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紙の本
あまりに情熱
2002/06/28 20:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にむまむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまりにも刺激に満ちた作品でした。 どうにも入り込んでしまっている自分と走りつづけている主人公たちの世界のなかで根底に流れる柵と悲壮感がへたな恋愛小説などよりも読んでいて涙を誘うのでしょうか?? 著者の作品はどことなく常に心に響いてくる物が多くて作品としては古いのですが、世相と若い心の動きを絶妙に捉えていて絶品です。揺れ動く描写に言霊が見える一冊でした。
紙の本
胸が、灼ける。
2002/06/25 00:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よの - この投稿者のレビュー一覧を見る
問答無用で5つ星。でも、評価なんて本当はできない。
冷静な評価なんてできないほど、私を狂わす一冊だから。
この一冊のイメージは、ただひたすらな「熱」。胸が灼けるあの「熱」。ただそれだけだから。
読み終わったとき、熱くて熱くて、泣いた。悲しいのでも、悔しいのでも、何でもなく、ただ熱くて熱くて泣いた。ボロボロ泣きながらうずくまっていた。自分が持っているわずかな言葉が全部飲み込まれて、私の頭の中で渦を巻いて嵐のようだった。そんな経験したことがなかった。本を読んでこんなにまで打ちのめされるなんてこと、それまでなかった。
今よりももっとずっと、心が脆かった二十代前半の頃のこと。でも、あの時の熱と痛みと震えは、今も忘れない。あの痛みをまだ私は覚えていて、今でもこの本を開くのには勇気がいる。読み返すと、やはり胸を灼かれる。
1作目『グラスハート』でも充分に打ちのめされたのに、2作目はさらに完全KO。何がどうという理屈になる前に、言葉を受けて、感じて、音を聞いて、ただ胸を灼かれた。
熱くて、痛くて、どうしようもなく、心がかき回されて、涙が止まらなかった。
ストーリー? そんなものは、考えなくていい。主人公たちがどういうストーリーを歩んでいるのかなんて気にしなくていい。そういう次元の話じゃない。
「音楽」の小説というイメージさえも吹き飛ばす、ただひたすらな「熱」。
ただ、灼けるようなあの痛み。
悲しい話なんかじゃ全然ない。
感動的な話なんかじゃ全然ない。
ひたすら音楽を愛する人たちが、必死で自分たちの音楽をするために走るような話。
そんな疾走するような話のはずなのに、涙が止まらなくなる。
心が灼けて、涙が止まらなくなる。
静かな場所で、一息に読んで欲しい、私の大切な一冊。
現代を生々しく生きる、熱い、熱い十代と、その余韻を残す二十代、三十代のために、きっとこの本はあるのだと、私は思う。
読んで、胸が灼けるあの感覚を知って欲しい。
この本の出す周波数と帯域があう何パーセントかの人が、これを逃してしまったら本当にもったいないと思うから(もちろん、この本の前に「グラスハート」を読んでいて欲しいことは当然の前提)。