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紙の本
「文化と言語の間に因果関係はない」(378頁)
2009/11/23 03:42
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一章 序論―言語の定義
第二章 ことばの要素
第三章 言語の音声
第四章 言語の形式
第五章 言語構造の類型
第六章 歴史的所産としての言語
第七章 言語はいかに影響しあうか
第八章 言語と人種と文化
第九章 言語と文学
Edward SapirはドイツのLauenburg(現ポーランド領レンボルク)生まれ(1884-1939年,享年55歳)。5歳で渡米(90年)。16歳で奨学金を得てコロンビア大学に入学し,卒業(04年,20歳)。コロンビア大学でPh.D(09年,25歳)。テーマはインディアン諸語の研究。よくやるよなぁ・・・。指導教官は米人類学の父フランツ・ボアズ。職業分類では人類学者かつ言語学者。その後,ペンシルヴァニア大学,シカゴ大学,イェール大学に勤務。47歳のとき,イェールだけではなく,コロンビアからも招聘を受けていたらしい。「サピア・ウォーフの仮説」(言語相対性仮説)を提唱し,レナード・ブルームフィールドからZellig Harrisを経てノーム・チョムスキーに至る構造言語学を主導。ベンジャミン・ウォーフは弟子。本書_Language: An Introduction to the Study of Speech_,(1921,37歳)が彼の代表作。原文はttp://www.gutenberg.org/etext/12629で入手可能。訳者解説によれば,ユングの「集合的無意識」やルースベネディクト(イェール大学)による影響を受けているらしい。20世紀初頭に中国語やチベット語までもしていたらしい。すげぇ。本書刊行当時は,19世紀後半における研究諸分野での大革新(経済学(マルクス),心理学(フロイド),言語学(ソシュール)など)の余波の中であり,21年といえば国際連盟設立の翌年であり,日韓併合が10年,世界大戦が14年,ロシア革命が17年,27年が金融大恐慌という時代。大変な時代ではある。
副題に「序説」と冠しているが,本訳書は初学者に向けられるぎりぎりの専門書となっている。専門用語の多用は回避されている。「わたしは,文化と言語のあいだに,真の意味での因果関係があるとは信じられない」,「それは,ちょうど,形のきまった鋳型に,水でも,石膏でも,溶かした金でも流しこめるのと同様だ」(378頁)。そりゃそうだろうな。日本人が,自国文化が発展したらフランス語をしゃべりだすなんて考えてる奴がいたら,そいつはアホだ。
訳者は広島大学名誉教授。文学博士(名古屋大学)。関西大学専門部中退(1944年)。文部省英語教員検定試験合格(49年)。ロンドン大学留学(73年)。市河賞(76年)。英語語法文法学会賞(06年)。ああ,恥ずかしい! 本拙評を書くまで同訳者を“安西徹雄”と区別できていなかった!!
(1032字)