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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1998.11
- 出版社: 青弓社
- サイズ:20cm/252p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7872-3157-X
読割 50
紙の本
にっぽん心中考
著者 佐藤 清彦 (著)
日本人は昔から心中物に弱い。至純の愛の果てに、自由恋愛をつぶやきながら、戦後の虚無に包まれて、愛で偽装し、迷信とは知りながらも…。死を賭した凄絶な愛情劇を追跡・検証する。...
にっぽん心中考
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商品説明
日本人は昔から心中物に弱い。至純の愛の果てに、自由恋愛をつぶやきながら、戦後の虚無に包まれて、愛で偽装し、迷信とは知りながらも…。死を賭した凄絶な愛情劇を追跡・検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐藤 清彦
- 略歴
- 〈佐藤清彦〉1930年生まれ。早稲田大学文学部卒業。読売新聞社勤務を経て、現在、文筆業。著書に「贋金王」「おなら考」ほか。
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紙の本
物語化されるにっぽんの心中と歴史文化
2008/07/02 10:03
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
『にっぽん心中考』という大仰なタイトルをまつまでもなく、「心中」は、日本固有の文化の1つといってよいだろう。ことに、本書にまとめられたように、時代を問わず連綿と続いてきたドラマチックな心中の数々を目の当たりにすれば、その感はいよいよ深くなる。しかも、浄瑠璃や歌舞伎を想起すればたちまたい明らかなように、それは近代以降のものというに留まらず、この日本という風土において、あたかも伝統芸能のようにして受け継がれてきた文化ですらあるようなのだ。
ただ、本書が明らかにしてくれることは、心中がいつの時代にも普遍的なドラマであるばかりでなく、(個々人の事情と言うよりは)その都度の文化的・歴史的な背景に色濃く影響された、それなりに固有の出来事だということだ。ある時期には「純愛」が謳われ、大正には「自由主義」の空気の中で心中が行われもすれば、戦後の混乱は心中にそうした色彩を与え、例えば心中(未遂)歴で有名な作家の太宰治も、この時期愛人と入水を果たしている。さらには本書の枕におかれた、渡辺淳一『失楽園』をみれば、ポストバブル期の閉塞感とそれゆえの「不倫という名の純愛」への羨望が読み取れるようですらある。
本書は、『にっぽん心中考』は、そうした心中の諸相を歴史的に追うことで、日本の歴史をも照らし出した、いわば「心中から見た日本文化史」としてもたいへん面白い。
紙の本
『心中』は時代を映す
2001/06/10 01:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜来香 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治の初期から平成まで、状況も知名度も様々な心中事件を、たくさん紹介してくれる本。
読んでいて興味深かったのは、心中という行為の向こうに、その時代の空気がありありと現れていること。たとえば、昭和初期に起こった心中ラッシュの背景には、戦争を前にして『死を軽んずる』傾向があったし、最近めっきり心中事件が減ってしまったのは、昔ほど恋愛が切実なものではなくなってしまったから。紹介されている心中事件のうちで最新のものが、ホームページで知り合った男女の心中事件だったというのも、いかにも「いま」といった感じだ。
また、心中する男性にはある種のパターンがあって、みんなそうだとは断定できないものの、知的だがどこか弱々しい優男といった人たちが多い。十八歳の歌手と心中した(未遂だが)作家・中村進治郎など心中タイプ(?)の集大成みたいな男で、この手の男性が好きな方には、『優男カタログ』的な楽しみ方も出来るかもしれない。
ロマンティックな出来事がたくさん紹介されている本書だが、読了して感じるのは、やっぱり心中は卑怯で迷惑な行為だと言うこと。太宰治心中事件の現実(彼は自分だけ薬物を飲んで安らかに死に、心中相手は溺死させているらしいのだ)など読んでいると、心中に対するロマンティックな憧れも、ほどほどにしておいた方が良いという気持ちにさせられる。