紙の本
「時間」と「とき」を考える15ページは部分読みだけでも強くオススメ
2008/01/05 00:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ざわ・・・ぶろぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「月見うどん」はメタファー、「きつねうどん」はメトニミー、「親子丼」はシネクドキ。「たいやき」はメタファー、「たこ焼」はメトニミー、「焼鳥」はシネクドキ。
これはカバー内側にある本文の抜粋(の抜粋)なのだけれど、これだけで読む気をそそられる。言われてみれば確かに、なんとなく3つの表現はそれぞれ異なる系統に属している気がする。でもそれはどんな違い何だろう。メタファーとメトニミーとシネクドキって何だろう。そんな思いが湧いてくる。
また、第三章「メタファーと現代社会」はハッとさせられる珠玉の56ページ。特に第二節「メタファーと経済」の「時間の経済学」の項あたり(pp.170-185)は必読。
「時は金なり」「時間を浪費する」「お金で時間を買う」といったお金のメタファーと時間との関係をt=f(m)という関数で表している(tはtime、mはmoney)。つまり、時間に関する表現はお金に関する表現に応じて連続的に変化する、ということ。
忙しい忙しいと連呼する現代人に、疑問を投げ掛ける15ページ。著者はミヒャエル・エンデの『モモ』に言及して考えを述べているが、この15ページは自分の目で読み頭で考える価値があると思う。その時間はおそらく「損はない」ものだろうと私は考える。
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05-09-14
は、メタファーとアナロジーについて、次のように説明がありました。
割りきっていえば、メタファーが点対応であるのに対して、アナロジーは面対応である。たとえられるものA(未知)が、たとえられるものB(既知)との点対応によって理解される−これがメタファー。たとえられるものAの諸特質(a1 a2 a3 ..... )が、たとえられるものBの諸特質(b1 b2 b3 ..... )との面対応によって理解される−これがアナロジー。アナロジーとは、一貫したメタファーの連続的対応のことをいう。
つまり、次のような関係ですね。
「「伝わる!」説明術」では、アナロジーといいながら、ここでいうメタファーの内容が多いように思いました。それで、腑に落ちなかったのです。
学習でもメタファーやアナロジーを用いると、生徒の理解が促進されます。理科の学習でよく使われる例は、次の通りです。
メタファー
アナロジー 眼の構造とカメラの構造、電子軌道と太陽系、これらは複数点で類似があります。
次は、わたしが生物の授業でよく使ったアナロジーのオリジナルです。分かりますでしょうか (^_^) 。
体細胞分裂とテスト前日に休んだ友達への対応
DNAと学校を建てるときに、設計士が引いた設計図
盲斑を含んだ眼の構造と教室の構造
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目玉焼き・メロンパン・希望の光・人生の黄昏―日常言語に含まれる思考手段としてのメタファーをとりあげ、人間的意味の形成のしくみを明かす。
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比喩
①直喩
②隠喩(メタファー) XのようなY
より抽象的で分かりにくい対象を、より具体的で分かりやすい対象に見立てること ex. 雪のように色の白いお姫様→「白雪姫」
③換喩(メトニミー) XはYの特性である
現実世界の中での隣接関係に基づく意味変化 ex. 赤ずきんをかぶった女の子→「赤ずきん」
空間的隣接と時間的隣接
原因で結果を表す ex. 「机に向かう」で勉強する
結果で原因を表す ex. 「涙」で悲しみ
用具で原因を表す ex. 「矛(をおさめる)」で戦い(をやめる)
入れ物で中身を表す ex. 「杯(をあげる)」で酒(を飲む)
場所でものを表す ex. 「西陣」で西陣織
標識でものを表す ex. 「一本刀」でやくざを 「のれん」で店を
肉体で精神を表す ex. 「頭(を使う)」で頭脳(を働かす)
主でものを表す ex. 「プラトン」でプラトン哲学
ものでその主を表す ex. 「セーラー服」で女学生
④提喩(シネクドキ)XはYの一種である ex.人魚姫は人魚の一種である→「人魚姫」
類で種を表し、種で類を表す意味変化、主体と属性
ex.親子丼=「 親子」という類で特定の種「鶏とその卵」を表す、「ごはん」で食事を表す
根本比喩と派生比喩
「時は金なり」が成立すると、金を浪費する→時を浪費する、金を節約する→時間を節約する
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一応,メタファー=隠喩も研究テーマの一つにしている私。まあ,メタファーに限らず言語表現について,地理学のできる範囲では考えていきたいと思っているが,日本人によるこの手の本は今まで読んでいなかった。本書の著者の瀬戸賢一さんは『空間のレトリック』(海鳴社,1995)という本も出版されていて,『レトリック感覚』や『レトリック認識』を書いている佐藤信夫さんと並んで,言語学を専門としない地理学者には読むべき存在だと思う。
しかし,私はポール・リクールの『生きた隠喩』とかデリダの論文とか,難しいところに手を出して,これらの恐らく分かりやすく書かれているだろう著書には触手が伸びない。これはあくまでも好みの問題と,食わず嫌いな問題だ。でも,本書を古書店で見つけ,3章構成の1章が「空間のメタファー」にあてられていたので,買ってみることにした。しかし,この食わず嫌いはそれなりに正しかったようだ。普通だったらこの厚さだったら1日ちょっとあれば読めるのに,この本は3,4日かかってしまった。確かに,日本語と英語を使って,豊富な事例を語源とともに提示する,非常に説得的な本だし,かといって論理的な誤りも犯していない。字義通りの意味を無批判に仮定して,その上でメタファーを二次的な意味と主張するわけではなく,でもだからといってリクールやデリダほど懐疑主義者にはならないような,前提を自らに課しているだけだ。私にとって本書が読みにくい一つの原因は,新書というスタイルにあるのは確かだ。本書ではしつこく本文中に文献を示すのは避け,参考文献を巻末にまとめている。だから,議論をしているというよりも,解説しているという雰囲気で,読者と一緒に考えるのではなく,読者を説き伏せるような書きっぷりがやはり私には苦手である。
一緒にしてしまうのは失礼だが,やはり佐藤信夫さんの本も読まないんだろうな。
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[ 内容 ]
[ 目次 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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日本語と英語の比較を基に、「メタファー(たとえ)」の効用を語る。
視覚のメタファー等、日本語と英語での共通点などをみれば、普段何気なく使っている言葉にも知覚が大きく関わっていることが分かる。
これで貴方も例え上手!?
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メタファー(隠喩)は、メトニミー(換喩)とシネグドキ(堤喩)からなる。
類似関係、隣接関係、包含関係とのこと。
月見うどんはメタファー、きつねうどんはメトニミー、親子丼はシグネドキ。
白雪姫はメタファー、赤頭巾はメトニミー、人魚姫はシグネドキとのこと。
たい焼きはメタファー、たこ焼きはメトニミー、焼き鳥はシグネドキとのこと。
わかったようで、わからない。
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メタファーは、文学だけでなく、人間のちょっとした思考や生活においても切り離せず、物事の認識を助け、イメージを豊かに広げてくれることが分かる。また、時間をお金に見立てるような、特定のメタファーの浸透が、広く社会の価値観を固定化し、認識の自由を奪う危険性も示唆していることに共感する。
入門書にしては、この本で指すメタファーの定義説明がなく、人によっては、それのどこがメタファー?当たり前じゃん、と思われそう。また、例の選び方や論の展開がやや恣意的に感じる。帰納法的な方法をとらざるを得ないから仕方ないし、細かく検証してたら新書じゃ収まらないんだろうけれど。
最後の文献案内も良い。
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序章 メタファー発見
第1章 視覚のメタファー
第2章 空間のメタファー
第3章 メタファーと現代社会
著者:瀬戸賢一(1951-、京都市、言語学)
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私が手にとったのは真っ白な表紙に灰青色のうっすらとした正方形がうかぶ表紙のタイプなので、この画像とは少し手に取ったときの雰囲気も、本から受けるイメージも違うけれど、中身は同じもののようです。
この本の筆者は英語学が専門です。
英語を日本語を通して覚えることの危険性についても、この本を通して理解できる部分が多々あります。
よくある1語1訳の英単語集で覚えた知識ではなぜ歯が立たないのかも理解できるでしょう。
それ以上に、この本に出会うことで意識に変革が起きるのは、いかに我々が物事を、実際の姿に則してではなく既に知っていることと照らし合わせて理解しているかが分かるところに原因をみます。
私たちが見ている、感じている、かいでいるetc.etc.
そんな世界と「現実世界」との間には大きな隔たりがあることを再認識(re-cognize)させてくれる本です。
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つかみどころがない物事を捉えるときに、私たちはよく「メタファー」(隠喩)を用いて理解します。例えば、「人生」とは「旅のようなもの」であるとか、「議論」とは「戦いのようなもの」であるというような理解の仕方です。このようなメタファーによる理解は、人間の認知の根本的な特徴であるとも言われています。そして、メタファー的な思考は、創造的思考や発想において重要な役割を果たしていると思われます。認識、思考、創造のレトリックとしてのメタファーについて学びます。
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文学的な表現技法としてのメタファーではなく、「人間的意味の形成の問題」という観点からメタファーの認知科学的な意味に迫った本です。視角のメタファーと空間のメタファーを中心に、人間の認知活動や思考活動においてメタファーの持つ意味を解き明かしています。
テーマそのものはおもしろく感じましたし、数多くの具体例を提出して問題の広がりを読者に印象づけることに工夫が凝らされていますが、理論化ないし体系化への志向があまり感じられないところに、少しもの足りなさを感じてしまいました。
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最終章に書かれていた「メトニミー」と「シグネトギ」の違いが面白い.
メトニミー:たこ焼き,赤ずきん
シグネトギ:親子丼,焼き鳥
メトニミーは隣接や包含の関係で表されるものをいう.例えば,たこ焼きは具の一部で料理の名称を表している.「シリコンバレー」は地名でアメリカのIT業界全体を表現している.
シグネトギは種と類,数学的には要素と集合,情報科学的には「is-aの関係」になっている.
例えば親子丼では,鶏と鶏卵を「親子」と一般的な関係性で表している.
メタファー以外のレトリックを知れてよかった.
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すごく面白かった。専攻を決める前に読んでたら言語学にしてたんじゃないかってぐらい面白かった。
まず、メタファーレベルで日本語と英語の表現が密接に対応している(「暖かい色」が "warm color"だったりする)ことから、人間には感覚的に共通するところがあるんじゃないの?って論題提起が為されます。筆者はこれを「人間的意味の形成の問題」って呼びます。これには「人間とは何か」という根本的な問題へのアプローチが含まれています。
以上が序章の超要約。一章で視覚のメタファー、二章で空間のメタファー、三章でメタファーと現代社会(ここで心理学、経済学、科学との関連について言及)をそれぞれ扱うという内容です。
序盤は英語と日本語の対応からメタファーを明らかにしていくので、英単語を接頭辞、接尾辞に分解したりします。案外それが英語の勉強にもなります。
一番面白かったのは光のメタファー(p.57)のところです。light (光)は lux っていう、光の照度を表す単位に関連しています。ここから派生して luster (光輝)や illustrious (輝かしい、著名な)などの単語があります。luxの語源が、「輝く」「白い」まで遡れるそうです。ここから日本語なのですが、「著名な」の「著」が「いちじる(しい)」と読まれ、「いと」(とても)「しろし」(白し)に分解できます。「白」という成分が両者な共通して浮かんできます。こんな感じのが何個も挙げられています。
後半に関しては、メタファーとアナロジーとメトニミーとシネクドキが出てきて一気に難しくなります。さっぱりわかりませんでした。メタファーのところだけやっとって感じです。
休み明けのウォーミングアップとしては勉強になるけど、難しすぎる本でした。