紙の本
歴史小説で学ぶ
2023/10/18 10:03
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時の出来事では、かなり脚色された別な物語で、お話として読んだ方が良いかもしれません。けれども、当時の世相というか雰囲気を味わるのには適していると思います。
当時のユダヤ人が置かれた立場がいかにみじめで悲惨だったのか。いくら有能な素質を持った者でも上に上がることが許されない。驚きを持って読み進めました。
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23歳のマリア・テレジアの即位を侵略の好機と見た列強諸国は、オーストリアに対する干渉戦争を仕掛けた。ハプスブルク家を支え、欧州各地で戦功を重ねるエドゥアルトにとって、ユダヤ人の家族との再会も、出世の道具でしかないのか?野望と挫折、再生のドラマをダイナミックに描き尽くした大河小説。
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マリア・テレジアの話。ユダヤの青年が、オーストリア人として生きようとするその苦悩を、マリア・テレジアの夫、フランツのサイドから見ている。
これぞ、エンターテイメント! 人物は魅力的だし、見せ場いっぱいだし、映像的だし、いやあ、面白かった。
が、この最後は…。まぁ、いいんだけどさ。
王としての器はあっても、主人公やマリア・テレジアのような強烈なものがないフランツが、最後の辺りで主人公にかける言葉で泣いた。自分に必要なものが何かを、本当に知っている人は、強い。
今のところ、藤本ひとみのベストは、これと「ウィーンの密使」だな。
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面白かったけど、最後の終わり方が個人的にいただけない。
どう終わらせていいのか分からなくなって無理やり終結させたっていう感じがする。
この作者さんは未完の小説も結構あるみたいだし、勢いに乗って思いつくまま書いてたら終わり方がみえなくなったのかな~?
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物語後半。オーストリアが大帝国を築くその礎になる領土拡大のさまざまな工作や戦の裏で何があったのか・・・主人公の屈折と悩み、そして自分のとるべき道を見出すまでの道のりが、戦のための政治的取引と並行して実に鮮やかに描かれています。
テンポがよいので、とても読み進めやすかったです。
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上下と共に読み終わりましたが、ヨーロッパ史があまり分からない人にも楽しんで読める内容だと思います。最後の展開にはビックリしてしまいました。そして、主人公の生死は暈されているので、読者は様々な続きの想像ができるのではないかと思います。
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ユダヤ人としての自分と決別し、オーストリア人として周囲に認めさせる為、あらゆる困難を乗り越えた。しかし、己の家族を捨てきれない自分の中に結局はどこまでいってもユダヤ人でしかない自分に絶望する。そして絶望の淵から救ったのは、ユダヤ人の未来の為に役立ちたいという考えだった。
幸せの青い鳥はすぐそこにいた。しかし、青い鳥を探す為に経験した全ての事は無駄ではなかった。涙。
このユダヤ人の主人公は勿論架空の人物なのだろうが、それを実際の歴史に登場させ、さらに不自然さを感じさせないというよりも、むしろこの物語こそが真実なんだと思わせる面白さがあった。秀作。
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ハプルブルグ家。欧州随一の大帝国を背負う女帝マリア・テレジアに対して野心をかけて立ち向かうのはプロイセン王国のフリードリヒ大王。オーストリア継承戦争と呼ばれる欧州大乱の時勢にユダヤ人の主人公はどう関わってゆくのか?その先に待っていたのは・・・・・・これも『ブルボンの封印』と同じくその物語の終わりの先を知っているからこの終わりはものすごく切ない。
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わたしの生きる意味は、ここにあるのだ。
オーストリアで自分を認めさせる、それがエディの強い野望だった。でも、自分は自分で認められないと、いくら誰から認められても、どこかで折れてしまう。最後にエディは、エリヤーフー・ロートシルトとして自分を認められた。マリア・テレジア時代のハプスブルクを舞台にしているけど、ひとりの青年のアイデンティティー確立の物語。
“ユダヤ”とのつながりを断ち、自分を認めさせるという野望に心焦がして生きてきたエディだけど、それでも家族のことは切り捨てられなかった。ずたずたになって、死へと急ぐエディを救いあげたのは、ケーフェンヒラーとバチャーニの遺志。そして、彼の新たな生きる意味をもたらしたのは、始まりだったドイツ語訳の律法とそれの大切さを伝えてくれた少女オルガ。生きる意味を手に入れたからこそ、エディはカロリーネの銃弾を受け入れる。エリヤーフーとして生き直す、“ユダヤ”とは自分の故郷、ようやくエリヤーフーは自分を認められるようになった。
最後、エディの生死は明らかになっていない。でも、生きていても死んでいても、私は満足。だってエディは自分の「生きる場所」を見つけたから、この続きは語られなくていい。
エディがユダヤ人ではないと知って、有頂天になるテレーゼ。政治的には習熟しても、恋には少女のままなこの愚かさが彼女の魅力。エディの拒否を受けてから、撃たれたエディを案じる皇太子との会話までに、彼女の心がどのように変わったか。彼女はその人自身を見ることの大事さ、自分の縛られていた古い慣習の愚かさに、ようやく向き合ったのだろう。多分、彼女はすべてを静かに受け入れていたフランツの愛の深さにも気付いたと思う。
やっぱり、登場人物がイケメンぞろいでそういう意味でも楽しいですね。カタカナがダメな人は辛いかもしれないけど、騙されたと思ってトライしてほしい。
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最初の頃に提示されていた情報が意外な伏線になっているのに気付いた時は非常に驚いた。エドュアルトが当初望んでいた救いを手放して、ユダヤの教えに戻るという展開はとても納得できるものだった。
ただ、もっと大勢の人物が恋愛関係に絡んでくるかと思えば、エドュアルト、テレ―ぜ、フランツに終始されていたのは残念に思う。
物語は主人公エドュアルトの苦役から回心までを描いている。史実を基にしたものとしては粋を極めた名作である。細かい点まで調査されたストーリーは決して読者を飽きさせはしないだろう。今後はこういったジャンルにも手を出してみたくなった。
果たしてエリヤーフーは最後どうなったのか。個人的にあれはガンジーの死を思い出させる死に方のため、私としては非常に気になってしまった。
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前巻に続き一気に読むことができた。テレジアのエドゥアルトへの仕打ちが一層きつくなり不憫になるが、揺らぎながら主君への忠義を貫く熱い想いに感動!!文句なしに面白い作品だった。残りが少なくなるにつれ物語が終わってしまうのが残念と思える作品は久しぶりである。
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激動の主人公の人生がダイナミックに描かれる。
フランツとの変わらぬ友情に癒された。
途中の政治情勢を記す語り口が堅く、ところどころ読みにくいが、主人公の行動を描く描写は生き生きとしている。
終わり方はなかなか素敵だった。
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キリスト教守護者である神聖ローマ帝国女王マリア·テレジアとユダヤ人エデゥアルトとの愛憎、テレジアの夫フランツ·シュテファンとの友愛、3人を取り巻く18世紀の列強国による目まぐるしい情勢変化が物語の振幅を最大にしていきます。
細部に描かれたユダヤ人の記述は、今のパレスチナイスラエル問題、世界の至る場所でのユダヤコミュニティに通じるものがあり興味深いです。
人間と宗教との関係を考えさせられる作品です。