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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2005/11/17
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮新書
  • サイズ:18cm/191p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-610141-6

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新書

紙の本

国家の品格 (新潮新書)

著者 藤原 正彦 (著)

日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士精神であり、「国家の品格」を取り戻すことだ。すべての日...

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国家の品格 (新潮新書)

税込 836 7pt

国家の品格

税込 660 6pt

国家の品格

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商品説明

日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士精神であり、「国家の品格」を取り戻すことだ。すべての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

藤原 正彦

略歴
〈藤原正彦〉1943年旧満州生まれ。お茶の水女子大学理学部教授。数学者。著書に「若き数学者のアメリカ」「遙かなるケンブリッジ」など。

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評価内訳

紙の本

亡国の民に語りかける数学者の声

2006/03/12 23:51

29人中、28人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「論理より情緒」。情緒を普段から優先しているような人がそれを言っても誰も信用しない。しかし、著者は数学者藤原正彦氏。この世で最も論理を探求している職業人である。我々凡人が、いかに騒ごうと、論理では数学の博士号を取得するような人には万が一にも勝てはしない。
 世の中全て論理で割り切れば、市場原理主義は徹底され、累進課税もなくなり、悪平等が跋扈することになる。そうした形式的平等は既に近代法学によって否定され今に至っている。著者は、市場原理主義を卑怯だと断ずるが、既にそのことは平等概念の変質とともに市場に了承されていることである。現代日本の法律は実質的平等を定めた憲法14条というフィルターを通すことにより、累進課税を初め多くの国民は利益を得ているのである。そのことからすれば、著者の「卑怯」という指摘は、まさにその常識を追認したに過ぎず、なんら新鮮ではない。しかし、その常識を多くの人は忘れていたということだろう。
 著者さらに武士道精神の復活を主張する。私は「葉隠」や「武士道」といった大名著を精読しているうち、日本という国家の中核は武士道にあると確信するようになった。日本的なものを追いかけていくと、必ず武士道という倫理体系に衝突するのである。武士道が体系的に発展したのは江戸以降だが、なぜそれをなし得たかといえば、「鎖国」の影響であろう。もちろん、そのベースは聖徳太子の中華圏離脱宣言にまで遡るが、そうしてわが国は大中華圏から距離を置いた。そこで外国から断絶した文明が誕生した。それこそまさに武士道である。
 かつて日露戦争において、日本は世界で始めて有色人として陸軍大国ロシアを粉砕した。ロシアは南下政策として日本を準植民地かする腹積もりであった。まさにロシアは骨肉まで怨むべき敵であった。しかし、日本は日本兵よりもまずロシア兵戦没者慰霊塔を真っ先に案子山に立てた。ロシア皇帝ニコライ2世は泣きに泣いたという。まさに武士道が成せる業である。
 その武士道を「韓国が起源」として世界中にネットを通じて英語で喧伝している韓国は日本の破壊者である。事態は相当逼迫しており、オリンピックには「剣道」ではなく「クムド」と登録される可能性が高い。そのとき、日本は滅びを加速させるだろう。
 太平洋戦争は情緒、論理とは全く無関係である。ハルノートを読んで欲しい。あれは日本に死ねといっているのと等しい(パル判事はモナコでも戦う以外ないと断言している)。そこには既に情緒も論理もない。論理的には死ぬならば戦う。戦う以上勝たねば植民地。ならば勝つために最善の手を打つというのが論理である。大体、軍部では米内、山本はおろか東条英機も戦争反対であり、陛下も反対であられた。戦争とは基本的に負けたほうが悪になる。もしアメリカがまけたら、日本に原爆を面白半分に2個も落としたトルーマンは最大の戦犯だろう。でもトルーマンは英雄なのである。その理由は、戦争に勝ったからという以外に何もない。
国家とは日本人みんなで作った共同の家である。家を愛するのは当然のことなのに、日本ではそれが出来ない。日教組や社会の隅々にまで入り込んだ共産分子に朝鮮総連の影響で、学校では君が代を歌うことも出ない。これが異常でなくてなんなのだ。
 日教組や共産党、社民、在日朝鮮人や中韓はこういう日本が強力になるだろう本が大嫌いである。そういう一部のダボが狂ったように本書を中傷している。しかし、やはり良識ある国民の目は騙せぬもの。88万部という売れっぷりは「どうもなにか大切なものが手中から消えていく感じがする」と嗅ぎ取った証拠であり、まだ日本は生きている証左であろう。

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紙の本

新書という形態の功罪

2006/04/02 17:34

21人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:そら - この投稿者のレビュー一覧を見る

藤原正彦さんは今とても売れているらしい。
歯に衣着せぬ発言で、その言動に快哉!を叫ぶ人も多いだろう。
一方、短時間の講演や薄い新書などでは、その論点も要約を述べるにとどまるため、誤読されたり、細部の説明不足をあげつらわれる嫌いもあるようだ。
現在、新書という形態が隆盛だそうだ。
内容も含め軽い、低価格ということから、手に取りやすいということだろう。
しかし、新書には自ずと限界があり、重いテーマを論ずるには紙数が不足である。
読書人口が減り、より軽い書物が求められる昨今、出版社が「新書」という形態に注目する理由はよく分かる。
「国家の品格」は、「文化防衛」という国家にとって、また国民にとって、存続をかけた重大なテーマについて述べられた本である(と、言い切ってしまってよいと思う)。
(従って、実は「新書」という形態に相応しくない重い内容を持っている。しかし「新書」であることで新たな読書人口を開拓できるというメリットもあるが)
また近代国家の成立にかかわる「自由、平等、国民主権」という理念が、封建的権威を覆すために創作されたフィクションであることを再確認させる。
今日の世界史の教科書の内容については全く疎いのだけれど、五十代の私が高校で学んだ世界史は、実は西洋史であった。
その「蒙を啓く」ために、この書物は大いに有効であると思う。
「国家の品格」を読んでも、マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を読んだ人は少ないだろう。
非常に薄い文庫本でも、巻末に膨大な原註を含む社会科学者の気の遠くなるような仕事を逐語的に読む余裕のある学生(これは皮肉)、或は意欲のある学生がどれくらいいるだろうか(だからこそ、新書というスタイルで易しく解説してくれる人が必要なのだろう。その実、新書では批判的に読むことは不可能だし、著者は必然的にアジテーターにならざるを得ないのではないだろうか。それがこの本に対する毀誉褒貶をもたらしているのだろう)。
プロテスタンティズム、それも特にカルヴィニズムが市場経済を促進させた。
カルヴィニズムに限らず、遡ってキリスト教が出現した当時のローマ及びヨーロッパ社会のひずみについて考察することなしに、宗教・思想は理解できない。
革命的思想が一つの仕事をし終えた後で、その「虚構」を冷静に見つめ、著者の言葉で言えば「惻隠」の情という不確かだけれど強固な感情に立ち戻ってみることが今必要なのだろう。
因みに現在50代の人間が学生時代に読む社会科学者と言えば、政治の季節であったことの影響として文科系理数系を問わずまず「マルクス」であったのではないだろうか。
放置すれば残酷さをむき出しにする市場原理は、人間性の麗しい側面を破壊するだろう。
マルクスによる革命思想が潰えた今、資本主義は覆すものではなく、制御すべきものとして、理性的に付き合ってゆくべき対象となった(この本には現政権の政策に対しても批判的である)。
エレガントな論理では割り切れないもの、時代を通じてあまり変わらない人間感情の機微について、それを最も抽象的な数学を研究する人によって「諭される」と、えらく説得力があるものである。

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紙の本

見つめなおしてみましょう。---「国家の品格」書評

2006/03/19 16:36

17人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hiro-tom - この投稿者のレビュー一覧を見る

ここまで断言口調で説明されれば気持ちよい。著者の勢いは、
数学者の論理というよりは、どちらかというと体育会系ののり、
といったほうが近いような気がしながら読んでいたが、読後は、実は難しい内容を論理的に説明しようとしていたんだな
と感じ方が変わってきた。
本書の一番のメッセージは「論理は万能ではない」ということ
だと思う。特にビジネスの世界では、この論理が幅を利かせる
ことが多く、グローバリゼーションという波がアメリカから
流れてくるような業界は特にこの「論理」一辺倒である。
さらに、最近では、ビジネスだけでなく、人と人との会話・
つながりの基本的生活部分にまでこの論理「だけ」が
はびこってきており、大切な日本特有の「情緒」と「形」が
失われている、と指摘している。
さらにこれだけに留まらず、「武士道」の復活を提案。
日本人の美学としてだけでなく、これからの日本人生き残り
の武器である、という。愛国主義という単純なものでなく、
人間として備えていたいものをもう一度思い出そう、
というものかもしれない。
もうひとつは、「国」というものを再認識させようと、
必死である。国際人という民族は存在しない、出身地を誇り、
自国を誇れない人間がどうして国際人になれよう、と英語だけ
しゃべれ自国について語れない日本人が海外で幅を利かせる
ことを憂いている。自分の立っている場所を誇り、自分の
場所を愛し、説明できない人間は、確かに尊敬できないだろう。
それは、外国人が日本人を見るときも同じだろう。
これまで日本人とは他民族と比べてどうなのか、
日本人は近年どう変わってきたのか、それは良いことなのか、
悪いことなのか、見つめなおしてみよう、という方にお勧め
します。

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紙の本

話題の本を貸してもらって…

2006/04/21 10:19

17人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「今、話題の本だよ」とお友達が貸してくれました。
このテの本はあまり読んだことがありませんので、
読み終わるのに、信じられないほど時間がかかりました。
「日本人の持つ情緒や形というのは、どういうものでしょうか」
「まず、真っ先に言えることは、自然に対する繊細な感受性です」
四季がはっきりしている日本。
この国に生まれた幸せを改めて感じました。

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紙の本

子供に勧められて読んだ「国家の品格」

2006/02/24 17:48

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

高校生の長男が藤原正彦氏の著作のファンで、ごく最近、「国家の品格」を読んで痛く感動したということで、私のところに本を持ってきました。私にも読めということでした。こんなことは余りないことです。
たまたまある県の町村会の勉強会の講師として呼ばれたので、行ってきましたが、その往路、新幹線の中で一挙に読みました。明確な文章で、高校生にも分かる内容でした。なるほど、子供が親に勧めたくなるのも分かる内容でした。
要は、経済学を含めた欧米流の論理には所詮限界があり、日本の情緒とか惻隠の情といった「武士道精神」の伝統価値をもっと重視し、この日本的価値を世界に向けて発信していくべきである。「論理」と「合理性」頼みの改革は、社会の荒廃を促進するだけである。美しい情緒は人間の傲慢を抑制し、謙虚さを教えてくれる。という所論です。
講習会の中で、現在の財政構造改革路線、市場経済化路線の下での地方財政制度改革、地方交付税改革の動きに触れつつ、日本人全体で惻隠の情という
感情が薄れつつあり、地方や農村部を突き放すような議論が横行しつつあるが、そういう動きの中で、「国家の品格」に見られるような考え方もどっこい生きているのは嬉しいことです、と思わず書籍紹介までをしてしまいました。なお、これと比較する意味で、「冷徹な新古典派的論理」で書かれていた、ある若手学者の所論のさわりも紹介しましたが、講習会に参加された皆さん方は、深く記憶に刻んだご様子でした。
後日、早速この本を購入したいという話を何人かの方から伺いました。
子供から薦められた本に親父が気軽に乗ってしまうのも恥ずかしい限りですが、少しは成長した子供を見ていて、読書が情操教育に果たす役割の一端を垣間見た気がしました。藤原正彦さんが本当に言いたかったのは、読書の薦めなのだと思いました。事実、この本も、藤原さんの読書の成果が本になったようなものなのですから。

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紙の本

本書は、良書か?悪書か?

2006/09/15 22:01

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、世界的に行き詰まった状況を打破し、日本民族に自信を与える良書であった。本書は、ベストセラーである。インターネット書店bk-1の書評を見ても18件も投稿されている。評価は、良し悪し真っ二つである。最低の悪書というものと、最高の良書というものに二極化されていた。これだけの、両極端の評価を得る本書は、インパクトが有り、内容が有った良書であると私は思う。
 本書は、欧米型の論理・合理主義を否定する訳では無いが、それが100%という事は否定する。そして、加わるべき要素として、日本民族が古来から持っていた「情緒と形」を重んじる文化を挙げるのである。何故、論理・合理主義100%がダメなのか?それを明確に解説している。論理展開が100%正しいという事は有りえるし可能である。しかし、論理の出発点には、論理は無く、各人の発想から始まるのである。その正しい論理の始まりを助長するのが「情緒と形」であると著者は、説く。人間に取って、最低の者は、どういう種類の人間か?それは、「情緒と形」の能力を全く持たず、論理展開は、100%間違い無く行えるという人物であると、著者は言う。すなわち、こういう人物は、始まりを誤ると100%謝った結論に達してしまう。仮に論理展開が未熟な人間は、例え、始まりを誤っても、論理展開の紆余曲折で正しい結論に達する場合もあろう。現在の日本の教育は、前者のような人間を育てる教育になっていると著者は、批判する。本書には、記載されていなかったが、論理展開が100%正しい2つの例を示そう。「地球温暖化は避けねばならない」従って、二酸化炭素を出さない発電方式は望ましい。従って、原子力発電所は、有効である。これに対し、「人間は間違いを犯す動物である」従って、巨大システムには事故はつき物である。一旦事故を起こすと取り返しの付かない事態になる巨大システムは避けた方が良い。従って、原子力発電所は、受け入れられない。論理展開は、100%正しくとも、出発点が違っていたら、正反対の結果になる好例だと思う。
 著者は、小学校教育に英語教育を導入するのに反対する。その理由は、本当の国際人は、自国の文化を完全に理解出来た者。従って、文化を理解する手段である自国語を100%マスターする事が、本当の国際人を育てる事になると言う。私も全く同感だ。例え、英語を100%話せても、考える手段が日本語ならば、日本語で考えねば会話は出来ない。更に、話す事が発想出来ねば会話は出来ないのである。考える手段としての言語を初等教育において徹底的に鍛える事は、当然に思う。
 「国家の品格」が成り立つ為の条件を3つ著者は挙げている。(1)美の存在(2)跪く心(3)精神性を尊ぶ風土。これらの要素を日本民族は、全て有しているというのである。いや、有していた、失いつつあると言うべきか?日本は、「普通の国」で無く。「特異な国」なのである。それで良いのである。いや、むしろそれに誇りを持つべきと著者は言うし、私もそう思う。本書を読んだ人であれば、この意味は理解出来ると思う。決して危険な思想では無いと思う。
 本書を読み終えて、dog earを付けた個所を数えると15ケ所もあった。それだけ、私に訴えるものがあったし、納得したのである。
 会社の昼休みを有意義に過ごせたと思う次第である。

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紙の本

風に立つライオン

2006/07/25 23:36

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「突然の手紙には驚いたけど 嬉しかった」。そんな詞で、さだまさしの楽曲『風に立つライオン』(1987年)は始まる。さだの友人の医師がモデルというこの歌は、アフリカの地に診療の場を見つけた一人の青年が日本に残した恋人にあてた書簡体の形をとっている。彼は過去の恋人に日本の、それも東京の夜桜がよかったと言う。そしてアフリカという自然に向き合っていると神様とか人といったことを考えるのだと、彼は言う。そんな自然に触れると、「やはり僕たちの国は残念だけれど何か大切な処で道を間違えたようですね」と詞は続く。
 藤原正彦の『国家の品格』は多くの読み手を得たベストセラーである。今更ながらにどうしてこの本が多くの人に読まれているのかということを考えると、さだの詞にあるように、多くの日本人がこの国は「何か大切な処で道を間違えたよう」だと感じているからではないかと思われる。戦争という悲惨な過去を経て、民主主義という目が眩むような生活を手にしたこの国の多くの人たちは、「中流意識」といった幻想の中であきれるくらい見事に、それまでこの国が持ち続けてきた文化を捨ててきたように思う。まるで休むことをしなくなった生活は利便性という一言で正当化され、「ゆとり」という言葉は何の余裕も生み出しはしなかった。そして、それら多くの事象の対し、私たちは「違う」という言葉さえ発しなかった。たとえ違和感があったとしても。
 藤原の論理は明確である。(藤原は論理そのものを疑っているが)。日本が本来持っていた「情緒と形」を取り戻せという。実はこのことは歌手さだにも共通する思いだ。先のさだの詞の底流にあるのは日本という文化への限りない愛情である。だからさだはその詞の中であえて「日本を捨てた訳ではな」いと書いたのではないだろうか。さだの多くの作品が藤原のいう「情緒」にあふれているのは周知だろう。さだの楽曲を愛する多くの人たちはそのような「情緒」に共鳴しているといえる。
 私たちが間違ったものとは何であったのだろう。どうして多くの人が自分たちの今の姿を間違っているかもしれないと不安に感じてしまうのだろう。時代の三叉路で私たちは実に的を得た選択をしてきたはずなのに。私は考える。私たちがその時その時選んできたことは、あまりにも狭い世界での近視眼的な発想ではなかっただろうか。その中でこの国の慣習なり風俗といったものがないがしろにされてきたのではないか。残念だけどそう思えて仕方がない。
 さだまさしはこの楽曲の最後をこう締めくくる。「最後になりましたが、あなたの幸福を心から遠くからいつも祈っています」。他人の幸福を祈れる人がいる国こそ「品格」のある国家ではないだろうか。私も「風に立つライオン」でありたいと思うし、この国のそうであってほしいと願ってやまない。

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紙の本

断乎支持します

2005/12/11 21:08

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GAWA - この投稿者のレビュー一覧を見る

「国粋主義者の独善的な日本礼賛」と評するひともあるかも知れぬ。しかし、私は「日本の伝統たる武士道精神を復活させよ。日本は『普通の国』などではなくむしろ『異常な国』であれ、それが世界を救うことにもなる」という本書の主張を支持する。
結局のところ日本人はどうあがいても日本人でしかないのだから、日本人であることに徹するほかないと私も思う。
日本の社会は「常識」によって成り立ってきたが、明治維新から百数十年、敗戦によるアメリカの占領から60年を経て「常識」は次第に侵食され崩壊し、ついには「なぜ人を殺してはいけないの」という問いが発せられるまでになった。
このような状況下で、「武士道精神」を復活させ、「常識」を取り戻すのは並大抵のことではないだろう。しかし、その方向へ一歩でも半歩でも進まない限り、社会はやがてはホッブズが「リヴァイアサン」で描いたという「万人の万人に対する闘争」状態になるであろう。
本書がより多くの人に読まれ、「常識」を取り戻すきっかけになることを希望してやまない。

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紙の本

品格ある著者による品格ある国家論

2005/12/02 01:04

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sheep - この投稿者のレビュー一覧を見る

大昔に岡潔という数学者の「日本の心」という本を読んで以来、数学者の本は読んでいない。どうも肌にあわなかったのだ。それなのに、腰巻きに惹かれ、数学者がかいた本を購入してしまった。
講演をもとに書き直したためだろうか、実に読みやすい。講演の時のくすぐりがそのままのこされたのか書き加えたのか定かではないが、講演を拝聴しているかのようで、あっと言う間に読み終えた。実にもっともな説でたちまちファンになってしまった。大数学者として岡潔の影響をうけたという話がでてきたのには当惑したが。
アメリカの大学で数学を教え、アメリカの「議論」の応酬でものごとがきまるのが爽快に思え、帰国後しばらく「アメリカかぶれ」だったという。
同じ英語圏のイギリスで一年暮らして、アングロサクソンとは言えまったく違う国であることを知った。イギリスから帰国後、著者の中で「論理」の地位が大きく低下し、「情緒」が大きくなったという。
論理よりも情緒、英語よりも日本語、民主主義よりも武士道精神で、「国家の品格」を取り戻すべきだと。
数学者とはいえ、かなりの語学マニア、幾つか言語を習得し、アメリカ人学生のレポートを添削していた人が、小学校への英語教育導入を批判するのだから、耳を傾けるべきだとおもう。
「第三章 自由、平等、民主主義を疑う」が特に興味深かった。
著者の言葉を引用しよう。
”主権在民には大前提があります。それは「国民が成熟した判断をすることができる」ということです。この場合には民主主義は文句なしに最高の政治形態です。
しかし国民というのは一体成熟した判断ができるものなのでしょうか。”
そうではないのだ。そこで見出しを引用すると、「国民が戦争を望み」「民主主義がヒットラーを生んだ」のだ。
おもわず読み返してしまった部分がある。
- 冷徹な事実を言ってしまうと「国民は永遠に成熟しない」のです。-
911クーデター選挙の結果は、まさにこれを絵に描いた現象だった。
著者はまた、「日本は異常な国であれ」という。
政治家たちのいう「普通の国になるべきだ」という説は、この普通の国は「アメリカみたいな国」に過ぎないときって捨てる。
一読、気分は非常にすっきりしたが、膨大な資金でマスコミを駆使し何でもありで責めかかってくる品格なき卑劣な体制派勢力は「武士道」では押し返せまいにと我に返る。
奥様は「著者の話しの半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷だ」とおっしゃるそうだが、そんなことは決してない。
彼の母堂は藤原てい。「流れる星は生きている」という彼女の名作を読んだことを思い出した。彼の正義感、あの名作とまっすぐ繋がっているにちがいない。そもそも作品に登場している。こういう先生にこそ、文教政策の大綱をたてていただきたいものである。

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紙の本

グローバルスタンダードは日本を崩壊させる

2007/02/24 15:54

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカのアポロ11号が人類初の月面着陸を果たしたとき、世界はアメリカの技術力、国力に感嘆の声をあげ、アメリカとの戦争は無謀であったと日本人は改めて認識した。
 しかし、通っていた中学の担任教師はそのアメリカの快挙を鼻先で笑うのだった。アメリカ人の技術ではなく、ドイツ人、ユダヤ人、日本人の技術力があったからアポロは宇宙に飛び出ることができたのだと。白人、とりわけアメリカ人イコール優秀と固く信じ込んでいた田舎の中学生にはにわかに信じられなかったが、後年、移民国家アメリカには優秀な世界の人材が集まる場所ということが分ってから、「なるほど」と今にしてようやく理解できた。

 そのアメリカが世界で何をしているかというと、自国の国益にばかり邁進している。
 それも、わずか一握りの権力者の我欲を満たすだけのためである。東シナ海のガス田開発ではアメリカを共同開発に参入させなかったが故に日本と中国がもめるように背後でアメリカが中国を刺激しているともいわれる。
 無理やり開国を迫ったアメリカに100年も経ずして日本は戦いを挑み、それも戦闘機から銃、弾薬に到るまで全て日本は自前の武器である。アジア、アフリカなどは欧米の植民地として支配されてきたが、植民地化を免れ、武器を自国で生産し白人国家に挑んだのは日本だけである。冗談の如く語られるのは、日本に米軍が駐留するのは、中国や北朝鮮を牽制するためではなく、日本を監視するためとも。

 敗戦後、経済という力で再び日本は世界に跳梁したが、ことごとくアメリカは日本を窮地に追い込む仕掛けをしてきた。排ガス規制、農産物の自由化、捕鯨禁止、バブル経済、国際貢献、グローバルスタンダード、成果主義などである。
 今、成果主義を取り入れたことで日本の企業の現状は成果を得ることなく崩壊し始めている。技術立国日本の先端技術や技術教育は安定した長期の雇用形態が産出したものである。資源のない日本において世界に誇れる資源は高い資質の人材であるが、その資源というべき人材の教育現場は崩壊している。一人の天才が集団を率いるアメリカと秀才の集団の日本とが同じ土俵で成果主義を導入したらどうなるか。
 職場で周囲を見回せば、マニュアルがなければ仕事ができない連中ばかりではないか。常識のレベルにおいつけない事を恥じるわけでもなく、「教えてもらっていません」と誇らしげに言い放つ企業集団になっているのではないだろうか。目先の快楽を追い求めることを推奨するマスコミに踊らされていないか。
 グローバルスタンダードを標榜するアメリカを疑い、日本はダブルスタンダードを認識しなければならないだろう。著者の主張、賛成である。

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紙の本

日本人であることを誇りに思いたい

2006/08/16 23:43

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:南亭骨怠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 今から二十数年前,新田次郎の本を手当たり次第に読んでいた。当時,山岳部に所属していた私にとって,新田次郎の山岳小説に出てくる人物に大きく影響された。
 「私は山男である」・・・このことは,意思決定の場において何度もで出てきたイメージだ。山男として,自分はどう行動するべきかということを考えていた。
 山男である。バイク乗りである。教師である。父親である。これらは,私を作る重要な要素になっている。ところが,私のアイデンティティーの中に,「日本人である」というものがない。
 ワールドカップやオリンピックでは日本を応援する。日本人が良い成績を上げると嬉しい。日本が嫌いなわけではない。ただ,日本人であるということを誇りに思うようなことはない。
 映画「ラストサムライ」を見終わった人たちへのインタビューに「日本人に生まれたことを誇りに思います」と答えた人がいた。この言葉が印象に残っている。「日本人であることを誇りに思う」 そう思える時が,どれほどあるだろうか。
 意思決定の場において,「山男としては」や「バイク乗りとしては」と考えることはある。しかし,「日本人としては」と考えることは皆無である。
 私が勝手にイメージする日本人は,「私利私欲で動かない」「卑怯なことを嫌う」「沈着冷静」などを思い浮かべる。だが,現実は正反対のことばかりだ。
 人に押し付けるようなことではないのだろう。ただ,「日本人とはどうあるべきか」ということは,多くの人に考えて欲しいと思う。

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紙の本

日本人に日本人としての「品格」とは何かを問うた本。

2008/12/28 12:37

7人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る

元祖「品格」シリーズの最初の本。

日本人に日本人としての「品格」とは何かを問うた本。

グローバリズムという名のもとに、すべての価値観が欧米によって決められてしまっているかのような現代。それが必ずしも正しい道ではない、ということは気が付いている人も多いはずです。

近代的な合理主義や論理思考のみで、世界を語ることはできません。

もちろん、論理的思考は大切ですが、そればかりでは世界が破たんすると本書では警告しています。

そもそも人間世界を構成しているのは、生身の人間であって、論理ですべてを決定することはできません。

そこで著者は、日本には従来から人間主体の考え方で社会のバランスをとるすぐれた方法があったと指摘しています。

キーワードは「武士道」。

日本人独特の美的感性や道徳観は、今回のサブプライムショック後の世界で必要な要素だと個人的には思っています。

利益だけが成功のものさしとして使われている資本主義ではなく、論理的思考も残しつつ「何が正しい道か」を考慮した日本的資本主義の出現が世界を救うのかも知れません。

龍.

http://ameblo.jp/12484/

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紙の本

大ベストセラー

2020/05/26 18:47

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投稿者:North Shin - この投稿者のレビュー一覧を見る

『若き数学者のアメリカ』の著者藤原正彦氏の大ベストセラー『国家の品格』です。

私は、『若き数学者のアメリカ』を読んだことがあったのですが、内容的にはかなり違う本です。

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電子書籍

shiina

2014/09/23 12:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:shiina - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本にとても共感を感じます。

この本のブームは過ぎたかもしれませんが、感覚的に説明されている内容が今でも「ほんとにそうだよねー」と感じます。

特に明文化されものから得たいたわけでもない、多くの日本人が共通に待つ感性にからすると、90年代後半からの企業、特に株式会社のあり方は、違和感を感じざるを得ません。

戦争に行って生き残った人々と、大学でろくに勉強もせずに、デモなど今から振り返るとわけのわからない活動を行ってきた団塊世代の人々とは全くレベルが違いますよね。
(まあ、当時はネットなどないため偏った情報しか得られなかったせいかもしれませんが…)

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紙の本

日本よ,よみがえれ

2006/07/18 01:49

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1943年(満州国)生まれ。新田次郎(作家)と藤原てい(『流れる星は生きている』)の次男。東大理学部数学科卒後,同大大学院修士課程修了。ミシガン大学研究員(72年,29歳)。理学博士(73年,東大,30歳)。専門は数論。コロラド大学助教授(73年)。お茶の水女子大学理学部数学科教授(88年,45歳)。『若き数学者のアメリカ』で第26回日本エッセイストクラブ賞受賞(78年)。本書は,城西国際大学東芝は国際交流財団共催の講演記録をもとに執筆したもの。手許のは17刷。著者62歳の作品。バンバン売れてる。編集者の名前が見当たらないのは,こんなのがここまで本格的に売れるとは,編集者自身も予測できてなかったからだろう。定年前に印税で一財産。いいなぁ。
 趣旨は,国家の品格は,論理ではなくむしろ武士道精神によって培われる,というもの。形式論理の象徴でありと同時にその神である数学の研究者が,論理の限界を論じたもの。というよりむしろ,論理は危険だ的な主張だと言える。「私はガーナ人でガーナを愛さない奴がいたらブッ飛ばします。韓国人で韓国を愛さない奴がいたら張り倒します。仮に張り倒さなくても,少なくともそういう人間とは絶対に付き合いません」(112頁)という発言に見られるように,郷土愛や祖国愛の欠如した人間や,無意味な発言を英語でピーチクパーチク話すインターナショナル・バカを軽蔑しており,小学校への英語教育導入に真っ向から反対していて,国語教育を重視する立場。小学生に株式投資を教える課程を無用(有害?)と切り捨てる立場。
 そりゃそうだろう。言ってることは正論だ。これがわからない奴は,本当にダメだ。ヒトを殺してはならない。何故か? ダメだからダメなんだ,それ以外に反論する論拠はない,というもの。まったく同感だ。三浦朱門と曽野綾子の夫婦的価値観を藤原夫婦が継承しているという印象(僕は三浦が個人的に嫌いだけど)。
 問題は,そんな教育がこの変質した家庭=新世代を育んでいる男女に通用するかどうか,だ。最近の夫婦は確実に変質している。歴史の流れだと言ってしまえばそれまでだが,日本だけが変質しているような気がしているのは,僕が世界を知らないからだけなのかもしれない。でも,東大数学科を出ても似たような発想があるということは,多少は根拠もあるのかもしれない。
 ただね,加藤恭子『英語を学ぶなら、こんなふうに』が言っていたが,欧州人どもが桜の美意識を感じないのは,桜が違う生育をしているからという生物学的な事実もあるということに藤原が無知なのが気にかかる(104-5頁)。加藤によれば,桜はアイルランドではなかなか散らず,根性のある桜(はな)として認識されているらしいのだ。たしかに藤原の叫ぶ心情はよく理解できるし,同情もするし,同感だが,事実に基づかなければ,それは妄想だと言われても仕方がない。この点,小林よしのりに限りなく漸近している。
 キリスト教に端を発してホッブズからアダム・スミスを経てフリードマンまでに至る経済的自由主義的思考(藤原はこんな用語を用いていないが)を叩くあたり,羨ましいなぁとは感じる。たしかに,誰でも知っているように,合衆国は自由を尊ぶが,規範遵守に対しては日本と比べ物にならないくらい厳しい。三権分立はしっかりと分立している。合衆国を擁護する気はないけれど,事実は認定しておかなきゃ。日銀総裁が特定のファンドに出資しておいて,“規則がないから”,“素人だから”という弁解で済むようなら(これがインサイダー取引でなければ,法的再定義は必至だ),日本には活動の自堕落があるだけだ。日本の司法が無能呼ばわりされても,それは自業自得というものだ。
 日本よ,よみがえれ。(1722字)

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