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文明の逆説 危機の時代の人間研究 (講談社文庫)
文明の逆説 危機の時代の人間研究
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紙の本
時代を超えた文明論
2002/05/19 21:19
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投稿者:沖 海明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
30年ちかく前に書かれた本だが、幼児虐待をレポートした「子殺しの未来学」といい「時代と状況の病理学」といい、まるで最近の世相を書いているかのようで驚く。立花氏の本のなかでも最も名著に入ると思う。注目すべきは幼児虐待における加害者の動機を立花氏は「了解不可能」と区別することである。あらゆる犯罪には「了解可能」と「了解不可能」があるという。「可能」とは「男女関係のもつれから女が男を刺した」という、一般的に犯罪にいたるまでのプロセスを心情的に理解できることとし。「不可能」とは、「泣き止まない」「なつかない」などのささいな理由で子供を虐待するという、常人にはさっぱり動機がわからない場合である。立花氏は後者がやたら増えていると書いている。
原因は「育児ノイローゼ」や「母性本能の低下」などと言われているが本質的には「過密社会」のストレスがあり、生態学でいう「密度効果」をキーワードに、生物としての「人」であることを忘れた人間が様々な社会病理現象を引き起こしている現実を立花氏は昔から警告していたのがわかる。ここ数年、幼児虐待が急に増えたように見えるが、それは皮相でしかなく、闇に目をこらせばむごたらしい惨状があったのである。それを見抜く「目」を持った立花氏はやはりスゴイ人だ。