紙の本
ハードボイルドの話かと思っていたけど、全然違った。感動作
2001/12/28 09:52
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投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作と屋上の2作。しかし私は表題作の方が圧倒的に好きだ。
主人公は人生をもう半分投げ捨てたような若者。生き生きとすることなど無いのだろう。しかしそんな彼がある老女と出会う。老女はもう痴呆がすすんでいて、主人公のことも時々忘れてしまう。そんな二人の一瞬の交流。素晴らしいと思った。
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場末の温泉旅館のダンスホール。老嬢と青年の孤独なタンゴに、幻滅と
パッション、リリシズムと幻想が交錯する胸うつ名作。芥川賞受賞の表題作
のほか1編を収録。
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東京での生活から逃亡し、故郷の温泉宿で働く孤独な男と、耄碌しているもののどこか謎めいた老女との、奇妙な心の交流。
シニカルな視点で描かれる、退廃と情熱の物語。
どんよりと淀んだ気分にさせてくれます。笑
雪深い温泉郷で踊るタンゴ。
風変わりとおかしみを併せ持つ趣きが、どこか心に心地よい余韻を残す。
日本のおっさん、おばさんの踊る社交ダンスとしてのタンゴって絵的にどうなの?美しくない。凄みを感じない。
暇つぶしのダンスなんてそれなりだ。
ダンスって、人生や思想や感性が如実に出るものだ。
からみつく情熱とある種の諦め、つまり退廃こそタンゴなのだと思い知らされます。
一緒に納められている「屋上」も似た雰囲気の作品。
こちらは人生をどこか諦めている男の決まった日常からのささやかな逃避行。
題材が題材だけに先行きは暗い物語だ。
今のオイラの気分には合わなかった。
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ちょっとハートボイル的なストーリーが、リアルでカッコ良いです。そういえば、百貨店屋上の遊園地って最近見ないね。
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『ブエノスアイレス午前零時』・・・雪の中のさびれた温泉旅館で働くカザマ。社交ダンスの団体客の中に盲目で痴呆の老女がいた。過去と現実が交じり合い、何かを懐かしむように老女はカザマとタンゴを踊る。
『屋上』・・・デパートの屋上遊技場で保守点検をするメーカー派遣の男。何故か屋上で飼われているポニー。ペットショップの吠え声。絶え間なく鳴るゲーム機。痴呆の掃除婦。耳鳴りのする変わり映えのない毎日。
芥川賞ってやっぱ不思議な観念的な話が多いんだね。何が起こるでもなく、現実と幻想が入り交じった主人公の話。
ただこの人のは、「~ような」とか「~を思い出す」というたとえが多かった気がする。
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★技ありの小説★しばらく芥川賞ウイーク。題名を見て南米の話かと思っていたら、福島と新潟の県境の雪深い温泉旅館が舞台とは、うまく裏切られた。雪の旅館、鬱屈したUターンの男、社交ダンスの熱と香り、そして盲目の老女。設定が絶妙なうえ、どううまいのか説明できないが文章がうまく、物語の筋に引き込まれる。推理小説のような大どんでん返しがあるわけではないが、小説として技がある。川上弘美や藤沢周はもう少しきちんと読んだ方がいいかもしれない。
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久しぶりに、こんな真っ当な、真面目な、現代文学を読みました。(世の中にそういう文学がないというのではなくて、単に私の趣味です)
面白い!
読み終わったあと、思わず構造主義とか記号論とか、シニフィアンとシニフィエとか、そういうものを再度勉強したくなりました。
本当に、教科書に載せられるくらいの、完成された小説だと思います。
正直、小川洋子まで行くと私には難しすぎることがあるのですが(ブラフマンの埋葬は、未だに解読できていません…)、この小説の場合はテーマが身近であるのもあって、最初から最後まで楽しく、文章や言葉を解体して再構築する楽しみがありました。
逆に言うと、そういう楽しみ方をする方以外には、ぼんやりとした「なぜそうなる?」な小説かもしれません。
テーマも、個人的にはすごく共感できるものでした。
というか、28歳の今読めて、タイミング的にもラッキーだったのかもしれません。だってまさに、表面が黒くなり始めた半熟の温泉卵、なう。
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わからない、何が良いのかわからない。これを面白いと感じられる感性を身に着けられた時にまた読もう。10年前にも同じこと思って、10年ぶりに読んだけど。。。
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ブエノスアイレスという名前がタイトルにあるにもかかわらず、ほとんどの舞台は新潟のさびれた旅館。
主に登場するのはこの旅館に勤める青年カザマと周りから迷惑がられている老婆ミツコ。
この旅館で行われるダンスパーティでミツコが語るブエノスアイレスの日々に、カザマは引き込まれて行く。
ミツコのことをみんなが耄碌した老婆と蔑んでみるのですがカザマはそうは感じていない。
そして読んでいる側もそう感じない。うっとりと語るミツコは何だか妖艶で魅力的、カザマとのダンスシーンはまるで少女のようであった。
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分かるけど、僕にはあまり感じられませんでした、この空気感。言葉のひとつひとつで表現したいということは分かるけど、それがうまく入ってこない。表現しようとしている世界観は独特。でもそれがうまくいっているかというと、なんかびびっと来なかった。非常によくまとまってはいるが…例えや描写が効果的だと思えないが、それが新しい表現の模索なのか、僕には少し陳腐に思えてしまいました。
屋上の方がよかった。日常をマシに、日常を愛する、少し嘘くさく陳腐な男だが、そのための彼なりの努力ということで認めよう。しかしコイツの感覚はよくわからん。分かるのもある、ハッとすることもある、がしかし基本的にぴんとこないから楽しめない。
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場末の温泉旅館にブエノスアイレスの雪が舞う。
軽い認知症の老嬢と青年の孤独なタンゴ。
生きることに疲れ東京から逃げてきた主人公は奥深い雪国の流行らない温泉旅館で糊口をしのいでいる。そこに現われた社交ダンスの団体客、そのひとりの老嬢との出会いとまぐわい・・・・になるのか?
年末に観劇予定作の原作であるので読んでみたが、これがなぜに芥川賞なのか?
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パルコ劇場で舞台化されたので読んでみることに。大好きな女優の原田美枝子さんが出ていたからと理由だけなのだが。二編作品が収録されているが、登場人物の心情や情景描写に入り込めなかった。こんな人たち、こんな心情あるのかなぁと対岸の向こうの世界を覗いて終わった感じだった。藤沢周さんの作品はちょっと僕には楽しめないかなぁと率直に感じた。多分、相性ってことかな。ブグログやっていたことすっかり忘れていた。半年ぶりか。あっという間に時間が過ぎていくなあ。
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雰囲気を楽しむものかな、と思った。ひなびた旅館で、老女と踊る。そこだけ赤い色がついてる絵。痴呆と白痴。男性の方は、昔良く見た男性の理想とする男性みたい。屋上も同じく、昔よくあった屋上遊園の話だね。もういまは殆ど見ないけど、ちょっと懐かしかった。
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藤沢周を読もう、第一弾。
芥川賞作品。そういえばそのことを認識してから
読み始めたのは初めてだ。
だからなのかな。そこまで心には響かなかった。
これをきっかけに過去の受賞作を調べてみると
限りなく透明に近いブルー(村上龍)、スティル・ライフ(池澤夏樹)、パーク・ライフ(吉田修一)が。
知らず知らずのうちに芥川賞に触れていたことを知れた一冊。
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本当に申し訳ないが、実は藤沢周平さんと思い、『こんな洒落たタイトルの本も書いてるんだ…』なんて思いながら手に取った。
『ブエノスアイレス午前零時』ままならない者どうしの一瞬の邂逅では、音が、動きが、見えたような気がした。
他作も読んでみたいと思った。