龍.さんのレビュー一覧
投稿者:龍.

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
2011/05/08 17:27
「誰もが実践できるメンタル術」と帯には書かれていますが、実践するのはなかなか難しいです。
30人中、29人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「誰もが実践できるメンタル術」と帯には書かれていますが、実践するのはなかなか難しいです。
本書は、ワールドカップでゲームキャプテンを務めた長谷部さんのエッセイ風、自己啓発本です。
イチロー選手など際立った業績を残す人は、生活の全てが最高のパフォーマンスをするためのもののようです。
決められた時間に決められたことを行う。
簡単なようで、これがとても難しいものなのです。
・意識して心を鎮める時間を作る。
・過度な自意識は必要ない。
・マイナス発言は自分を後退させる。
・苦しいことには真っ向から立ち向かう。
・群れない。
・読書ノートをつける。
・夜の時間をマネージメントする。
・迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
・感謝は自分の成長につながる。
項目タイトルの一部ですが、これを読むだけでもなるほどと思えるものばかりです。
一番気に入ったところ。
「道に迷ったときは、「どちらが難しいか」を考えると同時に、「どちらが得るものが多いか」も考えるようにしている。たいていの場合、「難しい道」と「得るものが多い道」は一致しているが、そうでない場合もある。それは自分が今いる場所で、まだ何かをやり遂げたとは言えない場合だ。」
変化を求める気持ちがあり、これから今までやっていたことを続けるか新しいことにチャレンジするかの判断に迷うときがあります。この言葉は、その判断する際の基準として明確な方向を示してくれると思います。
それにしても著者がたくさんの本を読んでいて、語学などもかなり勉強しているのには驚かされます。サッカーだけしているのではダメだということは、我々一般人からすると仕事だけしていてもだめで、仕事のパフォーマンスを上げることを意識した生活をすることが大切なのでしょう。

永遠の0
2010/11/07 21:51
真実とフィクションが織りなす、感動の一冊。
28人中、22人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
真実とフィクションが織りなす、感動の一冊。
ゼロとはもちろん零戦のこと。零戦は日中戦争から太平洋戦争まで、日本の主力として活躍した戦闘機です。
物語は、現代に生きる孫が零戦パイロットだった祖父の足跡をたどる形で進んで行きます。そのなかで、現実にあった特別攻撃いわゆる特攻の真実が明らかになっていきます。
大戦初期、零戦の圧倒的な機動性とパイロットたちの優れた飛行技術によって、零戦は無敵の戦闘機でした。それが戦いが進むにつれ、物資不足、熟練パイロットの消耗、戦略の欠如、英米の技術進歩などにより、徐々にその優位性が薄くなり、追い込まれていく過程の中でいきついたものが特攻なのです。
人の命で国を守るという、本末転倒のような話が現実にあったということです。
熟練パイロットであった祖父宮部の戦い方を通して、道理にかなった行動が時代によっては否定されるということが分かります。
物語は、最後で驚きの事実が出てきます。しかし、物語の結末よりも、戦争という異常事態下で常識的に生きることのむずかしさが残る一冊でした。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

モンスター
2013/05/12 18:22
「ブス」「醜い」という言葉がこれほど数多くでてくる小説は読んだことがありません。
22人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「ブス」「醜い」という言葉がこれほど数多くでてくる小説は読んだことがありません。
本書は、生まれつきの外見の悪さからバケモノ扱いされ、しまいにはモンスターと言われるようになってしまった女性が、整形手術を繰り返し、完璧な美人に生まれ変わる、というお話です。
ブスであるがゆえに、人生のあらゆる場面で不当な扱いを続けてきた彼女。
女性を見た目で判断する社会に対し、恨み、憤りを感じながらひっそりと生きる彼女に、どこか社会のゆがみを感じてしまいます。ただ小説の中で歪んだのは、主人公の彼女のほう。
整形を繰り返すために、お金を稼ぐ様はリアリティがあります。見た目の悪さゆえ、最初は風俗でも働くことができずSMクラブへ。美に対し、究極まで突き詰めるようになりますが、心は歪んでいきます。
彼女の人生の目的は、初恋の人にもう一度会うということ。物語は、再会のために信じられない行動をとる彼女の心情を中心に描かれていきます。
「美」ということと「男のエゴ」が強烈に表現されていて、男性が読むと恥ずかしくなるくらい男性の身勝手な論理を描き出しています。また、整形手術の詳細や顔の美の比率など、作者が相当調査したことがうかがえる描写が続きます。
美を手に入れた主人公が、それを使って男性に復讐していくというのは、ほとんどの男性は読んでいて恐怖を感じるはず。
やっぱり女性は怖い。
龍.

スティーブ・ジョブズ 1
2011/12/04 21:34
読んでいると正直疲れる本です。
16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
まずは第一巻。
世界中で大ヒットした、スティーブジョブス氏の伝記。
第一巻ではその生い立ちから、学生時代、アップルの立ち上げ、アップル2の大ヒット、自分がつくった会社からの追い出し、ピクサーでの成功、のところまでが描かれています。
仕事のことだけではなく、私生活の部分もかなり詳細に書かれています。結婚までの付き合った女性や子供、家族との関係が驚くほど細かく正確に書かれています。例えば、付き合った女性との馴れ初めから初めてのデートの日時・場所や交わした会話などが細かく描かれているのです。本人の記憶力がよいのか、取材が徹底して行われたのかは分かりませんが、本当にすごいです。
第一巻を読んで、最も強く感じたのは、彼の性格の特異性です。
天才と言われる人は、どこか人間的な欠陥を抱えているものですが、ジョブスの場合は中途半端ではないことがよくわかります。仕事では付き合いたくないタイプというより、友人として付き合うのは難しいタイプ。それが、「宇宙に衝撃を与えるような仕事」ができる原動力になったのかもしれません。
事業の成功は「運」に左右される場合もありますが、彼の場合もそれが当てはまりそうです。徹底的に商品にこだわる姿勢は常人離れしていますが、事業がかなり危ない場面も苦しみながら何とか乗り越えてきたようです。
当然ですが、事業でうまくいかない時があったことも書かれています。むしろ失敗の方が多い印象があります。彼の場合、その性格のため、事業が成功しているときでも、私生活がうまくいかなかったりと、まるでジェットコースターのような激しい人生であったことが分かります。
ベンチャー企業が育つ環境が、そのころのアメリカには間違いなく存在していたということが分かります。一世代前の成功したベンチャー企業で働いていた経験をもとに、次の世代のベンチャー企業を興すパターン。成功したベンチャーが後進のベンチャーに資金面・技術面などで手を差し伸べる場面が多く書かれていました。
個人的にはアップルの成功はベンチャー企業の成長のための教科書とはならないと思います。もちろん、一部、戦略的な部分などは応用できるところもありますが。
ジョブスの伝記という位置づけで書かれているということもありますが、彼自身の存在があまりに大きすぎる気がします。
読んでいると正直疲れる本です。
龍.

超訳ニーチェの言葉 1
2010/04/26 21:44
「超訳」という言葉がフィットする本です。
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「超訳」という言葉がフィットする本です。
ニーチェの哲学書は、最近でこそ口語調のものが出てきましたが、だいたいが文語調のもの。
文語調のものは格調が高く、読んでいてもなんとなくインテリの仲間入りをしたような気になるものです。
しかし、どれだけ内容を理解しているかは、別問題。
本書は、ニーチェの著書の中から、人生訓ともいうべき部分をピックアップしています。
しかも、その訳は口語調でかなりの意訳しているため、読みやすく、理解しやすいです。
「ツァラトゥストラかく語りき」から引用している部分もいくつかあったのですが、どの部分からの抜粋か分からないほど”こなれた”訳となっています。
内容はずばり人生について。この本を読んでいくと、大変勇気づけられます。物事の本質の部分をみることは、
人生を有意義に過ごす動機づけにもなると思います。
日常生活の中に埋没している人にとって、「はっ」となる言葉がたくさんならんでいます。
1ページについてひとつのトピックについて書かれているので、毎日少しずつ読んでいくのもよいかもしれません。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

働き方 「なぜ働くのか」「いかに働くのか」
2009/05/01 22:43
「なぜ働くか?」という問いを意識して仕事をしている人は、少ないはずです。
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「なぜ働くか?」という問いを意識して仕事をしている人は、少ないはずです。
本書は、仕事の本質について教えてくれます。
仕事はつらいもの、と考えている人は私も含めて多いのではないでしょうか。しかし、著者はそれではいけないと指摘します。
仕事は楽しいもの。
よい仕事をすることで人間性を高めるもの。
「「天職」とは出会うものではなく、自らつくり出すものなのです。」
自ら積極的に取り組むことでその仕事に意義を感じ、天職化していくものということです。よく、転職する人で「自分に合った職を探します」という人がいますが、たぶんそういう姿勢では一生天職に就くことはできないはずです。
「「渦」の中心で仕事をする
たんなる出たがりではダメです。仕事は一人でやるものではありません。周りをいかに巻き込んで、上昇していくかがポイント。この姿勢も「仕事が好き」という前提がなければできません。
「だれにも負けない努力」
人並みの努力をしても、成果は人並みです。それぞれ努力はしているはずですが、成功するためにはそれ以上のものが必要です。
人生の時間のなかで、仕事をしている時間はかなりの大部分を占めます。
お金?名誉?
そのようなものよりも、自分が仕事を通して成長していることが実感できた瞬間こそ価値があるのだと思いました。
でも、稲盛氏のこのメッセージは心の弱い人には、少し厳しいことも事実。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

夢をかなえるゾウ 2 ガネーシャと貧乏神
2013/01/06 17:28
大ベストセラーの第二弾。
14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大ベストセラーの第二弾。
前作はエンターテイメントとしても、自己啓発本としても最高傑作でした。そのようなベストセラーの後は、たいてい駄作となる可能性が高いのですが、本書はかなりの出来だといえそうです。
前作では、生き方に関する、考え方や行動の仕方についてのものが多かったのですが、本作はテーマをもう少し範囲を狭くしています。
ずばり「お金」に関する考え方について書かれています。
そのため、メインの神様であるガネーシャの他に「貧乏神」が登場してきます。
話の大筋は、売れないお笑い芸人が、ガネーシャと組んで、コントの頂点を目指す、といったもの。その過程のなかで、貧乏とは?幸せとは?ということを考えていきます。
主人公がお笑い芸人だけに、話の展開は、前作以上にお笑いが満載。すぐに読み切ってしまいます。
ただのエンターテイメントでないのが、著者である水野氏のすごいところ。共感できる部分がたくさんありました。
お金もちが幸せではないということ、夢を追いかけている時代が最も充実しているということ、など。
お金は目標にはならない。
結果としてお金もちになるのはいいとしても、その過程でどういう姿勢で生きているか、が大切。当たり前と思っていますが、実践するのはなかなか難しい。
テーマをお金と絞ったため、より明確に著者の言いたいことが伝わる半面、たくさんのメッセージが詰まっていた前作よりは、その分小さくなった印象があります。
著者の才能にただただ脱帽。
龍.

夢をかなえるゾウ 文庫版 1
2012/02/12 21:32
今頃になって読んでみました。
13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
今頃になって読んでみました。
170万部のベストセラーになる理由が分かります。いわゆる成功するための本ですが、教訓を並べた単なる自己啓発本ではありません。
物語仕立てで、すんなり読み進めることができます。
物語は、主人公がわがままな神様ガネーシャと暮らし始めるところから始まります。主人公は成功するための行動をガネーシャからひとつずつ教えてもらうのですが、その方法が具体的な行動であるところがポイントです。心構えを言うだけではなく、具体的な行動から心構えを知ることができるのです。
物語は「なんでそんな事をしなければならないのか?」という疑問を持ちながらも、少しずつ実践することで成長していく主人公とガネーシャの共同生活をコミカルに描きながら進んで行きます。
物語の結論は、本書ではあまり重要ではありません。
人間として成長するため具体的な行動をしていく、その過程が大切だということが理解できます。また、その具体的な行動は、簡単なようで継続するのが難しいことでもあります。
コミカルな描写が多いですが、その中には多くの成功者たちのエピソードなどが挿入され、説得力があります。
目標が見失いがちな若い世代の人たちに読んでほしい内容でした。
龍.

香水 ある人殺しの物語
2009/03/29 11:13
この小説のジャンルは、何になるのでしょうか?
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この小説のジャンルは、何になるのでしょうか?
奇想天外なストーリーと圧倒的な表現力で、引き込まれます。
物語は、ひとりの「匂いのない」男が主人公。匂いに異常なまでの執着を見せる彼は、究極の香水作りに取り組みます。
その香水とは、処女の香り。
しかも原料は、生身の処女たち。
おぞましい物語ですが、読んでいると文章から香りがしてくるような錯覚にとらわれます。
香水には、もともと媚薬的な効果もあるため、エロスとも結びついた表現が多くなりますが、主人公が求めるのは匂いのみ。肉体には全く興味を示さない、というのがかえってエロスを感じさせるのかもしれません。
匂いを支配する主人公は、世の中のすべての人を魅了することに成功します。
そして、ラストシーンは、すさまじいエロシズム。
映画にもなった作品ですが、小説の方が細かな描写を読み取ることができるためお勧めです。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

「原因」と「結果」の法則
2009/01/10 21:40
元祖「自己啓発本」。
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
元祖「自己啓発本」。
書かれたのが1902年ということですので、100年以上前の本です。しかし聖書などと同じく、普遍的な思想を書いているため、いま読んでも新鮮な気持ちになります。
本書のテーマは、「成功の秘訣」「幸せな生活」など、どのようにしたら人生をより豊かに過ごすことができるのかということです。
「環境は思いから生まれる」
この言葉には、とても納得させられました。
たとえ現在が不遇だとしても、それは周りの環境のためにそうなっているのではないのです。自分の心が環境を作っているのに過ぎないということ。
現在の状況を変えたいと思うのなら、環境を変えるのではなく、まず自分の心を変える必要があるのです。そして、その心は環境を作り出すというのです。
すべては自分の心という原因が生んだ、環境という結果なのです。
そう考えると、なんでもできそうな気がしてきます。
そして周りの成功者を見ると、心が正しいと思われる人が成功しているのに気がつきます。心が正しくなくて成功している人は、いずれどこかで失敗するもの。
一度きりの人生、自分の心をコントロールして豊かに過ごすためには欠かせない一冊です。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

絶対貧困 世界最貧民の目線
2009/04/25 07:41
地球上には、たくさんの貧困にあえいでいる人たちがいるのということは「知識」として知っています。
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
地球上には、たくさんの貧困にあえいでいる人たちがいるのということは「知識」として知っています。
でも、その人たちの日常生活は、よく知りません。
本書は、世界の貧困の現実を教えてくれます。
一日一ドル以下で暮らしている人にとって、いわゆる「人間らしい生活」は想像できない世界です。
その日一日をどうやって生きるかがすべて。
そんな最低限の生活をしている人々が共同生活をしているスラムでは、互助精神が今でも残っているようです。都会に住む人間が忘れかけている「助け合う」精神が、最低の生活をしている人々の間で残っているということは、「人間の生活」の意味を考えさせられます。
また、発展途上国に日本人観光客が行き物乞いの人たちに囲まれた際に言う「彼らに一々お金をあげても何の解決にもならないし、キリがない。だからあげるべきじゃない。」というセリフは、問題の本質を見誤っていると言わざるを得ません。
現実は、そのあげたお金がなければ、その日の食事にありつけないという現実。
本書は、おもしろおかしく描いているところもあり、とても読みやすいです。
でも、読んだ後にのこるのは、人間世界の現実はすさまじいものであるということ。
きれいごとで済まない世界があります。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

幕末史
2009/01/24 22:11
黒船来航から西南戦争まで。
13人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
黒船来航から西南戦争まで。
書き口が軽快なので、466ページの量もすらすら読めます。
幕末史では、司馬遼太郎さんが新撰組を題材にした「燃えよ剣」や坂本竜馬を題材にした「龍馬が行く」、大久保、西郷を題材にした「跳ぶが如く」などの作品を残しております。もちろんすべて読んでいますが、本書ではそれら小説の世界に書かれていることと史実が若干異なっていることに気がつきます。
勝者が歴史を作るといいますが、幕末史は薩長側からみた歴史です。したがって当然薩長側の都合のよい歴史になっています。
しかし、本当はかなり違っています。
本書ではいろいろな発見がありました。
たとえば幕府は黒船来航について、あらかじめ情報をもっていただとか、明治政府の内情だとかは歴史の教科書には出てこないものです。
特に志士として英雄視されている面々の評価は、本書ではかなり低いです。理由は、維新後の明確な国家像を描かないまま政権を取ってしまったこと。
幸いしばらくは近代化の名のもと、うまくいっていたように映りますが、その歪は太平洋戦争敗戦という結末を迎えることにつなかったのではないでしょうか。
しかし、現代の日本にも維新が必要なことは確かです。
今後、政権がどうなるかはわかりませんが、場当たり的な政策ではなく将来の国家像を見据えたうえでの政治を行ってほしいと思います。
龍.
http://ameblo.jp/12484/

蒼穹の昴 1
2008/10/14 20:09
ずっと読みたかったのですが
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ずっと読みたかったのですが、文庫化されるまで我慢していました。
場所は中国。時代は清朝末期。
どのような時代でも、悲惨な家族はいるものです。しかし、清朝末期の人々は、本当に可哀想な国・時代に生まれてきた人だと言えるでしょう。
この物語の主人公は、春児(チュンル)。極貧の家にうまれ食うや食わずの生活で、生きる長らえることこそが彼の人生。
一方、彼の幼なじみの文秀(ウエンシュウ)。かれは村の裕福な家にうまれ、中国最難関の試験、科挙に挑みます。
この対照的な二人が、故郷を離れそれぞれの道を歩んでいく様は、まさに人生そのもの。
ただ、あることから二人を運命の糸が結び付けていくのは、小説ならではと言うところでしょうか。
中国へは何度も言ったことがあるのですが、最初にいった15年前の北京の路地裏の風景はこの物語に出てくる感じだったと記憶しています。
清朝。
ロマンを感じる時代ですが、大変な時代だったと実感。
http://blog.livedoor.jp/c12484000/

道をひらく 正
2008/09/21 09:42
昭和43年に出版された本
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
昭和43年に出版された本。経営の神様、松下幸之助がPHPに短編連載した文章をまとめた本です。
内容は、121のテーマについて、ごく短い文章で松下さんの「思い」を表現しているものです。短い文章であればあるほど一文字の重みが増します。
いろいろな問題に直面しながら、日本を代表する企業を育てたその思いの真髄は、「素直さ」ということでしょうか。
文章のはしはしに素直であることの重要性と、文章自体が非常に素直に書かれています。
昨今の日本の経営者は、「お金が儲かれば勝ち」的な趣旨の考え方をしている人が多いのも事実。
でも、そんな商売は長続きしないです。愚直といわれるほど素直に、そうかといって深慮もある経営者像。
これが理想なのかもしれません。
http://blog.livedoor.jp/c12484000/

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
2012/08/19 21:44
ベストセラー「失敗の本質」の続編。
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ベストセラー「失敗の本質」の続編。続編といっても前作が出版されたのは1984年です。
しかも前作は、組織論的なアプローチからの旧日本軍の「失敗」を分析したものでした。
本書は同じ旧日本軍(陸軍がメイン)の「失敗」を、その組織を率いていたリーダーたちの行動・考え方を中心に分析が行われています。
今も昔も日本では、強力なリーダーシップをもって組織を動かしている人は少ないです。本書が取り扱う、旧日本軍においては他の国のリーダーたちとは違い、どちらかというと集団指導体制というイメージがあります。
日本人は、歴史的に聖徳太子の時代から「和をもって尊しとなす」とする考え方があり、それが戦時では意思決定過程のあいまいさにつながったことも分析されています。つまり、トップがリーダーシップをもって決定しないため、現場のいわゆる中間層の将校の行動が既成事実をつくり、意思決定機関である政府は追認するしかないということを繰り返すことになります。
強力なリーダーシップがない組織は、セクショナリズムが進み官僚化していくプロセスが描かれています。
まさに現代の日本。
また、本書では、リーダーシップの理想とその行動様式も実例をもって紹介しています。
旧日本軍の将校たちは、まぎれもなく優秀な人材であるにも関わらず、リーダーシップが欠如している者も多かったのです。成績がよいだけでは、平時ではそれほど問題にはならなくても戦時においては、組織にとっては致命的な失敗をしてしまうことになります。
興味深いのは、リーダーシップにとって必要なものとして、リベラルアーツを挙げている点。特に哲学を勧めています。哲学は、存在論、認識論から事象を考えることから、物事の大局観を持つことや関係性を見抜く力が養われるのです。
それと大切なことは「率先垂範」。
本書は、これらリーダーシップに大切なことが、歴史的な事実から抽出されているため、説得力があります。しかも、戦争という非日常でのリーダーシップの現れ方は、真実性とその典型を知ることができます。
現代の組織のリーダーにはお勧めです。
龍.