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名探偵の呪縛 (講談社文庫)
著者 東野 圭吾 (著)
図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だっ...
名探偵の呪縛 (講談社文庫)
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商品説明
図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だったのだ。この街を作った者の正体は? そして街にかけられた呪いとは何なのか。『名探偵の掟』の主人公が長編で再登場。【商品解説】
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まっしぐら
2008/05/13 23:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
東野さんは本当に奥が深いなぁと実感しました。
脅威の自虐ネタと(?)して登場した天下一探偵を主人公に長編を書いてしまうなんて…しかも面白い。
シリアスな天下一探偵も良いですね。
最後には東野さんの思いを語り、切なく終わっています。
青春だなぁ。
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東野らしくない、といったら言い過ぎかもしれません。多彩な作風こそ東野、といえばこのスタイルもあり。ただし、読んでいて西澤保彦と勘違いするのは私だけ? ま、現在からみれば化ける前の東野かも・・・
2012/01/19 19:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
装画 塩谷博明、デザイン 鈴木巌夫の手になる、ちょっと生な感じの色合いのカバーですが、小説の内容がコミカルで皮肉に満ちたものですから、それを体現するものと受けとめれば、納得できるものではあります。ついでに書いておけば、多分この絵、エッシャーの作品をアレンジしたものでしょうから、せめて画のタイトルとして「エッシャーに捧ぐ」とかつけてもよかったんじゃないでしょうか。
そういえば、なぜカバー画にはタイトルがないのでしょう。オリジナル作品であるのに、画題がついているのはタブローとして既に発表されたものだけです。カバー画は、確かにデザイン関係の請け負い仕事ですから、原則題名なしで、あったとしても、そのまま本のタイトルがそれになることが多いのでしょうが、たまには注文仕事でも題くらいつけてもいいのにと思います。
さて、人気絶頂の感のある東野圭吾ですが、私は長い間、彼の作品を読んできませんでした。我が家には彼の乱歩賞受賞作である『放課後』の単行本(勿論、初版)があり、読んだ記憶もあります。そこで惚れ込んでいれば、もっと本があるはずですが、そうならなかったのはさほど感心しなかったのでしょう。今でも、私は高校生や大学生を主人公に据えた作品に胡散臭さを感じるのですが、そのルーツは東野あたりにあるのかもしれません。
東野が大人の作家として改めて注目を浴びたのは『白夜行』あたりからではないでしょうか。私は、その後で出た『手紙』を私も読みましたが、これまた感心しなかった。ま、これは犯罪者に対する考え方の違いが大きいのですが、私は基本的に犯罪を犯した者は、再び同じ過ちを犯す、人間は反省をしない生き物である、という性悪説に立ちます。そして犯人は被害者の気持ちを絶対に理解できないし、しようとはしない、とも思っています。
繰り返しますが、これはあくまで私一個人の思いです。これはミスについても言えて、これまた人間性に起因するところが大きいので、同じミスは繰り返される、といっていいと思っています。ですから、私は安直な人権派の人々の言を信じませんし、金のためなら黒を白と言いくるめて恥じない弁護士の欲まみれの行動や、ただ自分が信じるというだけで無罪を主張する○○の会、といった存在を許しがたく思いもします。そういう私にとって『手紙』は、まさに犯罪者に与する作品でしかなかったのです。
そういう意識は人権擁護の独りよがりな声に反発を覚える人々の間にも、この頃になってようやく定着したのではないでしょうか。それは東野の作品にも影響を及ぼし始めている、と私は思っています。東野の近年の作品はガチガチに固まった人権意識を、人情というオブラートに包むことによってコアなミステリファンにも、一般読者にも受ける形にしている、そういう気がします。
で、この文庫は1996年の書き下ろし作品、現在のスタイルからは程遠いもので、この頃の東野の脳裏には社会的な意識ではなく、本格推理小説という言葉があったのでしょう。ただし、新本格派と呼ばれるマニアックな作家たちとは明らかに距離をおいた感じでです。結果として、私に言わせれば東野らしくない、どちらかというと西澤保彦の世界に似た、SF的ともいえる作品になっているような気がします。目次に従って各話を簡単にしょうかいします。
序 章 :当日午後一時に図書館までお迎えにあがります、市長と日野ミドリに招かれた天下一は・・・
第一章 記念館:天下一がミドリに案内されたのはどこか外国の雰囲気を漂わせる墓礼路市風致地区の建物。そこで出会ったミドリの父・日野市長は彼に盗掘物を取り戻してほしいという。記念館からミイラとともに発掘された何かを取り戻すために・・・
第二章 資産家:市長の紹介で、ミドリとともにやってきた水島邸。彼らの目の前で起きた密室殺人事件、いや、誰もが口をそろえて自殺だというが、ただ一人、天下一だけが密室であるが故に殺人事件だと言い張り・・・
第三章 小説家:水島雄一郎が殺される前日に、屋敷を訪れていたという火田俊介。社会派小説の作家として最近行き詰まりをみせていたという火田のもとには、それでも彼を慕う多くの作家の卵たちがあつまり、自作を披露するが、この世界には特定のジャンルの作品がない・・・
第四章 委員会:市長の呼びかけで集まった記念館保存委員会の面々。盗掘の事実を知らされ驚愕するかれらの前で、天下一が披露する事件の謎解き。そしてまたまた起こる連続殺人事件。この世界に不足するものはなにか・・・
終 章 :全てはこの章のためにあった・・・
講談社文庫25周年企画による文庫書き下ろし作品です。このような如何にも架空の世界のお話には合っていたのでしょう、この頃、東野は小説中に具体的な地名などを使わずに物語を作っていました。ミドリというカタカナ表記も、主人公を記号化し、ミステリは現実とは別世界の話である、という当時の著者の主張の現れではないか、などと思ってしまいます。最後に、カバー後の案内を写しておきましょう。
図書館を訪れた「私」は、いつの間に
か別世界に迷い込み、探偵天下一に
なっていた。次々起こる怪事件。だが何
かがおかしい。じつはそこは、「本格推
理」という概念の存在しない街だったの
だ。この街を作った者の正体は? そし
て街にかけられた呪いとは何なのか。『名
探偵の掟』の主人公が長編で再登場。
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一作目より真面目
2022/12/03 21:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ一作目が短編集だったのに対し、今回は一冊通しの長編となっている。盗掘事件を発端に次々と起こる殺人事件。地下のミイラの秘密とは…というのがあらすじ。ミステリーの楽屋落ちみたいなネタが少ないので、そのへんを期待している方には物足りないかも。
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「掟」からつながる・・・
2017/02/28 21:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ前作の「掟」からこんなふうにつながってるなんて!
予定はありながら未完の第3作が何としても読みたくなった。
この作品を頭におきながら読む、この後の東野作品の数々。。。 天晴!
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前作とは趣の違う作品
2016/06/27 00:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:スミレ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作の「名探偵の掟」とは趣が違い、著者自信が天下一という探偵となり、「本格推理」という概念のない空想の世界に入り込んで活躍する、というストーリーでした。
「結局のところなんだったんだろう」という疑問が残りますが、とても読みやすく面白かったです。
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ファンには読み逃せない実験作
2001/11/27 02:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本田亮司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「名探偵の掟」において、本格ミステリの高次元でのパロディをやってのけた作者だが、その続編たる本作においては「掟」にあった、おかしみが感じられない。もちろん、自虐的なブラックジョークとして書かれた前作とそれを主たる目的としていない本作では自ずとその愉しみ方も違ってくるだろう。だが、本作にはどこにも愉しみを見出すことができないのだ。確かに本格への愛情は強く感じられるものの、それを作品として表現できているとは思えなかった。
元来パロディとしての側面を持つ本格ミステリをパロディにすれば、畢竟その作品はメタミステリに行き着かざるを得ない。ではメタミステリとしての本作はというと実験精神に溢れた秀作といえるかもしれない。殊に本格ミステリの登場人物として造形されながら、事件の起こらない世界の住人となってしまうという設定には唸らされる。ただ、その登場人物たちの悲哀が描ききれていないところが本作の最大の瑕ともなっている。
本作と前後して「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」のこれ以上ない本格ミステリを発表した作者だが、いずれ本作に描かれるところの古色蒼然とした本格探偵小説を物してもらいたいものである。
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作者の本格への想いが込められた一冊
2001/01/21 23:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、本格推理へのパロディ作品として話題となった、
「名探偵の掟」と同じ、「天下一大五郎」が主人公のミステリーである。しかし「名探偵の掟」が安直な本格への批判だったのに対して、本書は東野圭吾というミステリー作家の、本格に対するストレートな想いが伝わってくる。この作品は、トリックや話の流れなどは、ミステリーとしてはそれほど目新しいものではない。したがって万人向きではないが、東野圭吾の作品が好きな人にはぜひ読んでもらいたい。
そうすれば作者の本格推理というものへの愛情が、感じられるだろう。