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紙の本
ちょっと言葉では感想が書けません。
2007/01/20 04:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:緑龍館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔々、20世紀初めの第一次世界大戦直後 - 1916年から1927年までの約10年の間に、『眠り病(嗜眠性脳炎)』と呼ばれる謎の流行性疾患が全世界を席捲し、500万人もの人の命を奪ったことがありました。突然の昏睡や、それとは全く逆の強烈な不眠により、老若男女 多くの人が無残に亡くなりましたが、命を取り留めた人たちの多くも、『嗜眠性脳炎後遺症』と呼ばれる恐ろしい病いに悩まされることになります。その症状は極めて多種多様。眠り病回復からそのまま後遺症に移行してしまう人もいれば、完全回復後、数年、数10年後に突然重度の障害に襲われる人もいるし、その障害の内容も一人の患者に対して数10種類に及ぶ症状が現われることも珍しくありません。パーキンソン症候群に分類される重度の振るえ(振戦)、無動や加速・突進現象、緊張症(カタトニー)、ノイローゼ、重度のチック、強迫観念、幻覚などの突発的な症状から、動作や思考が全く停止してしまう状態まで、患者は心身ともに多彩で独特な病苦に苛まされ荒廃へと引きずり込まれて、遂には、完全に生気を失い意志伝達もほとんど不可能となり、命を持たない人形のような、あるいは生きたままのゾンビのような状態になってしまうという恐ろしい後遺症です。しかも後から判明したのですが、この後遺症で最も残酷な点は、このように千差万別の拷問のような症状や、あるいはマネキンのような外見にもにも拘らず、たった一つの機能だけは無傷のまま残されていたということ。知性、ユーモア、想像力や感性といったその人の人間性だけには、病の手が及んでいなかったということです。
それから数10年後の1960年、この病状を一夜にして画期的に改善させ、日常の生活に復帰させることのできる奇跡の薬が発明されました。
著者であるオリバー・サックスは、新米の臨床医として1966年、ニューヨーク郊外のマウント・カーメル病院に赴任してきます。この病院は第一次世界大戦の直後、神経系に損傷を受けた傷痍軍人と眠り病の患者のために「体の機能を失い死を待つ人々のための」病院(これが当初の正式名称でした)として設立されましたが、それから50年を経た当時でも、80人を超す脳炎後遺症の患者が入院していました。サックスはこれら脳炎後遺症の患者の治療にあたりながら、1969年からこの奇跡の薬、L-DOPAの投与を開始し、数10年の間、意志のない人形やゾンビ-のような状態にあった患者たちの、真に感動的な、奇跡の目覚めをともに体験することになります。目覚めた彼らは、なんと数十年のブランクにも拘わらず、昔と変わらぬ感性やユーモア、知性や人間性を損なうことなく保持していました。
しかし、それから間もなく、「奇跡の薬」であったL-DOPAには、あまりにも残酷な副作用があることが発見されます。
ドラマチック過ぎて、創作かと思われるかも知れませんが、これは実際にあったことです。この本は、その場でこれを体験し、状況の一部であった医師による、彼の患者たち − 嗜眠性脳炎後遺症により数十年におよぶ人形のような状態やその他の残酷な後遺症に悩まされた末、奇跡の薬により一夜に回復し、そうしてまた(そのうちのかなりの数が)地獄の底に突き落とされた患者たち − 20人の症例集です。
→緑龍館 Book of Days
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薬と病気
2018/05/02 09:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
薬で慢性的な病気を治す難しさを考えさせられた。患者を取り巻く人間関係も病状に大きな影響を与える、とオリバー先生が考えているところもとても興味深い。