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紙の本
心理学とゲーム理論とをブリッジする一冊。
2002/07/19 01:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平野雅史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、個々人が合理的な意思決定を行い行動することによって、集団や社会の全体利益が減少する、所謂「社会的ジレンマ」を取り扱った書です。
本書を通じて用いられるツールは、ゲーム理論と(社会)心理学です。ゲーム理論自体、または社会心理学自体を取り扱う書は決して珍しくはないのですが、本書はその両者を用いる、即ち、数理社会学、経済学の知見と認知等の集団心理学の知見とを用いることで、集団に発生する問題を考えるための視座を与えてくれる、比較的珍しい書だと思います。
ビジネスの場面を通じて考えた場合、「人間」という変数ほど、インプットとアウトプットの因果関係が構造的に捉え難い対象事象はないでしょう。
例えば、近年、多くの企業で採用された「成果主義人事」は、その修正や撤回を余儀なくされるケースが散見されます。能力ある社員のモティベーションを引き出し、企業全体の利益を向上させるというロジック自体は間違っていないであろうと考えられるにも拘わらず、です。また、旋風を巻き起こした新しいマーケティング手法CRMは、現場への浸透が図られず思うような成果は上げられていません。
一見正しいロジックを以って構築されたものであっても、最終的にはビジネスを行う主体は従業員をはじめとする人間に過ぎないのであり、人間という変数が如何に動くのかを解明することが非常に大切なことだと痛感します。
企業価値などの財務関数とは異なり、人間という変数はその動きを論理的に捉まえることが非常に困難な変数であり、また、集団のなかでは、なぜ人々がその行為をとっているのか?の根本原因の把握は困難になりがちです。更には、施策実行と効果発現の間にはタイムラグなどが生じるため、その関係性を的確に把握するのは困難が伴います。
このような集団の動きとそのダイナミズムや因果関係、また、組織としての全体最適を考えるに際して、本書は有益な知見を与えてくれます。