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著者 横山 茂雄 (著)
聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム (ロサ・ミスティカ叢書)
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評価内訳
2010/06/22 06:48
投稿元:
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[ 内容 ] ヒムラーが人種政策において「最終的解決」に劣らず精力を傾注したのは、高等人種、すなわち、純粋ゲルマン=北方人種の「育成」であった。 ついにはユダヤ人大虐殺に至るナチズムと、アドルフ・ランツ、グイド・フォン・リスト(更にはブラヴァツキー…)等のオカルト進化=人種論との深くかつ微妙な関係、ヨーロッパ現代史の影の部分ともいうべきこの問題を気鋭の英文学者が英独仏の夥しい文献を渉猟しながら、《例外的な狂気や奇想の歴史》としてではなく、今日の問題、われわれの「抑圧された不安と欲望」の問題として徹底的に問い糾した野心的大著。 [ 目次 ] 第1章 ウィーン=バビロン 第2章 鉤十字の城 第3章 根源人種の彼方に 第4章 予言者たち 第5章 ナチ出現前夜 第6章 「20世紀の神話」 第7章 「祖先の遺産」 第8章 ホムンクルスの流産 附録(歪んだ性意識―ヴァイニンガー、シュレーバー、ランツ;玄米、皇国、沈没大陸;J.ランツ=リーベンフェルス博士『神智学とアッシリアの獣人』〔抄〕) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
2011/05/05 22:06
再読。 ナチスの反ユダヤ主義・人種論とオカルティズムの類縁性を扱った一冊です。 「オカルティズムへの傾斜は、一般には彼らの狂気、ないしは無知、無教養を示す証拠として言及され、嘲笑されてきた。しかし、そのような見解は事の本質を見誤るものである。十九世紀後半以来、オカルティズムは現実の外に己れの優位性、他者の劣等性を渇望する疎外された人々を魅きつけてきたのであり、とりわけ近代ドイツにあっては、フェルキッシュな夢想家たちの欲望を満たす格好の装置となったことを、私たちは既に見た。ヒムラーやローゼンベルクといった存在は、アリオゾフィに典型的な非理性的フェルキッシュ思想のコンテクストにおいて把握されねばならないのであり、彼らは直接的にせよ間接的にせよ疑いなくその影響下にある」(p. 202) 本書の核心は、おそらく上記引用にあります。 「高次の人種」幻想、社会ダーウィン主義、北方人類起源説、etcetc。十九世紀後半から二十世紀前半の欧州は、まさに奇説怪説の温床であったといえましょう。 荒唐無稽としか思えないそれらが、いかにして実際の政策ーーすなわちナチスの「最終的解決」へと繋がったのか? 本書はそのプロセスを論じて余すところがありません。 博覧強記でありながら論理は明晰そのもの。論理的な文章を書く方の参考にもなるのではないでしょうか。 オカルティスト・エックシュタインと音楽家・ブルックナーの意外な関係など、興味深いエピソードも満載。 お勧めです。
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