一億の地雷ひとりの私

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２０年前の本だが、今なお、訴えることは多い。
むしろ、２０年前のヨーロッパにおいて可能だったことが、現代のヨーロッパにおいては、どうなのだろうか？
「愛と、ゆるし」を伝えるヨーロッパは、まだ、あるのだろうか？

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タイトル惚れ(⁉︎)したっきりで、著者のこともよく知らないでいた。

読んでからは「行動派」を地で行くような彼女に閉口しっぱなしだったけど、この静なる決意すら伝わってくるタイトルは彼女の考案じゃないと思っていた。ストレートな物言いを多用する彼女の付けたタイトルなら、もっと振動があったに違いないから。
(結果的に本書のタイトルはやはり関係者による案だったとあとがきで知る)

犬養毅の孫娘。作家。評論家。
難民救済にも生涯力を尽くされたとの事で、本書ではご自身も現地入りしていた旧ユーゴスラビア紛争での出来事がエッセイの一部として綴られている。他のエピソードよりも強く心に残った。

教科書くらいでしか単語を目にしたことがないけど現在のウクライナが報道されるたび、当時もこうだったのかなと想像を巡らせてしまう。(現に当時、著者は第三次大戦の心配をされていた)
プラス、だいぶ前に読んだ『バルカンの花、コーカサスの虹』(蔵前仁一,2014年)に現地の建物には修復が追いつかない程の砲撃痕が未だに沢山残っているとあって、数年後同じように書かれてしまうのか？とか思ってしまったり…

著者は戦火の絶えないサラエボで編み物や英語を教えるスクールを開校。編み物は日本をはじめとした海外で販売し、売上金は教材の購入など彼らのためにあてがわれた。
ここで自分の単純さを思い知る。諸手を挙げて拍手を送ろうとしたのも束の間、「それらが何の役に立つ」と大抵の人が落胆した事実を想像できていなかったから。

「いつまで生きるかが問題ではないと思うのよ。最後まで、どう生きるかだけがだいじでしょう」

彼女のインタビュー映像を見つけ拝見したが、今まで目にされた惨劇を噛み締めるかのようにゆっくりと話されていて、内容がそのまま自分の中に入ってきた。同時に寄り添ってきた人達を思い出しているかのように微笑む姿も記憶に刻まれている。触れ合いや対話でこそ人は分かり合えると信じているからこそ、辛い話の中でも笑顔を見せることができたのかな。

「国際という万能語はまだ生きているらしいが、(中略)"対等"とか"対話"とかの単語は使っても、どうやら仲間うちの間でだけ通用することばらしい」
時折恐くなるほどの凄みもあったが、生涯をかけて行動を重ねた方のダメ出しにはやはりぐうの音も出なかった。


しばらくお休みしていました汗
少しずつ再開していきます！