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ぼくらの世界 (講談社文庫)
ぼくらの世界
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紙の本
ここに出てくる栗本薫は、栗本薫ではないのだけれど極めて栗本薫している
2008/03/20 00:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
栗本薫のデビュー作「ぼくらの時代」から始まる3部作の最終作は、本格推理小説へのオマージュであり、栗本が目指す作家像を端的に表現した作品だった。
体裁はもちろん推理小説である。しかし、人を食ったというか何と言うか。作品の前に「この作品には、左にあげたミステリーのトリックがトリックとして登場します。まだお読みでない方は、あらかじめこれらのミステリーをお読みになるか、あるいは、これらのミステリーのトリックをばらされることを覚悟しておいてください。」との1文があり、主にエラリー・クイーンの小説など6つの作品の名前が並んでいる。読んでいない作品があるにしたって、この「ぼくらの時代」を読み始めようとしているのだから、覚悟するしかなかった。
そして作品そのものも、虚実が入り混じったというか、虚実をうまく組み合わせた話が展開していた。上に書いた小説も、小説そのものは嘘であるけれども、小説は実であり、それをもとに展開しているこの作品は嘘だけれども、ところどころ描写されているものは実としか思えない。
トリックや事件の推理に多少難があるにしても、この1冊を読み終えると栗本薫がどんな作家になろうとしているのか、いかにして栗本薫が今の栗本薫になったのかがよくわかる。
そんな意味で、膨大な数になる栗本作品の中でも、この「ぼくらの時代」は実は重要な作品だと思う。