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  3. ざわ・・・ぶろぐさんのレビュー一覧

ざわ・・・ぶろぐさんのレビュー一覧

投稿者:ざわ・・・ぶろぐ

53 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

躾の参考書として、頭の中に置いておきたい本

15人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

倫理・道徳を説いた本。
共感するところも多い。
残念なことだけれど、こういう思いは理想論と言われてしまうことが多い。

例えばp.57。

 人間は生まれながらに平等です。かけがえのない存在として侵すべからざる人権を与えられています。しかしそのことを自覚し、少しでも自分を磨き、人の為になることをしようと努力するか、いい加減に投げやりな日を送るかで、人間の格は違ってきます。品格のある人間になる、人を傷つける言葉は口にしない、できるだけ折り目正しいきちんとした美しい日本語を話すように意識する――こうした日々の行いを続けることによって、大きな違いが生まれてきます。

同感ではあるのだけど、正直者が馬鹿を見る経験をしてしまうと、こうしたスタンスを保つのは難しくなってくる。しかし、そこで「どうせ・・・」と腐らないように生きるのが品格のある人なのだろう。

難しいかもしれないが、それは一歩を踏み出す勇気みたいなもの。
ほんの少しの我慢をすれば「よく我慢できた」と自分を誇れる。
すると、心に余裕ができて他人の失敗も大目に見ることができるようになる。
良い循環に乗れる。

理想論であるかもしれないけれど、理想に近づきながら日々生きる。
それは少しずつの積み重ね。
現実を理想に近づける生き方がしたいものだ。

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紙の本

紙の本速読トレーニング 決定版

2007/11/01 15:00

pp.130-139は特にオススメ。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

速読本の内の1冊。

この本ではまず、丹田呼吸法やキム式速読法を不要としている。
あった方がよいけれども、なくても大丈夫である、というスタンスを採っている。

この本が語る速読法は、右脳の並列処理を利用した方法である。
音読をする時のような左脳を使った理解は直列処理であり、速読には適さないと説明している。
右脳優位に読むことにより、速く読む。
最初のうちは記憶できないし、記憶の再現はタブーである。

第3章では視読という概念を導入して説明を展開する。
視読とは、目で読んで理解する、ということである。
頭の中で音読しない黙読、と理解して間違いないと思う。
洋画の字幕スーパーを理解する時のように、理解するのが視読である。
私の実践上でも、音読の「遅読ブレーキ」を外すことによって読むスピードは上がった。
しかし、これは左脳での直列処理のスピードを速めただけであるらしいが、即効性があり、よかった。

pp.130-139で説明されている、目の順応力を利用した速読法では眼を見開かせられた。
これ以降のブロック読みというのは効果が実感できなかったけれど、もう少し熟読してみようと思う。

説明に科学的な根拠があり、また文字通り「速く読む」方法であるので私は好印象だった。

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紙の本

「科学的速読法」について書かれた良書

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本を読むのが好きならば、魅力を感じる人が多いであろう速読。
私もその一人で、以前から速読には興味があった、が、眉唾だった。
そして速読について書かれた本を何冊か買って読んだけれど、やっぱりな、というのが率直な感想だった。
目次を読んで理解する、とにかく量を読む、主題文を読んで全体を理解する、2割を読んで要点を理解する…などなど。
どれも試しては見たものの、どこか読書と離れている気がして好きになれなかった。
しかし、この本は今までのものと一味違った。

まず、態度が科学的である、というのが一番大きな違いだと感じた。
速く読む、とはどういうことなのかを脳科学の観点から、自然科学的に、論理的に説明している。
部分読み、拾い読みを否定し、文字通り、速く読むことを速読としている。

眼球で文字を見る過程と、見たものを脳で処理する過程を医学的根拠を交えて考察し、
速読法は飽くまで訓練を通して習得する、スポーツの能力と並列的なものだとしている点にも信憑性を感じた。

速読法の説明をする中で「読んだものを頭の中で暗誦せず、そのままダイレクトに理解する」
という旨の記述が出てくるが、これは「英文を日本語に訳さず、そのままダイレクトに意味を理解する」
という、私が「訓練を通して習得した技術」だと納得できるものと似ていて、信頼できると思った。

なぜか、という根拠が明示されていて良書ではないかと思う。

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紙の本

7つの要件を読むために購入の価値アリ

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 さらっと読めて、しかも、わかりやすかった。
 ページ数は122。文字は割りと大きめ。パッと見があまり黒くない(文字で埋まっていない)。ギッシリ詰めたら100ページを切っていたかもしれない。それほどに、シンプルだった。しかし、わかりやすかった。
 話すチカラは7つの要件で高まる、として40ページほどでエッセンスが語られている。これは良い本だった。手元において暇を見つけては何度か見返したい1冊。

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紙の本

紙の本チーム・バチスタの栄光

2008/02/06 06:13

キャラクターの魅力と描き分けがすごい!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 直感的印象は、読みやすい。
 考えるに、その主な要因は文章の構成。

 ひとつめは頁の数。
 364頁から成る単行本を大きく3つの部に分け、3つの部を更に小さな章に分けている。章の数は全部で21。各章の頁数は長いものでも40頁程度、ほどんどが20頁前後で、10頁に満たないものもある。

 ふたつめは書式。
 章毎に小見出しがつけられている。これは読者にやさしい配慮。細切れのエピソードは頭の中で整理しやすい。だからストーリーの筋がぶれにくい。また、ひとつひとつの段落が長くないことも読みやすさを助長している。地の文が饒舌すぎで読む気力を削がれることがなかった。会話で文がちょうどいいテンポに保たれていて、牛歩になることもなかった。


 読みやすさを語ってきたが、この『チーム・バチスタの栄光』が「このミステリーがすごい!大賞」に輝いたポイントはそこではない。ではどこかと言うとズバリ、キャラがたっていること、これに尽きる。巻末で選考委員のプロフェッショナル四氏が語っているので、簡潔に済ませよう。

 キャラクターの魅力と描き分けがすごいのだ。
 バチスタチームの7人、語り手の田口、探偵役の白鳥、病院長の高階。物語の本筋に大きく絡む、主要人物だけで10人。その他の登場人物も脇役でありながらどこか癖があり、印象に残る。モブにとどまらない。

 随所に見られる医療タームや、溌剌とした手術の描写など専門的な舞台設定も魅力なのだけれど、そのあたりの解説を含めた巻末の書評も楽しめる。


 このたび映画化されたが、どのような映像になっているのか、そちらも楽しみだ。

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紙の本

この本の中には 「なぜ生きるのか?」 に答えるヒントがある

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

何度も頷きながら、一気に読んだ。
1997年、今から10年前に出版された本とは、とても思えない。

文中では「むなしさ」や「満たされない」という状態を説明する際に、うつ・援助交際・オウム真理教・生きる意味の喪失、などといった話が展開されているけれど、2007年現在、時事的な問題とメディアで取り上げられる話、例えばニート、についても根本は同じなのでは、と感じた。

幸せとは何か?
人生とは何か??
癒しとは???
価値とは????
人間とは?????

哲学チックに見えるかもしれないけれど、心理学やカウンセリングを専門とする著者の、科学的であり、宗教的な根拠の無い怪しさを否定した、人生指南の書と言ってもいいように思う。

「自分で考え、その過程で苦しみ、もがき、悩み、そして真に納得した時、自分で考えた意味がわかる。」
そんなメッセージを感じた1冊。

諸富さんの他の著作や文中に挙がっていた関連書籍にも大きく興味を惹かれたので是非とも読みたい。

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紙の本

専業作家として初の長編、村上春樹ワールド満載!

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「どうせ羊の話だろう」とためしに僕は言ってみた。言うべきではなかったのだ。受話器が氷河のように冷たくなった。
 「なぜ知ってるんだ?」と相棒が言った。
 とにかく、そのようにして羊をめぐる冒険が始まった。(p.66)


 『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』に続く――そして『ダンス・ダンス・ダンス』で終わる――「僕」と鼠の長編小説第3弾。前の2作と比べると筋がしっかりと固定されていて、追いやすい。読みやすい文章と解りにくい内容はそのまま。村上春樹が専業作家として発表した初めての作品。

 次に書く部分がすごく好きだ。


 「君は世界が良くなっていくと信じてるかい?」
 「何が良くて何が悪いなんて、誰にわかるんだ?」
 鼠は笑った。「まったく、もし一般論の国というのがあったら、君はそこで王様になれるよ」
 「羊抜きでね」
 「羊抜きでだよ」鼠は三本目のビールを一息に飲み干し、空き缶をかたんと床に置いた。(p.356)


 死ぬまでにあと6回は読みたい作品。

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紙の本

転職する前に読むマンガ

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 とうとう単行本が出た『エンゼルバンク』こと、ドラゴン桜・番外編。
 今回のテーマは「転職」。リクルートエージェントが取材協力しているようだ。

 読む前から思ったけれど『銀のアンカー』とテーマが重なるところがある。
 『銀のアンカー』では登場人物が大学生で、就職活動をテーマとして描いているけれど、彼らのメンター的存在、ドラゴン桜でいうところの桜木は一流のヘッドハンターだ。三田紀房は『銀のアンカー』の時点でリクルートエージェントに取材協力を仰いだと考えられる。リクルートエージェントはリクルートエージェントで宣伝効果が望めるだろうからいわゆるWIN-WINの関係。

 話は逸れたがエンゼルバンクは今後どうなるのか楽しみなマンガだ。『夢をかなえるゾウ』という物語仕立ての自己啓発本が部数を伸ばしているが、方向性としては『エンゼルバンク』も重なるところがある。
 
 転職を考えたことのある人は、転職する前に、転職活動の合間にでも読むと「なにか大事なこと」に気づくかもしれない。

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紙の本

紙の本ダイブ!! 上

2007/09/21 05:52

キャラクタ・ストーリー・リアリティ・文章…魅力がありすぎる!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これはヤバイ!
読み終わった後に、そして読みながら思った、率直な感想だ。

 前々から書店で『DIVE!!』を見かけたり、人づてに面白いらしいと聞いたり、と、興味があったので買ってはいたのだけれど「飛び込みの話らしいね」ぐらいの理解をして、部屋の一角の積み本となっていたことを読み終わった今、恥ずかしく思うくらいに、この本はよかった。面白かった。胸が熱くなった。夢中になった。

 中身に触れて、あのキャラクターがどういい、だとか、あの場面でのあの台詞が、あの行動が…という感じに言葉を連ねるのが失礼なくらいに、作品に対して何も言えない、言うべきでない、という気持ち。文庫版には解説がついていて、上巻では『バッテリー』のあさのあつこさんが、下巻では『一瞬の風になれ』の佐藤多佳子さんが筆を執っているのだけれど、それがまたいい。解説のおふたりも今をときめく話題のスポーツ小説女流作家というのだろうか、自分の表現力の無さが恨めしいけれど、要するにビッグネームだ。大物だ。その解説にも首を縦に振りつつ、なるほどそんな見方もあるのか、などと呟きながら、いやいや、そうではないのだ、もっとここが面白かったではないか、などと恐れ多く反論したりもする。
 とにかく、魅力がありすぎて、どこそこがよかった等々という話が絶えない。

 上・下と間髪入れず一気に読み終え、頭の中を複雑な思いが交錯しているなとなんとなしに自覚しながら、下巻の解説を眺めていると、ある箇所がふと目に留まった。“『DIVE!!』の単行本は4巻あり、1巻が知季、2巻が飛沫、3巻が要一のストーリー。4巻は、オリンピック代表権をかけた試合が、登場人物9人の視点から多角的に描かれる。文庫は1、2巻が上巻、3、4巻が下巻の2冊となる。”というのである。おぉっ、確かに4部に分かれてはいたのだけれど、そういうふうには意識してなかった。これは単行本でも是非読みたい。

 読後にこんな気分になったのは『涼宮ハルヒ』シリーズ以来。久しぶりの大ヒット。

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紙の本

紙の本中国行きのスロウ・ボート

2008/08/24 17:13

これは村上春樹にとっての最初の短編集である。

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 “本書には1980年春から1982年夏にかけて発表された七つの短編が年代順に収められている。長編を里程標にすると、「1973年のピンボール」の発表後に最初の四編が書かれ、「羊をめぐる冒険」のあとに後半の三編が書かれた。したがって「カンガルー通信」と「午後の最後の芝生」のあいだには一年近くのブランクがある。
 これは僕にとっての最初の短編集である。(p.4)”

  収録作品は上記にあるように7編。それぞれの題は下記。

 1.『中国行きのスロウ・ボート』
 2.『貧乏な叔母さんの話』
 3.『ニューヨーク炭鉱の悲劇』
 4.『カンガルー通信』
 5.『午後の最後の芝生』
 6.『土の中の彼女の小さな犬』
 7.『シドニーのグリーン・ストリート』


 4番目に収録されている『カンガルー通信』が好きだ。語りかけの文章が読みやすく、そして何と言っても村上春樹的で面白い。『カンガルー日和』を想起させるのもマル。

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紙の本

紙の本陰日向に咲く

2008/01/31 01:47

素朴で、あたたかく、読みやすい

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

素朴で、あたたかい物語だった。
そしてなによりも読みやすい。

5編のショートストーリー(30~50頁)から成り、
それぞれが短いまとまりに小分けされている。
この本は1ページが40文字×15行で構成されている。
更に、句読点や改行が多く1ページの文字数が少ない。
ページを開いたとき色が白い。
だからサクサク進むし、話の全体像もつかみやすい。

文体に注目してみても、やはり素朴であたたかく、読みやすい。
お笑い芸人として培ってきたものなのか、言葉を選ぶセンスを感じる。
わかりやすい言葉の中に、諺や格言を織り交ぜつつ、
抵抗なく入ってくるような文章。
リズム感もよくて、しゃべるような文調がスッと頭を流れていく。
そばを食べるときのように、スルスルッ、と読みすすめていける。

発想、ギミック、世界観、そして短編同士のつながり。
どれも想像以上にすばらしかった。
ニヤニヤしたり、ドキドキしたり、ウルウルしたり。
読後はとても爽快だった。

余談だけれど、映画も雰囲気がよく映像化されていて一見の価値アリ。

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紙の本

紙の本魔法・魔術

2008/01/14 11:22

文章の量的にも質的にも読みやすい、魔法に興味があるけど知識がない人にぴったりの1冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『空の境界』(奈須きのこ)を読んで魔術と魔法についてもっと知りたくなった。
区別は何なのか、どういった理由で発展したのか、そのルーツは何なのか。
一言で言えば、興味。

この本では魔術と魔法は区別されていない。
ふたつの語は使い分けられていない。
「魔術と魔法の区別」は奈須さんの創作なのかな、と思ってWikipediaを見てみたら、ふたつは区別されているようである。
魔術と魔法は別項目として扱われていた。
まぁ、しかし、その話は置いておいて、この本について書いておこう。

この本の印象は、魔法・魔術総論あるいは総説。
構成は16の項目から成る。
魔女、ドルイド、ルーン、カバラ、錬金術、占星術、心霊主義、呪術、ヴードゥー、ヨーガ、方術、中国の魔法、修験道、密教、陰陽道、そして「魔法」小史(後書き)である。
各項目はだいたい15~20ページ前後で、全230ページ。
巻末には参考文献も載っており、各論への案内もされている。
本文も、私のように知識がない人でも十分に楽しめる解説であると思う。

この本を読んで、個々の魔術・魔法についての興味が強くなった。

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紙の本

「 」という全く新しい境界の概念

5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

月並みだけれど、これはもう、とにかく「すごい」としか形容ができない。
胸にズンと重く響く作品だった。

小説はメタファーであることが多い。
物語には著者のメッセージを読みとれることができる。
それは思想であったり、価値観であったり、あるいは感情であったり、
レトリックを使わずに形容することが困難な、複雑なものであることが多い。

『空の境界』は何を伝えたかったのだろうか。
著者に特定の意図はなかったかもしれない(とてもそうは思えない)けれど、
この、奥の方に響くものは、一体なんだ。
それを表現する言葉を選べないが、確かな何かが、ある。
衝撃。倦怠感。カタルシス。存在意義。境界意識。
どれも当てはまるようであり、しかし、不適切だ。

まだ勉強が、経験が足りないのだろう。
この本を理解できる段階に、自分は至っていないのだろう。
今の読後感は、そんな表現しかできない。

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紙の本

「時間」と「とき」を考える15ページは部分読みだけでも強くオススメ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「月見うどん」はメタファー、「きつねうどん」はメトニミー、「親子丼」はシネクドキ。「たいやき」はメタファー、「たこ焼」はメトニミー、「焼鳥」はシネクドキ。


 これはカバー内側にある本文の抜粋(の抜粋)なのだけれど、これだけで読む気をそそられる。言われてみれば確かに、なんとなく3つの表現はそれぞれ異なる系統に属している気がする。でもそれはどんな違い何だろう。メタファーとメトニミーとシネクドキって何だろう。そんな思いが湧いてくる。

 また、第三章「メタファーと現代社会」はハッとさせられる珠玉の56ページ。特に第二節「メタファーと経済」の「時間の経済学」の項あたり(pp.170-185)は必読。

 「時は金なり」「時間を浪費する」「お金で時間を買う」といったお金のメタファーと時間との関係をt=f(m)という関数で表している(tはtime、mはmoney)。つまり、時間に関する表現はお金に関する表現に応じて連続的に変化する、ということ。

 忙しい忙しいと連呼する現代人に、疑問を投げ掛ける15ページ。著者はミヒャエル・エンデの『モモ』に言及して考えを述べているが、この15ページは自分の目で読み頭で考える価値があると思う。その時間はおそらく「損はない」ものだろうと私は考える。

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紙の本

紙の本エラゴン 遺志を継ぐ者

2007/07/26 00:10

22cm、でもまだ続く。それなのに、読んだ後には続きが読みたいと思わせる

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

645ページにも及ぶ長編ファンタジー『エラゴン』。

 以前、友人に誘われて原作を読まずに映画を観に行ったので、内容はなんとなく把握していた。私はファンタジーにはあまり関心を惹かれず、ハリーポッターやロードオブザリングも映画館に行くものの、固有名詞の多さに惑わされて気がついたら舟を漕いでいるような性質だと理解したので、以来ファンタジーを読もうという気にはならなかったのだけれど、『エラゴン』は友人がしつこく(熱心に)勧めるのでしぶしぶ読んでみた。

 著者のクリストファー・パオリーニさんは1984年生まれ。高校卒業後、15歳から『エラゴン』の執筆に取り掛かり、2年がかりで書き上げたとか。それでもその時17歳。確か綿矢りささんや金原ひとみさんも同じ世代だったかと思うけれど、彼女らの作品を読んだ時以上に驚いた。これで17歳?!と。よく練られていて、単純に、すごいなぁと感じずにはいられない。

 世界の設定、キャラクター――特にサフィラ(ドラゴン)――の魅力、情景描写と文のテンポのバランス、など一度(ひとたび)読み出すと、物語の世界に入っていきやすいような気がした。親しみやすいというか、物語の世界への垣根が高くないような印象。『エラゴン』は『ドラゴンライダーシリーズ』3部作の第1作らしく、続刊の『エルデスト』も是非読んでみたいところ。

 他のレビューなどで何度か「本格派ファンタジー」「指輪物語、ハリポタ、スターウォーズを凌ぐ」というような趣旨の記述を見かけましたが、私は所謂「本格派ファンタジー」を、主に固有名詞の多さから、敬遠してきたのですが、これを機会に所謂「本格派ファンタジー」も読んでみようかな、という気になりました。少しだけ。やはり長いので。

 本は厚いけれど、字も大きく、読みやすくテンポの良い文体なので、読後の充実感(笑)と、続編への興味を残す、一石二鳥な1冊。

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