紙の本
漱石に寄せる想いとは
2023/03/16 02:44
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部では「国民作家」と目される
著者の物した所謂「街道物」の
第三十七作です。
前作に続いて東京都内を巡る
著者は、本作では本郷へと足を
向けます。
「配電盤」という言葉を用いた
巧みな比喩で、明治期の
この国唯一の大学の役割りが、
語られます。
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わたしが東京に出てきて初めて住んだ街、文京区本郷。
どこの景色もすぐ思い浮かんじゃう。
想い出いっぱいの土地の歴史や文豪たちのエピソードもあって、個人的な郷愁に襲われました。
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「明治初期、お雇い外国人が住み、日本最初の大学が置かれた街。本郷は近代化を急ぐ当時の日本で、欧米文明を一手に受け入れ地方へ分ける“配電盤”の役を担った。」
見知った景色がすぐに思い浮かんで楽しく読めた。
水戸黄門から近藤重蔵、最上徳内ら江戸期に活躍した人々から、夏目漱石、森鴎外、樋口一葉ら明治期の文豪たちまで、知らなかった偉人たちとの関わりも深い土地だということを知って、感銘を受けた。
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たまに追加購入して読み始めちゃうんだよね。「街道がゆく」
結局、墨田区に住んでますが第一優先で住みたかった本郷を
ピックアップした今回、よかったっす!!!
触発されて休日、散策してしまった。熱中症に
なりながら。。
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再了。僕にとって街道を行くシリーズには二種類ある。自分が訪れたことがない土地についてのものと、なじみがある土地についてのものだ。この「本郷界隈」はどちらかといえば後者である。といっても上野に行く途中に春日通りの湯島天神脇を通るぐらいなのだが。
天神さんの男坂に代表されるように、本郷界隈には坂が多い。普段、何気なく通っている坂が、司馬の手にかかると明治の日本史の舞台のように感じられる。西洋文明の受容と流通という明治の主題の残滓を肌で感じるため、通りかかるだけでなく本郷や谷中・千駄木・根津あたりを歩きたくなるのだ。
(mixiソーシャルライブラリーより転記)
我ながら文章が変・・・
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今をときめく東京大学がある本郷界隈。
縄文時代の本郷台地に始まり、江戸から明治にかけて本郷界隈で繰り広げられた人の営みが生き生きと綴られている。
江戸時代加賀藩邸であった場所が、明治政府により日本の叡智の中心として位置づけられ、欧米先進諸国の知恵・知識を本郷界隈で咀嚼し、日本各地に分散されていったという明治以降の日本人が行ってきた事実が克明に描かれている。
明治時代が始まり、全国各地から集った叡智のこと、また、江戸の心を多分に残していた夏目漱石のことなど、本郷界隈で営まれた多様な事柄が司馬遼太郎の筆により時空を超えるタッチで描かれているすばらしい街道をゆく37でありました。
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前巻から続く江戸散歩。本巻は本郷・西片・小石川・向丘・千駄木あたり。徳川入府とともに武家地となり、加賀前田、水戸徳川、三河本多などの屋敷が並んだ。維新後は学問の街。武家地は東大になり、周辺に学者が多く住んだ。一躍文明の配電盤となった。
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本郷が舞台.本郷台は「武蔵野台地の東端をさし、江戸時代の村名である湯島、駒込、小石川さらには本郷を含める」と、ある(50p).
本郷は江戸時代、幕府の学問所が置かれり.それが近代にあっては東京大学の前身となる農学校、医学校につらなり、官学アカデミズムの聖地となる.
前田百万石の屋敷、水戸家の屋敷と、有力大名の居家でも、知られる.
前田家の門は、東大の赤門として残る.
大阪の作者が、東京を紀行で残す.
「その身を江戸時代に置きながら、近代を曳きよせたひとびとの墓がすくなからずある」(233p)と、蝦夷地探検、重商主義の導入にかかわった人物に及ぶ.
間宮林蔵、最上徳内、本多利明、高島秋帆.
本郷に文学・散文の系譜あり.子規・漱石・一葉.
漢学・儒教の府は、近代において官学アカデミズムの受け皿となった.
近代の探検・開明・重商主義の思想系譜を伝承する.
幕政の「徳」は、維新後の「知」に、継承されたか.
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司馬遼太郎による本郷紀行は、司馬遼太郎による夏目漱石論だった。って言ったら言い過ぎか。恐らく90年代初頭に書かれているから、現代の本郷は僕の眼の記憶にも有る場所、でも、多分今日行ったらもはや無いのかも知れない。
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夏目漱石、森鴎外、坪内逍遙、樋口一葉、寺田寅彦など、明治の文豪たちの足跡をたどる旅。漱石の名作「三四郎」を語って三四郎池で本郷界隈の散策を終えている。
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ご近所書かれてるかな?と読んでみたけどどんどん出てきた。地理的にも歴史的にもまだまだ知らないことがたくさんあって、すごいとこに住んでおるんだなあと思う。街道をゆくは初めて読んだけど司馬遼の余談を抽出した感じで良いね。いくつか読んでみたい。
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本郷か、ほぼ行ったことがないかも。関東在住も長くなりやしたが。この本に限らず良さ気に書いてる人多いからなぁ、一回ふらふら歩いてみるかな。しかし今日、そして暫く無理。ホント暑過ぎるわ。
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「明治になって西洋文化の「配電盤」としての機能を持った東京は地方に比べ一段上に上がり、現在の日本人の都鄙感覚になった」/本郷といえば東大構内(加賀藩前田家上屋敷あと)。医学部全面改装工事の折の、藩邸址の構造分析により藩主と下士の生活の格差など詳細な生活様式が明らかになった…/司馬は『明治学』というような学会をひらいて古今東西に稀な近代化成功例を喧伝すべき、とする。善良な国民性だけでなく、無名だった井上馨の建言で首都を旧江戸=東京と定めた幸運/御雇い外国人モースは学歴貧弱だったが日本の考古学の祖となった。カネではない“不朽の名誉”は学者には不死の実現に等しい。人の一生は短く、御家は主君より大事、永続発展が目標の武家に似ている。
初出91年8月〜翌2月の週刊朝日連載。既に紫綬褒章を受章しており円熟期に入っている。
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東大の周りの地区の明治における役割位置付けから、明治日本を考えて行く。筆者は晩年だから、場所はあまり動かずに頭の中が動く。三四郎の広田先生が日本より頭の中のほうが広いと言ったのと、なにか似ている