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紙の本
椎名沢野が新人だった頃
2002/09/09 23:46
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投稿者:じゃりン子@チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学5年生だったある日、椎名誠の面白さに目覚めた私はとにかく家にあった椎名本を片っ端から読んだ。いつでもどこでも読んだ。家で読んだ。教室で読んだ。習い事に行くバスの中で読んだ。どっぷり「椎名な日々」だった。が、しかし、小学生には沢野ひとしの絵は馴染み難かった。何処を見ているのか分からない不振な眼の男。横に添えられた何が言いたいのかよく分からない文字。意味不明だった。ちょっと怖かった。おびえていたと言った方が近いかもしれない。
そして、この本の表紙は両面そんな沢野絵テイストに溢れていた。マスクを付けた男が「女の敵は女なのだ」「フッフフ」と言ったり、「おせるうちはまだよかった、妻24才」「今はひっぱるだけ、妻34才」の隣におっぱいの絵が描いてあったり、いかがわしかった。悪いことをしているような気分になった私は、バスに乗る前、カバーを剥いだ。すると本体(?)にも青地で同じいかがわしい絵が!! しかたがないのでカバーをひっくり返し、白地の部分を表紙にして読んだが、何だか奇襲を受けたようで驚愕したのを覚えている。
そんな私も20を越え、「このころの沢野絵が一番エネルギッシュだったんだな」と、思うようになってきた。意味不明度が高いほどエネルギッシュと言うのも妙だが、気持ち悪さと情緒が無理矢理同居しているあの感じ。今となっては懐かしい。読み返してみると、あの意味不明の文言が実はギャグだった、と言うことも分かってきた。若き日の椎名誠は一生懸命「ナンセンス」に挑戦しながら世界を観察していたんだな、などと思うようにもなった。「昭和軽薄体」と言う言葉と椎名誠が結びつかなくなって随分経つのだろうけど、このころの意味のないノリはやっぱり最高に面白かったなあ、と思ったりもする今日この頃でした。