブの現地人に忌み嫌われ、決して近づかないといわれる古代遺跡。
アラビアの砂漠に位置するその古代遺跡に足を踏みいれた語り手は、
恐ろしい事実を目にします。
ちょっと抽象的すぎかなという感じです。
「潜み棲む恐怖」
アドベンチャー的な部分が強いです。この作品も読みやすいです。
マーテンス一族に起こった恐るべき悲劇。それを調べようと語り手は
その一族の家があるテンペスト山に向かいます。結末も豪快です。
映画「地底人アンダーテイカー」原作。
「戸口に現れたもの」
エドワード・ピックマン・ダービィの友人である語り手。彼はなぜ
エドワードを殺したのか。それは彼の妻の恐るべき家系にまつわる陰謀
がかかわっていた…。
サスペンス色が出ている作品です。
「アウトサイダー」
これは非常に短いです。あっという間に終わります。
一度も城から出たことのない語り手は、本を読む毎日を送っていた。
そしてはじめて外へ出て鏡で自分の姿をみる。それは…。
読んでみてください。^^;
「闇をさまようもの」
うーん。かなり難しくてよく分かりませんでした。
ラブクラフトが友人の一人であるロバート・ブロックにささげたという
作品だそうです。
「時間からの影」
かなり長いです。「狂気の山脈にて」も長かったですが。^^;
途中で眠くなりました。(汗)
ある病院で長い昏睡状態になっていた考古学者の語り手は、臨死体験による
「大いなる種族」の存在を目撃する。そしてできる限りその事実を記録しよう
とするが…。
紙の本
『アウトサイダー』その他の恐怖
2002/07/25 05:22
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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の創始者であり、20世紀最後の怪奇小説作家である
H.P.ラヴクラフトの全集の第3巻。この巻から、編者/翻訳者は大瀧
啓裕氏に交替、より網羅的な構成になっている。この巻には、ラヴ
クラフトの創作の各時期を代表する作品を収録したとのこと。収録
作は以下の通りである:
「ダゴン」
「家の中の絵」
「無名都市」
「潜み棲む恐怖」
「アウトサイダー」
「戸口にあらわれたもの」
「闇をさまようもの」
「時間からの影」
「資料: 履歴書」
「アウトサイダー」——シュールなヴィジョンを見せる、不思議で
魅惑的なストーリーである。古めかしい文章もすばらしい。ポオの
影響も濃厚な異様な作品である。わたしは以前にもこの物語に接し
たことがあったらしく、作者もストーリーも忘れていたが、この物
語が見せる異様なヴィジョンだけは記憶していたという代物。なに
しろ夢に見てしまうのだ。まぎれもない傑作である。
「闇をさまようもの」——ロバート・ブロックと「殺し合い(^◇^;)」
をやったことで有名な作品。打ち捨てられた教会の探索、謎の宗教
団体「星の知慧派」、〈輝くトラペゾヘドロン〉など、幻惑的なシ
チュエーションや事物がすばらしく魅惑的。
「時間からの影」——クトゥルー神話大系の根幹をなす存在のひと
つである〈大いなる種族〉を巡る重要な作品。この地球の本当の姿
を概観する暗澹たる物語である。
ラヴクラフトが自らを語った「履歴書」と、大瀧氏による27ページ
に渡る巻末の作品解題もすばらしい。豊富な資料を収めた読み応え
のある内容の巻である。
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全集3にも有名な作品がけっこう収録されてます。まずはそのうちの1つ2つ読んで放置。全集2を読み終えてからまた読み出しましたが、それでも途中で放置。言い回しといい展開といいかなり食傷気味。いや、気味ではなく完全に食傷。しばらく期間をあけないと読む気になれません…。
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ジャンル的には怪奇小説?とかホラーと呼ばれる範囲に入るらしい。
なぜいきなり三巻から読み始めたのかはブックオフでそれしか無かったから。
最初の二作と最後の「時間からの影」「履歴書」あとがきを読み終え、感想に
。中盤は読んでない
全体としては恐怖系という感じでまとまってるけれど、最後の「時間からの影」が超古代文明とか心理とかがうまく組み合わさって記述されてて一番よかった。
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全集3の読みどころ
デビュー作にしてパターンの完成した『ダゴン』
『ラヴクラフト全集』の読みどころ
1930年代のパルプフィクション・ホラーの中から生まれ、みじかい活動期間でありながら、多数のフォロワーを今なお生み出しつづけている。
ラヴクラフトの面白さを、ぜひ知ってもらいたく選びました。
今すぐにでも彼の小説のガジェットを使って彼のフォロワーとなることができるのも、ハマリこめる理由の一つ。
初心者には特に、短編かつラヴクラフトらしい『ダゴン』がオススメ。
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やっぱり日にちはてきとう
短編が八本も入っていてお得だけど、クオリティは物足りないところがあるかも。個人的には、「家の中の絵」「潜み棲む恐怖」「闇をさまようもの」「時間からの影」が好き。
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やぁーーーーっと読み終わった。読みづらい。疲れるだけどやめられないのがラヴクラフト次の目標はラヴクラフトを巣通のペースで読みきること。で、感想。今まで読んだ中ではもっともクトゥルフ神話に近いんじゃなかろうか。ダゴンとかあるし。時の~は名作だと思う。
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先に読んだ『ラヴクラフト全集2』から,少し間が空いてしまいました。時間がかかったのは,このところ仕事が忙しくて読むヒマがなかったせいもありますが,難解な文章があって同じ場所を何度も読み返していたせいでもあります。例えば「時間からの影」最初の一文は,「ある種の印象は神話に源を発しているのだと,そうむりやり納得する以外救いようのない,悪夢と恐怖に満ちた二十二年間の歳月を思えば,わたしは,一九三五年七月十七日から十八日にかけての夜,オーストラリア西部で発見したと思うものが,事実であると断言したい気持にはなれない。」──何を言おうとしてるの?と初手から引っかかってしまいました。
文が難しくてなかなかスラスラとは読めませんでしたが,なかでも怖かったのは「潜み棲む恐怖」。雷の轟く嵐の夜に限って村々を襲う謎の化物と,丘の上に建つ不気味な館の廃墟のお話です。かつてその館に住み,村々とは交流もなく,いつの間にかどこかへ消えたマーテンス家の人々は,実は……ということが全て明らかになる結末部分で鳥肌が立ちました。
読みごたえのある分量と内容なのが「時間からの影」。この本の3分の1がこの作品で占められています。5年にわたって記憶喪失となった後もとに戻った大学教授の物語です。記憶がない5年間,奇妙に人格の変わった教授は何をしていたのか,また元々の教授の人格はどこで何をしていたのかが,徐々に明らかになっていくのですが,この感じは怪奇小説というよりSFっぽい感じがしました。結末も,これは気が狂った教授の妄想ではないということが明らかになる証拠がバーンと提示されて終わり,その時に受ける印象は,怖いというよりも面白いというか不思議というか,センス・オブ・ワンダーを感じました。その辺もSFっぽい印象です。
最後に「履歴書」と題して,ラヴクラフトが自分の生い立ちや性質を書いた書簡が収められていますが,これが意外に面白いです。「絵が描けない」と書いているすぐそばにラヴクラフトのかなり残念な自画像が掲載されていて,小説の作風とはあまりにもイメージの違うタッチが笑いを誘います。海産物が大嫌いなのは小説を読めば何となく想像ができますが,チョコレートとアイスクリームが大好物だというのは意外でした。
ほかに,同時代のヒトラーとムッソリーニについて書いている部分と,それに関連して彼が人種と国家をどう考えていたかがわかる部分があって,興味深いです。ラヴクラフトがムッソリーニを「敬服している」と評価しているのは,恐らく彼の大好きな古代ローマの伝統をムッソリーニが復活させようとしていたことと関係があるのでしょうが,一方でヒトラーに対しては「(ムッソリーニの)きわめて劣悪なコピー」と厳しい評価。この辺,両大戦間期の人々がムッソリーニとヒトラーをどう受け止めていたのか知る上でのヒントがあります。「ヒットラーの人種的優越感に基づく政策は莫迦げたグロテスクなものです」と書く一方で,「生物学的に劣っていると考えるのは,黒人とアウストラロイドだけです」と,思いっきり差別的な人種観をさも当然のようにさらっと吐露しています。当時の知識人が人種差別ということに関してどういう考えを持っていたのか,興味をひかれる書簡でした。本題とは離れますけど。
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「ダゴン」
ある船員が海の真ん中で体験した恐怖の記録。
海上の不気味な島も良いんですが、オチが非常にいい味を出してました。
「家のなかの絵」
雨宿りに入った不気味な家で出会った本の挿絵、そして白痴めいた老人の語り。
ラヴクラフトらしく、婉曲な表現で想像を掻き立てる手法が怖さを引き立ててます。
「無名都市」
無名都市に辿り着いた探検家の物語。ごめん、イマイチ伝えたいことがわからなかった。
「潜み棲む恐怖」
薄気味悪い山に館をかまえていた呪われた血統という、いかにもな舞台設定。
オチも含めて非常にラヴクラフトらしい作品でした。
「アウトサイダー」
自分の正体は実は…な、お話。オチも含めて雰囲気がよい。
「戸口にあらわれたもの」
精神交換・精神乗っ取りなお話。「インスマウスの影」とシンクロする部分もありなかなか面白かった。
「闇をさまようもの」
地元の人ですら避けるとある黒々とした廃墟のような教会から、壮大な狂気が迫ってくる話。
「時間からの影」
大学教授ナサニエル・ピースリーが体験する奇妙な二重人格と幻覚症状、そしてその真相。
非常にスケールの大きな話でコズミックホラーに相応しい内容でした。
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2巻までの異形ゴシックホラーから途中で方向転換。「アウトサイダー」なんかは他の作家の著作かと思った(解説でポーの影響と明記)。懐かしのアーカム、インスマスが出てきたと思ったら、魚人間ではなく、霊魂的なもので驚く。そしてなにより、最後のSF大作である。総じて1, 2巻よりは退屈かも。
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1989年6月23日発行の11版。
訳者の大瀧啓裕氏はダーレスのことが嫌いなのか……。
「不肖の弟子」扱いなど個人的感情がくどいほどにじみ出ている。
あなたのエッセイじゃないのだから解説に個人的感情を入れるべきではないだろうに。
「ダゴン」
窓に! 窓に!
「家のなかの絵」
人肉食で無限のパワーを。
「無名都市」
狂える詩人アブドゥル・アルハザード。
「潜み棲む恐怖」
この巻で一番好きなお話。
怪奇!土竜男!
「アウトサイダー」
寓話的。
新たな物語の話型となっている点ですばらしい。
「戸口にあらわれたもの」
ほんとインスマウスの住人はろくなことをしない……。
結末を冒頭に持ってきた構成が秀逸。
「闇をさまようもの」
ラブクラフトの遺作。
無闇に廃墟に入るものではない。好奇心は猫をも殺す。
アザトホース、ナイアルラトホテップ、ヨグ・ソトホースと有名どころの名前が出るのも遺作らしい感がある。
「時間からの影」
〈大いなる種族〉の容姿がさっぱり想像できない。
言葉で形容できないところに真価があるのか。
次男がいい息子すぎる。ほんと父親思いやで……。
「資料:履歴書」
おまけ。
ラヴクラフトの「環境」がわかる。
黒人やタスマニア人を「生物学的に劣っている」と考えている点や彼のヒトラー評とムッソリーニ評は興味深いものがある。
特にムッソリーニに「敬服」していた点は現代から見れば眉をひそめてしまうが、ラヴクラフトの意外な一面として面白い。
総評。
雨、廃墟、屋敷がキーとなる話が多くおどろおどろしい感じが良い。
短編の集まりで長さ的にも読みやすい。
が、各話の途中で眠たくなってしまう。
ただ、繰り返しになるが解説での訳者のダーレス批判が目に付く。
嫌いというほど積極的な感情ではないかもしれないが、嫉妬に近い感情を持っているのかもしれない。
また訳者はラヴクラフトの作品群をクトゥルフ神話としてひとまとめにされることを快く思っていないらしい。
ラヴクラフト作品のことは自分が一番知っているんだと言いたげな文章が呆れを通り越して実に微笑ましい。
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各作品の詳細は巻末の「作品解題」で詳しく書かれているためそれを読めば話の内容、隠された意味、背景等は詳しくわかる。よって書く作品を簡単にまとめようと思ったがやめた。
ゾンビが襲ってくるなどのアメリカンホラーと違いラヴクラフトの作品は、化け物がいる気がする、とか何かとてもじゃないが自分では対処しようの無い大きな存在に怯える目に見えない恐怖を描いている。推理小説かのように詳細に描かれる情景、部屋の間取りや家具の配置に至るまで、が読者の想像力を駆り立てる。
ラフクラフトの作品はなんだかモヤモヤとした終わり方をすることが多い。ホラーといえばその恐怖の根源に立ち向かう、または巻き込まれる話が多いと思う。そこで描かれるのは戦うか、逃げるかして生き延びようとする主人公たちの姿である。ラブクラフトの作品はそうではなくモブキャラ、例えば、夜中物音に目が冷め眠気眼をこすりながら外を見ると逃げる主人公とそれを追いかけるバケモノを見て恐怖のあまり気絶してしまう。翌朝目がさめて思い出すが、果たしてあれは夢か現実か。そんな感じである。これが物語の現実味を持たせることに成功していて、もしかしたら本当に有りそうと思わせるのである。
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ダゴン、読みやすくて良いですね。名作。最後の一編「時間からの影」はちょっと冗長かな。それ以外は、面白かったです。アーカムやインスマス、それにミスカトニック大学の名前が出てくると、なんか安心しますね。魚臭や魚顔の人間とか^^
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翻訳文体としては、1巻や2巻のほうが好みです。こちらは、いささかまどろっこしく、かつやたらと仰々しいところが気になる点。まあ、原書の文体がそういうものだと言われれば、恐らくそうなんでしょうが。
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窓に!窓に! が見られて満足。。
本巻収録作品に限らず、ラヴクラフトの小説は、
ジャパニーズホラーと似た悍ましさがあって自分好みです。
(ハラハラでなくゾワゾワ。ジェイソン的でなく貞子的)