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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1997.9
- 出版社: 青土社
- サイズ:20cm/305,5p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7917-5588-X
紙の本
ヘッピリムシの屁 動植物の化学戦略
敵を撃退するためにヘッピリムシが出す刺激的な混合ガス、異性をおびきよせるフェロモン、副作用なしの抗ガン剤、環境を汚染しない農薬など、驚異の化学物質を生み出す生物たち。今注...
ヘッピリムシの屁 動植物の化学戦略
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商品説明
敵を撃退するためにヘッピリムシが出す刺激的な混合ガス、異性をおびきよせるフェロモン、副作用なしの抗ガン剤、環境を汚染しない農薬など、驚異の化学物質を生み出す生物たち。今注目を浴びる、化学生態学への招待。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ウイリアム・アゴスタ
- 略歴
- 〈アゴスタ〉ロックフェラー大学教授。有機化学専攻。著書に「フェロモンの謎」がある。
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紙の本
化学をとことん利用する生物の凄さを知ると同時に自然環境の保全の大切さを教えてくれる名著
2012/04/30 00:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘッピリムシをご存知だろうか。ミイデラゴミムシ,ミイデラゴミムシの俗名で、捕まえようとするとあたかもスカンクのように臭いガスを発射する。その正体はキノンと過酸化水素を反応させたもので、なんと100℃にもなる刺激性のものだ。気体が発生する時に、屁のような音がすることからその名を冠されている。
生物がこれほどの高温の武器を使用するというのは驚きだ。
武器の背後には、これまでの説明で明らかな通り、化学がある。そうやって自然界を見渡してみると、多くの生物が化学を上手に利用していることには驚くばかり。配偶者を見つけるための手段として、フェロモンを利用する蝶や光の信号を使うホタルがいる。捕食者への防御として毒を持つ生き物もいれば、寄生主を誤魔化すために偽装を図る種もある。
色も光も匂いも免疫も毒も、コントロールしているのは化学なのだから当然だろう。
逆に言えば、化学という切り口から、生物の生存戦略を知ることができるということになる。だから、本書は魅力的な自然界のガイドになっている。ふと気がつけば、ヘッピリムシの屁の威力に驚き、クモが配偶者を得る方法に目を見張り、ホタルを捕食する生き物の不思議に感じ入ることになっている。
おまけに、本書はどのような現象が起こっているかについてはきっちりと述べている一方で、(多くの人が敬遠したいであろう)化学反応については触れていない。だから、化学について知りたければ専門書に当たらなければならないだろうが、まずは興味を持つための入門としては実に優れていると思う。ルシフェリンの化学式を知らなくても、ホタルの光の幻想的な雰囲気を楽しむことは可能なのだから、生物の不思議を語る本書にはふさわしい方法であろう。
生物に興味がある方には、表面からは窺い知れない奥底にまで自然の妙が隠されていることに感心させられるに違いない。進化の奥深さを改めて教えて貰った。
それだけではない。マラリアの特効薬であるキニーネ、細菌感染と戦うための格好の武器である抗生物質も、生物由来の化学物質だ。今も人知れぬまま秘められている化学物質の数は、想像も及ばないほどだ。それが、主に熱帯雨林の破壊によって永遠に失われていく。その危険性を指摘することで、本書は優れた環境保全運動の啓蒙書にもなっている。多くの人に読んでもらいたい一冊。
紙の本
サヴァイバルのためのストラテジー。
2003/04/04 13:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャングルを伐採することになぜ反対するのか。それは、ジャングル自体が大量の酸素を発生させる自然のファクトリーだから。それと、ジャングルが河川の氾濫などを防ぐ天然の堤防となっているから。この2つは、なんとなくわかったけど、もう1つ、大事なことがある。ジャングルには、まだ発見されていない人間に役立つ植物や動物や菌の宝庫であるということ。この見方って、人間本位なんだけどね。
「生物から調合された化学物質の多くは医薬であり、歴史的にそれらはたいてい植物由来である」。アスピリンのヒントとなったセイヨウシロヤナギ樹、キネ樹からマラリアの特効薬キニーネ、ケシからアヘン、アヘンからモルヒネが抽出されるなどなど。生薬ってヤツ。人間は自然をお手本に、どうすれば似た成分のものが化学的に大量に安くつくれるかを命題に、追いつき、追い越そうとしてきたわけだ。
植物というと何か穏やかな優しい印象があるけど、さまざまな創意工夫をしてアクティブに種の保存に努めている。植物人間というのは、植物に対して失礼ではないだろうか。本書では豊富な事例をあげ紹介している。たとえば、ある種類のウリは食べられないように、猛毒を持っているのだが、ところが、そのウリを平気で食べるカブト虫がいて、「彼らの将来の保護に役立てるために体内にウリの毒素を蓄積」している。これって敵方のパワーや武器を取り込んで増殖するメカキャラに似ているよね。
タイトルとなっている「ヘッピリムシ(ミイデラゴミムシ)は攻撃されると、刺激性のキノンの混合物である熱い液体を噴出し、そのときぽんというかなり大きな音」を発し、敵をびっくりさせる。また、ヘッピリムシはかなり腕利きのスナイパーであるそうだ。
クワガタのある種の若きオスは、大人のオスにやっつけられないようにメスのフェロモンをつくり出して、カモフラージュしているとか。でも、時々、迫られたりしているとか、−そういえば『バグズ・ライフ』に出てきたテントウ虫はオスだけど、かわいらしかったな−植物、動物に関する話のオンパレード。
でも、なんか題名でソンしてる。ヘッピリムシマニアは、それこそ触手を伸ばすかもしれないが。漫画やゲーム、アニメや特撮ものなどで新たな虫キャラを考えなければならない人には、すごく参考になるはず。
「自然界の豊富な化学物質は生物の世界を素晴らしい方法で結びつけており、われわれはやっとそれを理解し始めたところである。同時に、それらはわれわれ人類の利益となる産物の無尽蔵の資源を提供している。それらはこの惑星の一部分を救う助けとなることさえできるかもしれない」。
冒頭の部分と完全にカブるけど、こっちの方がカッコいいので、くどいけど、繰り返し、引用する。