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紙の本
現代社会の深い闇
2002/05/20 10:22
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投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はかの有名な宇都宮病院事件を扱ったものである。
著者は前作『ルポ・精神病棟』の出版後に宇都宮病院で虐待を受けていた患者から多くの告発を受けたそうだ。それらの告発から約一年後に宇都宮病院の実態が明るみに出て事件へと発展していく。
精神医療では治療が完了したかどうかの客観的な判断が難しいのだろう。ましてや再発する者もいるのでなおさらだろう。本人が『もう大丈夫だから退院させてくれ』と言っても病院側は『本人はまだ病気です。完治していません。』と言ってしまえばそれまでである。客観的に判断するには転院するしかないのである。
そこに付け込んで甘い汁を吸おうとしたのが宇都宮病院である。
しかし本質的には病院だけの問題でもない。情緒不安定だからといって安易に精神病院の手を借りようとする親にも問題があるし、医療側の体制の不備もある。
本書は現代社会の深い闇を抉り出している。客観的に治療の判断が付かないことに付け込んだ悪徳病院、それをチェックできない医療体制、親の責任を放棄した大人達の共犯である。それを考えると精神病院だけで起きる事件では無いことが分かる。このような事件はどこの病院でも起こり得るのである。