紙の本
ありえざる植物の博物誌
2001/01/26 22:46
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sfこと古谷俊一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
変な本です。現実と平行して存在し、分析を拒否する植物体系……ってのを博物学的に書くというやつでして、まあ鼻行類とにたような種類の本ということになりますね。
作者は絵本作家として有名だそうで、著書の一つとしてあがっている『あかくん きいろちゃん』なる書名には聞き覚えがあるようなきがします。
現実と並行して存在し、現実世界に依存しない、認識の結晶としての植物って感じの説明がされていまして。そのあたりを多数の引用文献、執拗なまでに数量・年月を記載するところ、命名法などで、学術書風というか、学会誌にある研究史のサマリーのような雰囲気で書き綴ってあるところがいい感じです。挿話としてはいっている架空植物にまつわる架空の説話の再録というやつも、壮大過ぎずいかにも民族学的に収載された神話っぽくできています。現実世界に架空の存在体系を組み込むなら、これくらいにそれらしく書けていると良いんだろうなぁ。などと感じました。
投稿元:
レビューを見る
レオ・レオーニ展で色々な原画のほか、これら平行植物も見ましたが、造形が秀逸でした。しかしここまでこれらの植物についてバックグラウンドを固めていたとは
投稿元:
レビューを見る
…はじめて読んだ時は、あまりに難しくて途中からは好きな部分だけひろい読みをしてしまいました。次元を越えた妖しくもかわいらしい姿の植物群(なのか?)は、そのやわらかい鉛筆画を見るだけでも価値あります。もう少し本書に近づくためにキチンと再読します…
投稿元:
レビューを見る
架空の植物について論文形式で書かれている本で、実際これを信じちゃった人が多いらしいというんで面白そうと読んだら訳が悪いのか僕が馬鹿だからか信じそうも信じなそうも判断不能の難解さだった。という。
投稿元:
レビューを見る
たまにしか見る事ができない。ほとんど触れる事が出来ない、化石で発見することが出来ることがまれにある、そういった植物達。
投稿元:
レビューを見る
本国ではうっかり学術書のコーナーに置かれたことがあるらしい虚実織りまぜた『空想上の』植物学の本。
哲学色や植物学用語混ざって難しいですが、じっくり読むと面白いです。読む価値は十分にアリ!
投稿元:
レビューを見る
図書館から借りました
ファンタジー。
学術書っぽいが……どこに分類すべきか?
原題「La botanica parallela」
絶版、ではないだろうけれど、大きな本屋にも置いてなくて、取り寄せになるみたいです。(ちくまの目録には記載あるので買えるはず)
図書館で予約して借りました。
それは、黒い植物の学術書。渾身の、本当のような嘘の学問。(植物界に『黒い花』はないらしいことからこの色が選ばれたのだろう)。
時間と存在が切り離された、植物。触れたら、もろく壊れ去り、特殊な写真にしか映らず、色んな伝承を遺している。
幻想的。
形の奇異さより、その存在がたまらなくいい。その伝説が。
月光の中でしか浮かび上がらない、ツキノヒカリバナ。
遠近法を無視した時空にいるフシギネ。(遠くからみても、近くから見ても大きさが変わらない)
『植物であるまえに言葉だった』、夢見の杖。
ああ、この植物。レオ・レオーニ(個人)の創作であることが嘘のように、なんて厚い設定があるのか。
この植物を自分の作品に使いたくて、うずうずします。
一見の価値あり、とはお勧めはしません。(ぇ
ここまで褒めたけれど、本として楽しめる人は多くはないと思うのです。
(人気があったなら、図書巻で取り寄せた本が第一刷で、本屋には見当たらない、ということはないだろうから)
私も本として楽しんだわけではないのかもしれず(↑十分楽しんでるか?)、ちょっと読みにくいところはあるのですよ、やはり。
この書物は、無夜が構築する世界の補完に。
相対性理論の理解の手助けに(私はなったが)、しちゃったのです。
投稿元:
レビューを見る
あの有名な『スイミー』の作家さん。
まず前置きからして、専門的かつ深遠なことを言っているようで、まるで中身がないからすごい。
皮肉じゃない。褒めてる。
というか、それがこの本の素晴らしい所なのだ。
扱うのが実体がない「平行植物」ゆえに、前置きもそれに倣ってるのだろうか。
例えばこんな感じ:
「(羊を生んだ植物の例)あるいはまた、正真正銘の科学的実験の時代が始まろうとしていた17世紀に、クロード・デュレも動物を生んだ木について語っている、というふたつの事実を考えあわせてみれば、自然界のいかなる既知の法則にも拘束されない植物が発見されたことによって、必ずしも客観的正確さをもってそれらの新しい植物の本質を扱わない記述が現れたとしても不思議ではない」
簡単に言うと「この本は空想の植物について書いてるから、主観的だし想像を大いに羽ばたかせてるけど、その辺よろしくー」ということらしいが、周りくどさ半端なくてこんなん笑っちゃうよ。
植物の分類の話かと思ったら碁の対局に通信料がいくらかかったとか、地層の発見話に、怪しげな透視術を使う巫女がどうのこうのとか、ふざけた話が当然のようにまぎれこんでるのも面白い。
つづき:
http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2015/08/3.html
投稿元:
レビューを見る
平行植物という、架空の植物学を扱った本です。
最初の3分の1ほどが、哲学的な文章で、のこりが植物の解説になっています。
読み始めて、これは非常にとっつきにくいと思いました。
鼻行類と同じようなカテゴリの本だろうと読み始めたわけですが、植物に関することではなくて、哲学的な話ばかりだったのです。
設定的に、触れると壊れる、大半のモノが移設出来ない、通常見えないというものなので、植物の話というよりは、概念説明の哲学になってしまうようなのです。
植物自体の説明でも、そういう感じでした。
鼻行類みたいなものを期待していたので、非常にがっかりでしたね。
話としてはそれなりに面白いのですが、自分がしていた期待の方向と違ったのです。
中の文章に出てくる、地名は概ね実在のものだと思うのですが、結構な固有名詞が似たような言葉にもじられてます。
この辺も自分的にはマイナスポイントですね。
悪くはないけど、物足りないというところです。
投稿元:
レビューを見る
(*01)
平行という世界の形容にピンとこない読者も多いかもしれない。ありえたかもしれない世界、すなわちパラレルワールドとこの世界をつなぐ植物たちの物語といった副題を添えたいところでもある。
触らせてくれない、撮らせてもくれない、暗がりにあった方が美しい、生きているか死んでいるかも分からない、黒かったりメタリックだったりする、といった様々で天邪鬼な平行植物の特色は、どこかグラビアアイドルのようなオーラを放ち、これらの植物と読む者との間に一定の距離を置いている。
その距離に、曖昧さ、表裏、気体、透明、芸術、伝説、風俗(*02)が入り交じり、臆説が飛び交う。平行植物の各種の発見から採集、撮影、保管、展示に至る科学的蘊蓄は、20世紀までに科学が到達した地点からの知的な批評たりえる。要するに科学的な視点を小馬鹿にしていて、胸がすくような面白さがある。
(*02)
世界各地の風俗や風土も戯画化されていて笑える。現実の気候、地勢、植生、民俗などを織り込んまれたもっともらしいレポートとあるあるエピソードが伝えられ、その中に平行植物が点綴される様は、現代芸術的でもある。平行植物は、植物である点では環境という文脈に適合しているべきであるのに、どこか文脈や環境から浮遊している感覚は、優れて批評的である。
投稿元:
レビューを見る
この世の中には「平行世界」に属する植物があるということを知っている人がどれほどいるだろうか。
「スイミー」の作者として有名なレオ・レオニが、大真面目に「平行植物」の紹介をする。各種目撃情報はもとより、平行植物の定義、由来、何を持って「植物」と認定するかという議論まで語られ、愉快で深い想像世界が広がる。
一見、何の変哲もない棒に見える「タダノトッキ」、月光のもとでしか見られず、金属球のような実をつけるとされる「ツキノヒカリバナ」、世界各地の伝承に姿を見せる「夢見の杖」など、レオ・レオニ氏自身の手による挿絵を眺めながら目撃レポートを読み進めていると、だんだん平行世界と現実世界の境界が渾然としてくるのだ。
投稿元:
レビューを見る
童話作家のレオ・レオーニが書いた空想上の植物に関する本。平行とは並行世界の並行と同じ意味で、現実の植物とは別のタイプの植物が実は存在するという体で描かれている。文体は学術的書物の体裁を装っているが、自然科学的記載が徹底していた『鼻行類』と比べると、民俗学を中心とする人文科学的記述の分量が多い。植物版の『鼻行類』を期待しているとがっかりするかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
この本はフィクションです。
まあ、図を見ればわかるでしょうが
このような植物は各々の脳内にしか存在しないのです。
だからこそ「平行植物」なのですよ。
だけれどもまあ文献までも見事に
創作してくださっているのだから
驚きの一言です。
うっかり調べそうになりましたが
フィクションです、フィクション。
だけれども創造というもののすばらしさを
よく伝えてくれていると思います。
まじめな人には向かないけどね。
でもこういうまじめにおふざけは大好き。