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収録作品一覧
イノチガケ | 7-90 | |
---|---|---|
島原の乱雑記 | 91-106 | |
鉄砲 | 107-116 |
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紙の本
そして、キリシタンの殉教の向こう
2004/02/26 20:11
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
安吾とは、ナニモノだろう。
そんな問いはこれまで何度も繰り返されてきたし、近年では、「歴史家であった」というような答えもそれらしいものとして聞こえてきもする。
ただ、本書(『信長』は、戦後なのでここでは措く)を読む限り、結局、アレゴリーや、「歴史」を現在に取り戻すだの、いろいろ読むことは可能であろうが、所詮、そしてついに、作家であった、という印象が強い。あるいは、もう少し抽象化して「書き手」と呼んでもよい。ここにあるのは、何らかのドラマや物語への欲望ではなく、「ドラマや物語」を記述することへの、病みがたい連綿とねばり強い欲望である。それ以上でもそれ以下でもない。だから、「イノチガケ」にしても、シローテの布教・殉教がイノチガケであるには違いないが、つまるところ、「イノチガケ」とは、そんなシローテを書くことに「イノチガケ」になった、ある作家の小説だということになる。しかし、それこそ、20世紀の作家の使命ではないだろうか?