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紙の本
青春の門 改訂新版 第3部 放浪篇 (講談社文庫)
著者 五木 寛之 (著)
【吉川英治文学賞(第2回)】【「TRC MARC」の商品解説】未知の世界を求めて東京を旅立った伊吹信介。演劇への志に結ばれた仲間とともに冬の海峡を越えた信介は、いま函館に...
青春の門 改訂新版 第3部 放浪篇 (講談社文庫)
青春の門 第三部 放浪篇 【五木寛之ノベリスク】
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商品説明
【吉川英治文学賞(第2回)】【「TRC MARC」の商品解説】
未知の世界を求めて東京を旅立った伊吹信介。演劇への志に結ばれた仲間とともに冬の海峡を越えた信介は、いま函館に。若者のまえに立ちはだかる巨大な港の暴力。北国の街に青春の意味を模索する放浪の群像。彼らには、いったい何ができるのか? 圧倒的な共感を呼びおこす大河ロマン。(講談社文庫)
ひたむきな青春の遍歴を描く大河ロマン。未知の世界を求めて東京を旅立つ伊吹信介。演劇への志に結ばれた仲間と共に冬の海峡を越えた彼は、いま函館に。北国に青春の意味を模索する放浪の群像。第三部。【商品解説】
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紙の本
学生はコドモかオトナか 本分は「学び」なのか
2008/07/01 08:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベートーベンやモーツアルトの古典に心からの感動をおぼえない、生きていくのに不可欠なものと思えない。むしろ美空ひばりを聞きたい--そんな自分に主人公・信介は劣等感をかんじる。
私もそんな劣等感をいだいたことを思いだす。今でもクラシックを聴いて「指揮者は……」と語る人はすごいと思う。フォークや民衆音楽を聴いて涙は流すけど、クラシックを聴いてもそこまで心がうごかないもんなあ。
函館で主人公たちの劇団の一行は、港湾労働者を組織し、暴力支配から立ち上がらせようと働きかける。だが、「労働者」は立ち上がらない。けっきょく学生は、その土地に根をはる人間ではなく、旅人でしかないのだ。
この時代は、青臭い学生の理想論がまだ理解される面があった。だから、顰蹙をかいながらも、はねあがって行動する余地があった。私が学生のころは、社会問題にかかわる人間でも、「自分たちはアマちゃんの学生にすぎない」という劣等感が先にたち、オトナの労働組合のヒトたちと対等には話せなかった。今は……学生は自他共に子供あつかいされて保護の対象になっている、ような気がする。
貧乏な暮らしがつづき、「ただ生きるために働いただけなら、筑豊を出る必要はなかったのではないか」と信介は迷う。講義にもでず、中途半端な社会運動にかかわるだけで何のための大学時代なのか。私も、ろくすっぽ講義にでなかった。信介と同じように迷った。もうちょっとまじめに勉強をするべきだったかなあという後悔もある。でも逆に、まじめに勉強ばかりしていたら、もっと後悔したろうな、とも思う。
小説中ででてくる啄木の句
「非凡なる人のごとくふるまへる 後のさびしさは 何にかたぐへむ」
今読んでも、残酷なほど的確で、ほろ苦い。