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紙の本
選ばれたセリフ
2004/03/16 21:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北祭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷沢氏は名文名句の選定人として多くの著作を残している。たとえば『日本人を創った百語百読』(PHP新書)は、誰もが認めてきた歴史に残る名語を選び出しこれを鑑賞するというこころみであった。また『名言の智恵、人生の智恵』(PHP研究所)では古今東西の珠玉のことばを並べ、そこに意訳と短いコメントをつけた云わば小辞典という仕上がりの一品であった。それぞれ違った味わいをもつ。
さて、本書の特色といえば、ここに揚げられる名句が世に広く認められているという基準ではなく、谷沢氏のもつ独自の捻りと洒落の効いた選定によるという点にある。さらに谷沢氏は各々の名句にエッセイ風の解釈文を寄せて工夫を凝らしている。エッセイ文の中身は本書をご参照いただくとして、ここでは本書にある名句たち、その魅力の一端をご紹介する。
「世は活きている。理窟は死んでいる」
(勝海舟「氷川清話」)
「人を責めるのが大好きな人があるね、正義の味方の中には」
(田辺聖子「休暇は終った」)
「自由と我儘との堺は、他人の妨げを為すと為さざるとの間にあり」
(福沢諭吉「学問のすすめ」)
「探検家は、まず第一に、やるかやらないかという決心をする前に調査するよりも、やるという決心をしてから調査します。決心をしてから後にやる調査というのは、いかにして失敗のリスクを減らすかということに専心することになるわけです」
(西堀栄三郎「石橋を叩けば渡れない」)
「一人二人がやっている間は愉快な仕事でもそれが流行の兆を見せてくると腹が立つ」 (佐藤春夫「退屈読本」)
「馬鹿は死ななきゃ癒らない」(広沢虎造「清水次郎長伝」)
「男女の結びつきを翻訳語の<愛>で考える習慣が日本の知識階級の間に出来てから、いかに多くの女性が、そのために絶望を感じなければならなかったろう?」
(伊藤整「近代日本における<愛>の虚像」)
「人は三ツの愛の中に生き、一ツの愛無きに至って死す」
(幸田露伴「ひとり言」)
選ばれたセリフたち。まるで生きているようではありますまいか。それは生の言葉であるからか、こころに残る余韻がそう思わせるのか。