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紙の本
ふたつの鏡が写し出すもの
2000/09/15 19:01
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投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1992年5月〜1993年10月までの、ほぼ1カ月に1テーマで、信濃毎日新聞の夕刊「ぶんか」欄に『思考する目−−科学と哲学の間』と題して掲載された連載記事を原型として刊行されたもの。
タイトルの通り、「科学」と「哲学」はともに相容れないものではなくて、この2つがお互いを照らし合わせてこそ見えてくるものがある、といった主旨の事が語られていく。
目次を少し紹介すると、「理系と文系について」「始まりについて」「次元について」「体について」「ウソについて」「大きさについて」「偶然について」「受験について」「砂漠について」「問いについて」「夢について」「水辺について」「星について」「見えるものについて」「不可能について」「地球について」「終わりについて」と広範囲の事項が取り上げられている。
広範囲な上に、科学と哲学の両視点からこれらを捉えていくので、科学書を読む感覚、あるいは哲学書を読む感覚で読むと、消化不良で不満足感が残るだろう。
著者自身も、「あくまでも科学と哲学の間にこだわり、しかも日常意識からの発想を重視したため、科学にも哲学にも深入りはできなかった。」と認めている。
著者はサイエンスライターであるが、本書「ふたつの鏡」は少し毛色の違った著作ということになるらしい。
しかし、科学書にも哲学書にもあまり馴染みのない私にとっては、打ってつけの1冊だった。カントが登場したかと思えば、天文学者ハッブルが出てきたり、三木清の「人生ノート」が引用されたかと思えば、マンデルブローのフラクタル次元が解説されたりと、「?」マークを背中にしょって読んでいる割に楽しんでいる自分がそこにいた。斎木磯司氏の挿絵もいい。
私が乱読の楽しみを感じる時は、このような本に出会えた時である。