紙の本
ゴルディアスの結び目
2015/02/18 13:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:寿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小松左京氏のベスト作品として本作品をチョイスしている人が多く気になって購読してみた。四つの短編で構成され、「岬にて」で幕を開ける。やや躊躇しながらも読み進めていくにつれて作者の偉大さに引き込まれていきました。ひとくちにSFと言ってもこの四篇のバリエーションは凄いとしか言えなかった。作者の円熟した境地といえるのではないでしょうか?
紙の本
想像力の大穴
2015/12/13 03:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は現在絶版となってしまったが、表題作と「あなろぐ・らう」の2つは「小松左京全集 完全版21」で読むことができる。ブラックホールをテーマにしたSFは数多くあるが、タイトルをアレキサンダーからとったのは斬新だ。著者独特の発想に驚かされた。
投稿元:
レビューを見る
著者の宇宙観が壮大なスケールとイメージで目の前に現れます。
それでいて物語的な情緒に満ち溢れていて…
何度読んでも胸がドキドキします。
投稿元:
レビューを見る
一生命体としての宇宙、意識の深淵、存在意義、美の感覚などなど哲学的にしか説明しようのない事柄を御大が感じる世界観で物語られています。
この本、短編集なのにホントにすごいです。
投稿元:
レビューを見る
ゴルディアス四部作と呼ばれる短編集。
「ゴルディアスの結び目」・・・裏切られ犯された少女に取り憑いた心の闇を探り救うため、精神内部に潜り込むサイコダイバーとして呼ばれた伊藤。
ゴルディアスの結び目のように固く結ばれた魂を癒やす(解きほぐす)ことは可能なのか、そして伊藤が少女の内に見たものは・・・。
オカルト・超常現象な話から宇宙論へと入り、心の闇の深淵とブラックホールを繋げた表題作。他3篇
あとがきによれば、この4作品は著者が地球上のあちこちを旅しているうちに感じたことを書き記したメモから作られたものであるという。
どの作品も宗教的、哲学的問いになってしまうものを著者なりの世界観で表したものだと言えそう。
どこか滑稽さや不条理な感じを受けるけどその発想、知識の豊富さには圧倒される、じっくりと読み進めていかないとなかなかついていけなかった。
必ずしも腑に落ちたというわけでもないので評価は3つにしましたが、いや〜すごいな・・・という作品ばかりで満足はできた短編集。
投稿元:
レビューを見る
表題の短編しか読んでない。家にずっとあったんだけど親が読ませてくんなかった。おとなになってやっと読んだら読ませてくれなかった理由が分かった。えぐいぐろいシュールな夢の世界。芸術的。すげえ。
投稿元:
レビューを見る
これはね、スゴかったです。圧倒されました。
日本SFの泰斗・小松左京の連作短編集。60〜70年代あたりの近代科学文明バリバリ・筋立てもガジェットもきっちり論理的に練り上げられた欧米SFを読み漁ってきたSF者(それはかつての鴨でもあるヽ( ´ー`)ノ)がこの作品に出くわしたら、「なんだこれは!?」と面食らうと思います。第一印象はSFというより私小説、それも個人の精神にグッと深く切り込んだ哲学書のような、あるいは生を達観した者が脳裏に浮かんだ風景をそのまま書き連ねた散文のような、「魂の次元が違う」としかいいようのない独特の広漠とした世界観が全ての作品に通低しています。でも、バックボーンはちゃんとSF、"Sence of wonder"なんですよ。
鴨が一番衝撃を受けたのは、表題作「ゴルディアスの結び目」。外界と隔絶された精神病院で日夜恐ろしいポルターガイスト現象を起こし続ける昏睡状態の美少女と、彼女を巡る男たちの物語。筋立ては完全にオカルト・ホラーです。が、ポルターガイスト現象で発生する膨大なエネルギーは「エネルギー保存の法則」を超越しているのではないか?という実にSF的な着眼点を基にとことんまで思考実験を突き詰めると、ここまで壮絶なSF的ビジョンが広がってしまうのかと驚愕する結末です。想像力の極北とも言うべき大傑作ではないかと。
投稿元:
レビューを見る
何がすごいって、平易かつ美しい文章が喚起するイメージのゆたかさ。ほんとにさらさらって読めてしまうんだけど、眼前にバーッと画が出ますよ。
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」のラスト、うるっときてしまって、あ、こういう話、やっぱ自分好きなんやと思いました(笑)。「ゴルディアス」のエグいシーンも「あなろぐ・らう゛」のエロいシーンも、いい意味で何となく品が良くて、極北なんだけど温みが残ってるようで好き。
それにしても、SFと幻想小説の垣根って相当低いんでしょうか。違いが分からなくなっている私。
投稿元:
レビューを見る
エントロピー最大化して均一になるのもひとつの結末。
ブラックホールが点在するように、濃淡がまばらにできるのもひとつ。
崩れ行く秩序の中で築かれる秩序は美しい
結び目とは秩序
ざっくりした宇宙の最初と最後に関するお話
投稿元:
レビューを見る
中性子星の中身の一例を描いてるようです。地平線上に浮かぶ細長い視線が、空恐ろしです。なんのことかわかんない? 読んでみてください。
投稿元:
レビューを見る
「-論理的倫理より、情緒的・美的倫理のほうが分かりやすいし、陶酔しやすいのだ。-だから彼らは、個人的にも、集団的にも、大変“自殺”しやすい生物なんだ・・・。」としながら、
永遠に維持することはできないが、「宇宙全体の傾向」に対する「一時的局所的勝利」の記念碑として - 『美』の価値を謳う。
答えは簡単に出ない。
投稿元:
レビューを見る
表題作ほか3篇収録の本書は、あとがきで言及されるように、宇宙の理に関する小松氏の思考メモを読んでいる感じでした。
本文P.269
「最終的には、人間は、宇宙を巨大な比喩として……人間的な"意味"を付与されたイメージとして呈示する以外に、宇宙との間に、"決着"をつけられないんじゃないんですかね。」
ひとが宇宙を理解しようとする試みは、結局、上述の結論に至るのかもしれない… もしかしたらこの宇宙の理は、ひとが想像する以上に残酷で、血の気の通わないものかもしれない…
だけれども、追求を止めない著者の真摯な姿が目に浮かびました。
ちなみに、メモなんて言葉を使ったけれど、そんな簡素な内容じゃありません。表題作の完成度は圧巻のひとこと。少女マリアの精神を探索する描写は、まさに筆力の極みです。
投稿元:
レビューを見る
思弁的SF……SF的思弁……
〈神〉や〈異星人〉や〈気配〉が、口ごもりながら語りかけてくる。
一級の知性の持ち主が、考える考える考える……。
投稿元:
レビューを見る
脳内には神もいて、宇宙にもつながっているのかも・・
思考ってなんだろう?
作者がドラッグでも決めながら書いたかのような深い描写。
読んでいて、脳の奥に有る宇宙の深淵を垣間見たような・・ そんな映像が浮かびます。
投稿元:
レビューを見る
『マインド・イーター』より。なるほど、あれがこれのオマージュと言われるわけが判った。あと『レベルE』でも似たシーンを見たような。でも表題作より『すぺるむ・さぴえんすの冒険』がよかった。ラストに泣いた。人類最後の英雄譚。それが語られるのはどのように。極端なシチュエーションを舞台装置としてはいるのだけれど結局『人間』の在り方を描いているSFとして、その醍醐味をとても良く感じさせてくれた。あとブラックホールがよく使われてるなと思って調べたら、やっぱりこれの発表当時にホットな話題だったのね。