紙の本
犯罪の幻影
2001/07/15 18:02
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投稿者:くろこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
犯罪が犯罪を呼び、増殖していく《レディ・ジョーカー》。当初の計画から離れ、事態は新たな展開をみせる。廻り続ける社会の輪の中で、それぞれに追い詰め、追い詰められていく人々。ひとつの発端にすぎなかった《レディ・ジョーカー》は確実に人を狂わせていった。地下金融の腐臭と闇に全てをおおい尽くされ、発狂する男たちが、憎悪と執着の果てに見たものとは? 人間の救済と再生は人によって可能であると思わせる本である。
紙の本
企業、警察、犯人、それぞれの決着。
2002/03/08 13:55
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投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
LJ事件は、企業、警察、犯人、それぞれに大きな波紋を残した。中でも絶句したのは主人公、合田刑事の強引な決着法。彼の中にある鬱屈したものを垣間見て、なんともいえない気分になりました。驚いた。
犯人側については、「黄金を抱いて翔べ」のようなある種の爽快感があった上巻から、まさかこういう結果を迎えるのか…とこれまた驚き。この事件の終結の仕方がとても印象深かったです。彼らはこれまでの高村小説のような、一度手を組んだら死ぬまで一蓮托生、という関係ではないです。偶然関わることになった年齢も立場も環境も異なる人たちが一瞬だけ強く繋がりあって、自然な成りゆきでまたばらばらになってゆく。
彼らの迎えた結末はハッピーエンドでもなければバッドエンドでもありません。そこにあるのは大きな事件を起こしてやったという達成感ではなく、未来まで広がる漠然とした暗さだけ。その重さをひしひしと感じながら、ただせめてレディたちだけでも幸せな暮らしを手に入れて欲しい、思わずそう願ってしまいました。
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いや、義兄よ、それはないだろう。と、ある意味面白かったようながっかりしたような。読んだ人しか分からない感想でごめんなさい。
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ビール会社社長誘拐事件。それに絡んだ犯人・警察・企業・報道のお話です。
2004年冬に映画化されました。
下巻にはいって面白さ倍増です。何でこんなに面白いんだろう、大好きな一冊です。
最後の合田さんの言葉には、え、ちょ、え?と動揺してしまいました。義兄弟、もともと好きでしたが特別な存在になりました。
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二冊続けて読了するのには、かなりの体力が必要だった(笑)
スケールが大きくて、伝えたいことも盛りだくさんという感じで
とてもフクザツだった。
組織の中で生きている人も、そうでない人も
自分の思い通りに生きることは難しい・・・。
レディの役割は何だったんだろう?
最後にジョーカーを引いたのは誰だったんだろう?
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ほんと堪らん…!という感じで、すごく好き。苦しむ義兄弟を見ていると、(安易な表現ですが)胸が締め付けられる思いでこっちまで苦しい。企業の中で個人を優先させる社長、”社会”そのものに対し一線を介したような、閉塞的な人生を生きる男たち。これだけの”現実”と”人間”が一人の頭の中に存在し構築されたのだと思うと、それだけで不思議な感動を覚える…。名台詞は色々有れど(笑)義兄の「辛いことが辛くならない事はない。自分の中で受け入れるしかない(ちょっと違うかも;)」が…印象に。最後もほんといい……大好きだよあんた達…(胸いっぱい)
義兄、という響きがどうにも色っぽい気がするのはきっと高村氏の文章のせいだ…(笑)
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個人的には、合田さんの周囲の人との人間関係があるから、前の2冊を読んでから読んで欲しい本だと思う。だって、じゃないと例のシーンで出てくる人物たちがわからないじゃない(笑)!!
あーでも映画だと上手くやれるんだろうなぁ、きっと。
でもねー、すっごく楽しみ!!この話、高村さんの中で2番目に好きです。最初から最後まで展開がおもしろくてすんなり読めたし、今までで1番読みやすい話だと思う。
しかも、終わり方が気になる!!あの人物と仲直り出来るのかが気になる…。
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「マークスの山」「照柿」に続く合田刑事シリーズ。警察・大企業・新聞社を舞台にした、2段組で800ページを超える重厚長大なストーリーに、魅力的なディテールがいっぱいつまっている。主人公が僕と同世代であり、仕事や人生や一人の人間の無力さや生きている意味について苦悩する姿に共感の嵐だった。また、レディ・ジョーカーというタイトルの由来も凄い。そして、現代の人間の営みの愚かさとわずかな救いを残す結末。高村薫さんは、厳しく激しい話をリアルに丁寧に描く作家であり、その作品はめったに出逢えない本物の重さを持っている。社会の暗い闇を覗いてみたい人にオススメ。
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面白かった!!赤いビール出る辺りから目が離せなくなったよ。合田の出番も増えてきて読みやすかったです。途中ボロボロな合田には目も当てられなくて…。個人的には合田がうなだれる義兄の胸倉掴んで引っ張り上げ、「いつか落とし前を付ける気があるんなら、今日の所はゴルフに行け。這ってでも行け!」が大好きです。ええ、思わず読書マラソンのお気に入りのことば欄に太字で書いちゃう位…。(20051215)
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こんな結末が待っているとは! 人とは、組織とは、社会とは・・・この世の中で生きていくことの苦しさみたいなものをつきつけられた気がします。[2005/12/4]
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以前から読みたかったレディ・ジョーカー(作者:高村 薫)。
高村 薫の作品は「マークスの山」を読んでいてストーリーの構成力に感動したけど、このレディ・ジョーカーも同様素晴らしい。
1兆円企業のビール会社が1947年の怪文書の発覚と部落出身者の父を持つ大学生の就職内定取消しが、ビール会社の社長誘拐につながり現金要求という脅迫が企業を襲う。
この小説は単なる犯人達と企業側の葛藤だけでなく、警察内部の軋轢や事件を追う新聞記者、政治と裏社会の現実を卓越した筆致で丹念に描いていて読み応え十分である。
手に汗握るジェット・コースター的な派手な展開はないが、事件に翻弄されながら登場人物達が過去の自分と訣別し、決断をしていく過程の描写に僕は引き込まれた。
上下巻併せて869ページに亘る長編小説のため、じっくり腰を据えてゴールデン・ウィークに読む本としてはお薦めの作品です。
映画化されているけど、ちょっと分かりにくいというのが僕の感想。もし、映画を観るなら小説を読んでからの方がいいと思う。ストーリーを追うよりは俳優達の演技、特に半田修平役の吉川晃司はニヒルでハマリ役だったと思う。
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上巻から通して一晩で読み切ったんだけども夜も明けかかった頃に最後に差し掛かり飲んでも居ない茶を吹き出すところだった。
いいのか。それで。
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合田がどんどん危なくなっていく様子が、たまらなく面白かったです。
阪神大震災を経験されて変わったというラストは、物語の割にあっけなかったです。
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警察と大企業と誘拐犯,それぞれの人の思いを綴った物語。
人生とは何なのか?読み終わった後に自分の人生を振り返る作品。
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やっと読み終わったー!!長かった。
上巻のときは何だかよくわかんなくてイライラしたけど、下巻になってからドンドン読み進みました。それでも大分時間かっかった。
時間がなくて1日50Pずつくらいだったけど、時間があったら猛スピードで読んでたかも・・・
金融の話とか未だにわからんけど、でも結構衝撃とかあったり、変な恋愛とかあったり、最後の締めも好きだったりして、個人的には満足です。