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ざわ・・・ぶろぐさんのレビュー一覧

投稿者:ざわ・・・ぶろぐ

53 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

心配を想起させる1冊

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 感想の第一声はこうだった。「おいおい、よしてくれよ」。

 「KY語は、遊びとして楽しんでいるうちはいいが、日本語の中に深く浸透しすぎると、いろいろ問題が出てくるだろう。若者の過度な使い方には心配なところもある。しかし、批判するにしても、まずKY語の何たるかを知らなければならない。中には、なるほどと頷いたり、感心したりするものもあり、使ってみたくなるものもあるかもしれない。ともかくKY語の実例に当たってみていただきたい。(まえがきより)」

 本編を進めるうえで、3つの前提が示されている。ひとつめはタイトルにもあるように「ローマ字略語が流行っている」こと。ふたつめは「若者はローマ字略語を、心配をされるほど過度な使い方をしている」こと。そしてみっつめは「KY語の実例を本編で紹介していく」ということ。この3つの前提は――読後の印象からすると――編著者か、読み手(私)の大きな思い違いである。これらについて順番に言葉を連ねてみる。

 まずは、ローマ字略語が流行している、という記述について。
 どんなことを「流行」としているのかはわからないが、「ちなみに、現在では、「NHK」は「日本ひきこもり協会」「日本貧乳協会」「年中ヒョウ柄キャミソール」などのKY語でもある。」(p.3)という記述は疑問符なしには読めなかった。「日本ひきこもり協会」という「KY語」のルーツは滝本竜彦の小説『N・H・Kにようこそ』にある。また、それを原作にしたマンガやアニメもある。しかし、流行と言うにはあまりに強引な印象を受けた。仮に、NHKが「日本ひきこもり協会」の略である、という認識を知っている人が少なくないとしても、「日本ひきこもり協会」という意味でNHKという言葉を使う人は稀だと言える。要するに、ローマ字略語は特に流行っているわけではない、と思う。

 次に、若者が「KY語」の過度な使い方には心配なところもある、という記述について。
 一番の問題は「なにが過度であるのか」わからないことだ。文脈からは「使う頻度が高い」とも読めるし、「作り出す数が多い」とも読めるし、「作り出されたKY語と、その意味することの間の距離が遠い」と読むこともできなくはない。なにを「過度」として書いているのかにもよるけれど、頻度が「過度」であるとすると、記述には全く賛同できない。逆に、読後の印象としては「こんな言葉は使われてないでしょ」と言いたくなる語が非常に多いと感じた。

 最後に、本編でKY語の実例を紹介していく、という記述について。
 ふたつめの後半でも述べたように、紹介されている実例の多くがあまりにも馴染みのない語だった。これは私が「KY語」に縁がない生活をしているという可能性もあるのだけれど、その可能性も踏まえた上で意見を書きたい。第2章「KY式日本語主要単語集」(30頁強)で紹介されているものは、目にしたことがあるもの、または耳にしたことがあるものがちらほらあった。しかし、第3章「込み入ったオトナの話はKY式で乗り切る 実検!KY語 現場編」(35頁弱)、第4章「KY式日本語 基本単語帳」(50頁弱)で紹介されているものは、全てと言ってもいいほどに初見、または初耳だった。80頁強を割いて紹介した「KY語の実例」は、本当に「KY語の実例」なのだろうか、という強い疑問が生じた。

 この本によって「ほほう、いま流行りのKY語とはこういうものだったのか」などという感想を持たれる読者がいるかもしれないと思うと、気分が暗くなる。私の「KY語」に対する知識不足・認識不足であれば編著者への失礼を詫び、杞憂だったのだと胸を撫でおろすと思う。しかし、そうでなかったとしたら、実際には存在しない言葉の乱れを創りだす悪著だと言わざるを得ない。

 せめて調査のデータやどのような調査をしたのかなど、情報のソースについて書いてあれば確かめようもあるのだけれど、残念ながら、それらはの記述はない。心配である。

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紙の本

速読法の本としてはイマイチ…けれど、得るものは多い

11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

速読について数冊読んでみようと手にとった内の1冊。
感想から言うと、根拠が曖昧でイマイチかな、という感じ。

 この本で言う「速読」とは重要な2割の部分を読んで全体の8割を理解する、ということである。
 しかし、その重要な2割をどう判断するのか、なぜ2割を呼んだだけで8割を理解できるのか、の客観的根拠が書かれていない。本を読むことは視点移動である、著者に憑依して読めばポイントがわかる、というのはなんとなく共感するところもあるのだけれど、それは速読、つまり「速く読む」こととは違うことだと思わずにはいられない。

 また、斎藤さんは「多読」を推奨しており、文字通り、量を多く読むことだけれども、そうすることによって本が書かれた背景や語彙や概念のストックが増え、理解力が高まり、結果的に読むスピードもしくは理解するスピードが高まる、ということらしい。これには全くの賛成で、しかし、その多読の速度を高める為の方法が知りたかった。

本筋から逸れるけれども、以下の3点は非常に良い指摘だなと思った。
(1)本を読んで新しい概念を知り、それを使えるようになることが目標である。
(2)引用したい重要箇所を意識し、記憶し、身につけることは大事である。
(3)「本を読めない時間」(=仕事)以外は本が読める時間なのである。

全体的には、得るものもあって読んで損はなかったと思える1冊。

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紙の本

統語的な話が少ないのはなぜか

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本は約240ページから成っているが、前半の40ページが音韻に関する話で、残りの200ページ前後は形態的な話だ。統語的な話は一切出てこない。タイトルからもあるように、外国語として日本語を学ぶことについて書かれた本で、だ。

 思い出してみる。中学校の時、外国語として英語を学んだときのことを。

 最初は単語や決り文句を暗記するが、その後は、基本文型を覚えた。第一文型はSV、第二文型はSCV……というように。そして英語嫌いへの最初の分岐点、be動詞を覚える。主語が一人称のときはam、二人称のときはare、三人称のときは単数ならばisで複数ならばareというように。つまり、統語的な話が先行していた。これは高校英語になると更に顕著になる。

 なぜこうも日本語と英語で教え方が違うのか。

 その理由のひとつが、日本語の形態変化が多様であることに気付かされる本。行く、行かない、行けば、行ったとき、行けども、行かずとも……。英語であればこのような形態変化はない。goはgoesとwentとgoneくらいにしか変化しない。その代わりとして、違う語をgoに組み合わせて、意味を付加する。go, I will not go, if I go, when I go, though I go, unless I go……。

 これを直観的に使い分けているのだから人間はすごい。

 具体例や経験談が多く、読みやすくはあったが、理論的な話も知りたかった。生成言語学的な解説を期待していたが、それはなかった。

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紙の本

説明が足りないと感じた、飽くまで私は、です。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

速読本の内の1冊。

読む対象物に9マスのフレーム(枠)を設定して読む。
つまり、視界を9つの四角形に区切って読む、というのがこの本が言う速読法だった。
読書以外の時にも、空間の中心を探し、その周りを周辺視野として定着させ、記憶させるとも。

速読でも何でも、ある程度の時点で自分にピンときた物の方が良いと思う。
この本が言うことは、私には合わなかった。

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紙の本

紙の本世界の日本人ジョーク集

2007/09/28 22:58

「忍者はもう存在しないと言ったのに、シアトルにいたではないか。」

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

売り上げランキングで目にしたのでつい買ってしまった1冊。
内容は、名前の通り、世界の日本人(を扱った)ジョークを集めたもの。

ジョークの紹介、その解説などがページを埋めているのだけれど、これがスラスラと読めて、ストレスが無い。本の性質上、改行や引用が多く、時にイラストも描かれているので、小説なんかと比べると、パッと見が白い。しかし、決して中身が無いわけではなく、微笑しながら、苦笑しながら、その合間合間で「へぇ~」と呟いてしまう。ルポライターである著者の経験、体験を交えながら「世界で日本人はどう見られているのか」教えてくれる本。

リラックスしながら、さらっと読めて、読後にちょっと賢くなったような気分になれる1冊。

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紙の本

紙の本国家の品格

2007/07/26 00:13

大事なことは、理屈ではなく「ダメだからダメなんだ」と教えよ

7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今更ながらのベストセラー。
 あまり流行ったとは思えないけれど、流行語大賞にもなった『品格』。

 第2章の「論理」だけでは世界が破綻する、が興味深い。
 生活の様々な場面で欧米化(欧米か!)が見られる昨今、それは思想や思考の形式にまで及んできた。合理的であること、効率的であることの価値が尊ばれるようになり、論拠や根拠の無い意見はとどのつまり駆逐。淘汰される。タカトシも驚きの論理至上主義。
 そんな時代に対する警鐘を鳴らす一冊。多少、ナショナリズムが過ぎると感じる部分もあったものの、日本人として、今の日本に生きる人間として考えねばならぬもの、感じなければならぬものが、この本にはある。という気がする。

 羨望は無くとも、尊敬されるような普遍的価値を生み出さなければならない、というような記述には感銘を受けた。

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紙の本

『サザエさん』化する名探偵

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 相変わらず話の本筋に大きな動きはなし。作者は一体、何巻で終わらせる気なのだろう?150巻ぐらいだろうか?(青山剛昌は46歳。年3.5冊のペースで70歳まで描き続けると150巻になる。)

 それにしても字が多い。とてもマンガとして読んでいられない。かといってミステリとしてはとても読めない。一体、このマンガはどこに向かっているのだろう?と一瞬、考えてみた。アニメの原作であるライトミステリ・エンタテイメント・マンガ、みたいなカテゴリ?

 諸葛孔明を下敷きにしたキャラクターには笑いのセンスを感じた。一体、どこに向かっているんだろう。

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紙の本

紙の本悩みのコントロール術

2007/10/23 18:09

指示でなく支持、解消でなくコントロール。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルの通り、悩みをコントロールする方法について書かれた本。

著者の東山さんはカウンセラーでもあるので、悩みを肯定する認知療法の立場から書き出し、とにかく眠る在宅森田療法を紹介し、そして目の前にあることだけをやるようにと「支持」するように論が展開していく。

第3章では心理的不適応という概念を紹介し、悩みを理解、肯定しつつもズレを修正し、悩みを解消ではなく飽くまでコントロールしていけばよいのだと言っている。悩んだ時にも読める本ではないかと思う。

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紙の本

紙の本銀河不動産の超越

2009/12/20 15:05

鋭さを柔らかさで包んだ、ライト・エステイト・エンタテイメント!

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ファニー(funny)な楽しさがあって、おもしろかった。

 単発の話で長くないし、連載小説だったからか読みやすかった。不動産仲介業が舞台になるんだというのは不思議な感じがしたけど、森博嗣が書いてると思うと安心して読める。父が工務店経営(だったかな?)で、元建築学科の助教授という経歴は意識のどこかにある。ディテールの描写もへぇと思いながら楽しめる。

 文章は全体的に軽くて、俗っぽい。比喩なんかこれは文学的にはひどいんだよなぁ、と思う部分もあったけど、エンタテイメント小説っていいなぁ、と久しぶりに感じた。読後にカバーのデザインを見ると、鈴木成一デザイン室っていいよなぁ、と思う。『スカイ・クロラ』シリーズもそうだったけど、こういうハードカバーの本は、雰囲気が詰まっているように感じられて好きだ。

 登場人物たちのように、広い家に住みたい。芸術的想像がしたい。工作ができるようになりたい。そんなことを想像して、ぼんやりと時間を過ごすことができた。

 論理で頭が疲れているときは、こんな本が読みたいと思う1冊。

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紙の本

物語が進まなくても、良いものは良い

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 相変わらず本筋はほとんど進まなかった。強いてあげれば小五郎と英理の距離が少し縮まったこと、灰原がAPTX4869の解毒剤の試作品(24時間で効果が切れる)を作ったこと、くらい。黒の組織も出てこないし、FBIも出てこない。怪盗キッドも出てこない。(ジェームス)ボンドを捩った名前のメガネの少年(本堂エイスケとかそんな名前だったかな)も出てこないし、そのボンド君の姉に酷似したミズナシなんちゃらも出てこない。
 もっとあるだろうけど、回収する伏線はいつ、どのように回収されるのだろう? もはやドラえもん状態になってしまって、作者も小学館も終わるに終われないような気がする。出版社としては終わらせたいとは思っていないだろうけど。作者はどうなんだろう?
 カバーのそでについている「青山剛昌の名探偵図鑑」は『探偵ガリレオ』(東野圭吾)の湯川学。おもいっきり福山雅治。

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紙の本

予想とは違ったけれど、いいところはあった

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

速読関連本をドサッと読んだ中の1冊。
速読とは全くと言っても語弊が無いくらい関係がなかった。

内容は著者、ハイブロー武蔵さんの読書観、それに関連したコラム的なもの。
読んでいてまぁまぁ楽しかった。
読書が好きな人なら共感するところの多い本かな、という程度の感想。

主観的には、文章から伝わってくる雰囲気が好印象だった。
・本を読んでいるからといって「いばる」のはダメである。
・知識が増えても謙虚である、という姿勢を持っていたいものである。
などなど、ハイブロー武蔵さんの価値観に注目して読んでもいいかもしれない。

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紙の本

紙の本進化するモチベーション戦略

2007/07/26 00:15

「本気になること」、それをビジネスで実践しよう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

リクルートに勤めていた小笹芳央という人が独立して作ったコンサルティング会社、リンクアンドモチベーション(LMI)について書かれた本。

 LMIという会社は「モチベーションをテーマに、人と社会を元気にする」という企業理念を掲げている。また、コーポレートキャッチには「ひとりひとりの本気がこの世界を熱くする」というものがあり、名前の通りモチベーションが高く、「本気」というメンタリティを感じる会社。

 内容は小笹氏の生い立ちやリクルート時代の経験が多少あるが、ほとんどがLMIという会社が何を目指し、どんな行動をし、その結果どのようなものが生まれたか。そういったLMIの好意的な印象を受ける紹介や歴史のようなもの。

 個人的に、モチベーションを上げる、ということは非常に興味のあるところであり、教育や人間関係、セルフコーチングなど応用できそうな考え方、具体策があるように思えた。ビジネスにも勿論、それ以外の様々な場面で生かすことができそう。また、持つ道具が増えれば使える場面を探していくこともできるので、読後に悪い気分にはならないだろうと思う。

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紙の本

麻枝准的な「マホウ」

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


 Keyの代名詞、麻枝准のルーツとなった小説のコミック化。

 以前は絵に抵抗感があって手が伸びなかったけど、それはそういうものとして筋やセリフ回しにフォーカスして読んでいくと、麻枝准的なものがたしかに感じられる。主人公の、謙虚を通り越した自己卑下と、それを好意的に受けとめる傷ついた人たち。キャラクタとキャラクタをつなぐ「マホウ」は、ことばでなく常識ではなく、音楽であり感情であり、希望であり絶望であったりする。それでも最後に救いがあり、深いやさしさがある。麻枝准的なものがある。

 ところで、2巻のあとがきに「次巻で一区切りつきます」と書いてある。が、しかし、商品検索では2巻完結の様子。いったいどうなってるのだろう? 続きが楽しみだが・・・。

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紙の本

紙の本寝ながら学べる構造主義

2008/03/02 20:57

とっつきにくい構造主義の、とっつきやすい入門書

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 内田樹3冊目。
 構造主義には前から興味(だけ)があったし、内田樹の文体に慣れてきたのも助けて、読みやすくて分かりやすいという印象。本の構成を大まかに書いておこう。6章に分かれており、1章で構造主義の概観と時代背景理解、2章で始祖ソシュールと言語の話、3~6章では構造主義「四銃士」を各章30頁程度を割いてひとりずつ説明していく。3章から順に、フーコー(系譜学的思考)、バルト(零度の記号)、レヴィ=ストロース(終わりなき贈与)、ラカン(分析的対話)の4人を軸に記述が進められていく。
 読んでいる最中は第6章のラカン以外は理解不能状態に陥ることはなかったけれど、読み終わった後に、じゃあ説明してみろ、と言われてもほとんど何も言葉を紡ぎ出せない。説明の体を為すまでの理解には――当たり前であるけれど――幾度か読み返すなり、別の本に手を伸ばすなりしなければいけない。
 しかし、読み物としても面白かったし、構造主義はじめ本書で触れた内容に好意的な興味を持つことができた。これはつまり、入門書としては優れた本である、という言葉と同義であると言ってよいと思われる。

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紙の本

紙の本不動心

2007/08/06 12:48

読めば眼が開かれる。「才能が無い」と諦めることなかれ

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ニューヨークヤンキース、松井秀喜さんの『不動心』。

 「はじめに」を読んだ時点で、それまで持っていた松井選手のイメージが変わりました。

 個人的に、ジャイアンツがあまり好きではなかったせいか、松井選手に対するイメージは良くなかった(と言うより薄かった)のですけれど、この本を読んで、松井選手の歩んできた経験を知り、その時々で松井さんが何を感じ、どういう行動を取っていったのか。それを知った時、「あぁ、私は偏見や先入観のフィルター越しに松井さんを見てしまっていたんだな」と反省させられました。

 文体からも、丁寧、勤勉、誠実、素直、真面目、そういった印象を受ける、まさにスポーツマンというべき真っ直ぐな人間性を感じる。メジャーリーグベースボールというと、イチローさんがやはりメディアに取り上げられますが、メディアから発信される情報は、良くも悪くも、メディアの手が加わっていて、受ける印象に変化を与えてしまうものだなと思いました。

 この本の中には、松井さんが大事にしている言葉がいくつか出てくるのですが、そのひとつを抜粋して、心に留めておきたいと思います。

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「人間万事塞翁が馬」を心の支えにしている僕ですが、何もかも達観しているわけではありません。何が起こっても仕方がないと、あきらめているわけではありません。
「過去」は決して悔やまぬよう心掛けますが、「未来」は違います。未来は自分でコントロールできるのですから。
「努力できることが才能である」
 これも、子供の頃から僕を支えてくれた言葉です。小学校3年生の頃だったでしょうか。父が半紙に毛筆で書いて渡してくれました。子供部屋に貼り付け、毎日のように眺めていました。父によると、加賀市で晩年を過ごした硲(はざま)伊之助さんという洋画家、陶芸家の言葉だそうです。
 僕は決して「野球センスにあふれる」というタイプではありません。両親からもらった丈夫で大きな体は、いくら感謝しても足りないぐらいです。しかし、何をやってもすぐに修得できるという天才型ではありませんでした。むしろ、人よりも進歩は遅かったように思います。
 子供の頃だと、努力しないでできるほうが格好よく見えますよね。汗をかかずに楽々とやってのけたいという思いがあります。でも、僕にはそれができませんでした。努力しなければ、人並みにもなれないタイプでした。
 そんなときに支えてくれた言葉でした。「努力できることが才能である」。試合に負けて、打てずに悔しいとき、素振りをしながら、父が書いてくれた紙を見つめました。この言葉が、僕の希望でした。
 プロ入りして実家を出るまで三度、部屋が変わりましたが、この紙だけは大切にはがして、新しい部屋に貼った記憶があります。
 大リーグには才能あふれるプレーヤーがたくさんいます。その中に入って、あらためて思っています。どんな世界であれ、努力をせずに成功した人などいないのではないでしょうか。
 さらに成長するため、ニューヨークの部屋にも、あの紙を貼ろうかと考えています。(p.85-87)

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 ありふれた表現だけれども「一生懸命頑張る」という言葉が本当によく似合う人だな、と思いました。読み終わると松井選手のファンになってしまいそうな1冊。

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