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著者 杉本 良夫 (著)
オーストラリア6000日 (岩波新書 新赤版)
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評価内訳
2011/04/23 17:22
投稿元:
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@yonda4 風呂場での読書タイムのために古本屋で購入。 だらだら読もうと思っていたら、なかなか濃い、勉強になる内容だった。 著者の豪州6000日に渡る実体験に基づいた比較社会論。 目次 1、マルチ・カルチュラリズムの快楽 2、暮らしの中のゆとりと自然 3、メディアの中の日本 4、学習される日本 5、太平洋戦争の記憶 6、経済力という大波 7、アングロ・サクソンの文化力 8、市民生活とポスト・モダン 9、ジャパナイゼーションの光と陰 10、二つの社会の地下水をつなぐ 本書は91年に上梓された。たまたまなのか、この頃の岩波新書のブームだったのか、先日読んだ岩波新書の「豊かさとは何か(暉峻 淑子著)」と相通ずる内容だった。 1、2章で多民族文化からなる豪州の生活などが語られている。 様々な文化が織り成す豪州文化は自由・寛容。時間はゆっくりと流れる。 そこへ日本の経済力が押し寄せ、森林伐採、日本向けのリゾート地開発など当時は金にものを言わせていた。 今は中国経済が日本に進出しているが、日本もバブル期は同じようなことをしてたんですな。 あとは戦争のこと。恥ずかしながら日豪戦争という言葉を知らなかった。シドニー湾で日本の潜水艦が豪の艦船へ攻撃をしたこともあったらしい。そんなところまで手を広げていたのか。 20年前の本だが、自分が豪州について全く無知であったことを気づかせてくれたありがたい内容だった。 ほぼ単一民族国家である日本も、中国人の移民が増えていったとしたらどうなるんだろうと想像する。 日本人は自分たちの文化が変わることを嫌うだろうから、絶対喧嘩になるよな~。 コンビニで中国人レジ係がつり銭を粗末に渡すってだけで、文句言うからね。
2015/06/15 21:57
(2015.06.09読了)(2015.05.25借入) 世界の地理・歴史について知るためにあれこれと読んできたのですが、太平洋の島々とオーストラリアなどについては、あまり読んでいませんでした。この本で3冊目です。 オーストラリアは、動物では、有袋類で有名です。カンガルーとかコアラとか。 先住民は、アボリジニと呼ばれています。アメリカと同様、イギリスからの移民が入りこんで、開発を進めていったのでしょう。この本では、オーストラリアの歴史についてはあまり触れていないので、他の本で学ぶことにしましょう。 この本では、オーストラリアの大学に勤めながら、18年もオーストラリアで暮らしてきた著者が、今日のオーストラリアについて、あれこれと書いたエッセイです。 マスメディアから日本についてのコメントも求められるようで、専攻が社会学のため、積極的に、対応しているようです。 最近は、アジアからの移民が多いため、いろんな文化がが入り混じり、どうなるのでしょうか・・・。 【目次】 1 マルチ・カルチュラリズムの快楽 2 暮らしの中のゆとりと自然 3 メディアの中の日本 4 学習される日本 5 太平洋戦争の記憶 6 経済力という大波 7 アングロ・サクソン文化の力 8 市民生活とポスト・モダン 9 ジャパナイゼーションの光と陰 10 二つの社会の地下水をつなぐ あとがき ●オーストラリア人は宗教心が薄い(15頁) (ラオスから来た主婦)「キリスト教徒は、日曜日だけでしょ。私たちは週に何回も寺院に出かけます」 ●配達(41頁) 注文した品が約束した日に届かない。配達予定日が二、三週間先ということはしょっちゅうである。 ●社会システムに問題(100頁) 『わたしは反日本人ではない。反ファシズムであり、反軍国主義なのだ』 ●英国製(140頁) 現代世界は英国製であるという説がある。今日ほとんどの国々が採用している政治制度はイギリス式システムの複写ないし変種だと考えられないことはない。普通選挙権、三権分立、議会民主制、二院制、内閣制度などの元の鋳型はイギリスにある。 ●学校(147頁) オーストラリアでは学校は知識の伝授をする場所であり、倫理・道徳・価値観といった分野は家庭の責任領域になっている。先生は生徒に対して「態度が悪い」「生意気だ」「やる気があるのか」といった小言を、ほとんど口にしない。 ●戸籍制度(155頁) オーストラリアの生活様式の根底には、戸籍制度がないという構造的に重要なポイントがある。東アジアのごく一部の地域を除いて、日本にあるような戸籍制度は、世界のどこにも存在しない。 ●選挙権(159頁) 選挙については、権利の行使が義務化されている。選挙にいかないと、正当な理由がない限り、五千円ほどの罰金を取られる。 ●三つの波(180頁) この国を最初に支配した外国勢力は大英帝国で、これが第一の波。第二次世界大戦のあと、アメリカの支配力が強まって、これが第二の波。そして今、日本を先頭としたアジア資本主義がオーストラリアに権力を持ち始めており、第三の波として豪州社会に大きな���響力を与えつつあるというわけである。 ●日豪関係史(208頁) 第二次大戦では日本はオーストラリアと戦い、パプア・ニューギニアなどで激戦を交えたこと。豪州の北端の町ダーウィンは日本の空襲を受けたこと。シドニー湾には日本軍の潜水艦が現れて市民を驚愕させたこと。それに何より、日本の捕虜収容所で虐待を受けたオーストラリアの兵の記憶が、いまなお語り継がれていること。 ☆関連図書(既読) 「南太平洋物語」石川栄吉著、力富書房、1984.03.31 「キャプテン・クック」ジャン・バロウ編・荒正人訳、原書房、1992.10.25 (2015年6月15日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 日本の真南に位置する大陸オーストラリア。多種多様な移民たちがつくり上げるこの多民族・多文化社会の日常は、同じ高度産業社会のアメリカや日本とは異なった断面を見せてくれる。アジアとの結びつきを強めるオーストラリアと、そこに映しだされる観光開発・経済進出をはかる日本の姿を在豪十八年の著者が複眼的に伝える。
2019/11/23 21:34
18年間オーストラリアで生活をしてきた社会学者の著者が、18年の間に見聞したオーストラリアの社会と、日本の社会についての比較をおこなったエッセイです。 以前は、日本社会の閉鎖性を批判する声は至るところに聞かれましたが、ヨーロッパが移民問題に苦しんでいることが伝えられるようになった頃から、そうした声は少しトーン・ダウンしたような印象を受けます。本書では、多文化主義の方向へ進むことを明確に掲げ、市民的自由を最大限に尊重する社会を実現しようとする人びとによって担われている国としてえがかれており、日本社会との違いがくっきりと明確に示されています。 日本が多文化主義的な方向へ進むべきかどうかということについては、さまざまな立場があるのでしょうが、国籍を超えて一人の市民としてオーストラリア社会を生きる人びとのタフな姿が輝いて見えることはたしかです。もちろんオーストラリアにも日本と同じように多くの問題があるのでしょうが、理想を追い求めるのを諦めないことの重要性を学ぶことができたように思います。
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