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国際金融の現場 市場資本主義の危機を超えて (PHP新書)
著者 榊原 英資 (著)
1997年夏、タイに始まりロシアに及んだ国際金融危機の本質とはなにか。日本はグローバリゼーションの波にいかに挑むべきなのか。国際金融の荒波に立ち向かう現職大蔵財務官の覚悟...
国際金融の現場 市場資本主義の危機を超えて (PHP新書)
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商品説明
1997年夏、タイに始まりロシアに及んだ国際金融危機の本質とはなにか。日本はグローバリゼーションの波にいかに挑むべきなのか。国際金融の荒波に立ち向かう現職大蔵財務官の覚悟と洞察。【「TRC MARC」の商品解説】
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大蔵省時代の榊原のアンソロジー
2009/08/18 00:39
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章 経済政策の現場
第2章 「改革」とは何か
第3章 アメリカとの付き合い方
第4章 実務家の条件
第5章 グローバリズムの光と影
著者は東京生まれ(1941年)。都立日比谷高卒業後,東大経済へ。同大卒業後,同大修士課程修了。大蔵省入省後,ミシガン大で博士号取得。大蔵省財務官(97~99年)。慶応大へ天下ったあと,現在は早稲田大のインド経済研究所の所長。(早田は榊原のためにこの研究所を捏造したんじゃないのか?)。 著書は,『進歩主義からの訣別』,『インドIT革命の驚異』,『新世紀への構造改革』(読売論壇賞特別賞)など雑本が多数。本書奥付けには“ない”けれど,一時期,埼玉大で教員をやってた時期がある。当時の上司とぶつかった結果で,今でも“ああ,あの上司とは意見が合いませんでしたねぇ”とテレビ番組中に明言するほど。「ミスター円」と俗称されるが,だからなんだ?! 大昔,日本経済研究センターに嘱託で勤務してた菊池くん(前出)によれば,“この官僚の言葉だと,実際に相場が動くんだよな(いままで日本で相場を動かすほどのプレゼンスを持った国家公務員はいなかったのにな)”。本書刊行時に,著者はまだ財務省に在籍していた57歳。
本書は,『発言者』(西部邁(編集長)),『日本の論点』,『エコノミスト』,『JAPAN CURRENTS』等を初出とするアンソロジー。主張にはその人の社会的かつ個人的な立場が反映されるという命題通り,官僚制度の存在意義が声高に主張されており,規制の意義を説いている。日本は経済的には小さな政府であり(鈴木淑夫(元日銀総裁)と同意見),政治制度的にも,官僚の権力は限定的であり,中央集権的とは言えないとしている(112頁)。本書題名に『現場』とあるように,大学所属の金融研究者の政策評価に“現場を知らぬ”というスタンスで反論している(だから現場経験のない大学研究者には不人気)。これは立場には関係ないんだろうけど,個人的嗜好としてマスコミに対して嫌悪感を示しており,これに同調する知識人に下した評価は低い。とくに田中角栄のロッキード事件以来,政府の政策実行力が格段に減退したと感じている。また,ジョージ・ソロスとかジェフリー・サックスとかマハティールとか,世界的な有名人がお友達。世界主義を標榜する国家主義者(と言っても右翼じゃない)。川勝平太(主著は『文明の海洋史観』,榊原との共著に『『地中海』を読む』)がお気に入りのようで,好意的な言及が散見される。
まぁアンソロジーだから本書に一貫性はなく,各雑誌の求めに応じて個別的偶発事件にコメント・評価・判断を下しているものを編集しただけだけど,著者の人となりはわかる。
2009年8月時点で絶版の模様。(1101字)