紙の本
す、すごすぎる!
2002/07/29 00:19
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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
まさに「暗黒のLA四部作」のフィナーレを飾る大作!
ものすごいですわ!このシリーズ!!!
「暗黒のLA四部作」とはいうものの、
実際には「ブラックダリア」は、番外編のようなもので、
重要なのは、「ビッグ・ノーウェア」から。
ネタバレになるので、詳しい事は書けないのですが
本当にすごいんです!(これじゃあ、わからないですよね(^^;)
ホワイト・ジャズは、LAPDの刑事をしながら殺し屋をしている
デイヴィッド・クラインという刑事が語り手になって、
長い月日を賭けた宿命のライバルの争いを語っています。
ドラッグ、お金、女、犯罪と、まさにLAの暗部を
ものすごく切れ味のアル文体で、書き上げた渾身の力作と
言っていいでしょう。ただし、文体に慣れないと読了が辛いのは
確かなんですけどね…。でもシリーズを読み通した後の感動
(というと語弊があるかも知れませんが)には、ものすごいものが
あります。
とってもとっても重いんですが、ものすごくいいんです!!!
ぜひシリーズを通しで読む事をお勧めします。
紙の本
登場人物の誰も好きになれない『どいつもこいつも小説』
2001/11/09 13:50
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投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はエルロイの「暗黒のL.A.4部作」の最終章,1997年に公開されてアカデミ−賞の脚色賞,およびキム・ベイジンガーが助演女優賞を獲得した映画「L.A.コンフィデンシャル」(カーティス・ハンソン監督) に続く日々を描いた物語である。…つまり「L.A.コンフィデンシャル」は「暗黒のL.A.4部作」の第3作目だけを取り出して映画にしたもんなんである。
ヘビィな小説だ,馳星周絶賛,「暗黒小説」〜オレの定義では「登場人物の誰も好きになれない『どいつもこいつも小説』」の傑作である。前述の映画を観た人ならば,映画でガイ・ピアースが演じるエド・エクスリーと原作の印象の違いに驚くかもしれない。映画とはかなり展開も違っている (一応ネタバラシは避けておく) 。
600ページを超える大冊で,しかも文体も実験的なので,切れ切れにしか読めない環境では手を出さない方が無難かも知れない。
紙の本
切なさが光る
2001/06/03 19:26
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投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
このまま、異色作、になるのか、それとも代表作になるのか、あの退廃の話題作。誰一人、自分と似た人間が登場しない、誰一人知り合いに似た人間も登場しないような小説を、いまだかつて読んだことがあっただろうか。常識って何なんだ?たとえば町のはずれにある映画館で、インディーズ映画のカメラワークに映像酔いするときのような、あの文体の憎らしさ。映像の美しさにうっかり心奪われていると、終了後席を立つときふらつきます。いい意味でも悪い意味でも、実に気持ちの悪い作品。
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装丁もらいすき!!エルロイ先生のオニオンリングのようにカラっと揚がった暴力描写は妙な昂揚を引き起こします。アマゾンかなんかで「バケツの中の汚物をひっくり返したようだ」とか書いてあった。物語として読めない。呪詛のリズムに乗るばかり
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アメリカ文壇会の狂犬と呼ばれるジェイムズ・エルロイの作品。
よくキングとならび称されていたので気になって読んでみました。
電文体と呼ばれる説明を最小限まで省く文章は噂通りに読みにくく、
5回くらい挫折して返却してしまった。
この作品は暗黒のLA4部作の最後の物語で、LAの50年〜59年の間の最後の2年間が描かれています。
Wiki等で調べてわかったんですが、
登場人物、事件等は実際にあったものがほとんどで実名で出てくる人もありました。
ストーリーは主人公の汚職警官がLA市警の3つの派閥、検察、2つのマファアのファミリーの陰謀、策謀に翻弄されてゆくというもの。
登場人物と伏線が多すぎるのと、エルロイらしいと言えばそれまでになるけど内容と言葉が汚くて生理的に受け入れ難かった。
しかし読むのを挫折してみるもので、何度も読んだおかげで何十人と出てくる登場人物にも
きちんとした個性や表情があったり、伏線のひとつひとつを把握すると、
それに翻弄される組織や人物などが浮き彫りになるのにも驚いた。ジャンルはノワールとも犯罪小説とも言われているけど、どこかのレビューで見た”陰謀小説”という単語が一番しっくりときた。
ここ数年で一番読み応えがあり、作家に対して嫉妬と畏怖を感じ、また最高に面白かった作品でした。
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文章のカンジとかはこっちの方がスキ・・・。
ラストでどうしてか泣いてしまった。
(ちなみに「泣ける話」とはほど遠い)
そんなわけで(?)映像化とかあんまりしてほしくないな〜・・・なんて思うわけです。
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実は4部作のうちの1冊だったようです。他の巻から入れば前半部も読みやすかったのかも。アメリカ警察の腐敗を土台にしたノワール小説。はき散らかすような言葉と展開がリアルな事件と景色を広げる。最初はとっつきに喋り口がだんだん癖になって行きました。
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LA4部作ラスト。映画からLA4部作を見た人間としては、エクスリーの行く末が一番気になってたんですが…。
誰1人として単純な爽快感に浸れる登場人物がいないところが、逆にすごく好き。
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前後3作の内容を漠然としてしか覚えていないので、人物把握に多少の難があったものの、記号を多用した文章のテンポの良さで読み切ってしまった。
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「暗黒のLA4部作」ラスト。最後を飾るのにふさわしい大作。前作「LAコンフィデンシャル」を受けて世界の裏側で戦う男たちの姿を描く。文章が独特で、読んでいると軽い酩酊感を感じる。それに慣れれば一気に最後まで読める。複雑に絡み合った世界を最後一気に集束する手腕に脱帽。
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散文形式の詩的な文体についてはシャープであるし、この暗黒小説には非常にマッチしていると思うが、自分には同時に内容が頭に入りにくいものであった。
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ノワールの金字塔。過激な暴力描写、北野武の映画の登場人物も裸足で逃げ出す極悪人の数々、主人公の思考をそのままテキストでなぞったような激しい文体などが本書の特徴だが、一方で独特のユーモア、叙情、1950年代の米国西海岸のノスタルジアがあり、これが本書を単なる犯罪小説に留めず著者のエルロイをして米文学において独特の位置を占めさせるに至っている。
エルロイの「暗黒のロサンゼルス4部作」もいよいよ大詰めを迎え、ロサンゼルス市警の名物男にして腐敗警官を束ねるダドリー・リーアム・スミスとそれに立ち向かうエドマンド・エクスリーの暗闘も遂に頂点に達する。更に、ロサンゼルス市警を陥れ、カリフォルニア州司法長官選挙に向けた政治的得点を狙う連邦検事のウェルズ・ヌーナンが登場し、ダドリー・スミス、エクスリー、連邦の暴力に満ちた三つ巴の闘争が巻き起こる。主人公のデイヴィッド・クラインはこの三つ巴の暗闘にエクスリーの手先という形で巻き込まれ、才智と暴力を武器に、時に彼らを利用し時に彼らに利用され、丁々発止のやり取りを繰り広げながら生き残りを図る。
エルロイによる他の作品と同様、大勢の人物が登場し彼らが複雑な人間模様を描く。麻薬密売の元締めであり長年にわたってロサンゼルス市警と癒着しているカフェスジアンの自宅への侵入盗を皮切りとして奇怪な事件が次々と巻き起こり、読者は主人公クラインと一緒にあたかも迷宮をさまようかのように個性的な登場人物たちと事件の間を右往左往することになる。さんざんに振り回された分、物語の終盤に全ての事件が一本の糸——ダドリー・スミスとエクスリーの暗闘という糸に収束したときのカタルシスは誠に筆舌に尽くし難いものがある。
過激な暴力描写は冴えに冴えており、クラインはヌーナンの政治的得点を妨害するために彼の証人を窓から突き落として殺害してしまうわ、ヌーナンの政友を罠にはめて激しく殴打し出馬を撤回させるなどやりたい放題。特にブラス・ナックルをはめてヌーナンの政友をいたぶるシーンや、偽装誘拐を謀った男を拷問するシーンなどはぞくぞくしてしまう。
一方、ユーモアもある。冒頭、ノミ屋の根城となっている居酒屋をガサ入れする場面では、クラインの相棒、ステモンズ・ジュニアが鳥打ち用の銃弾を使うところを誤って通常の散弾を使ってしまい、居酒屋の窓ガラスを粉々に砕いたばかりか中にいたメキシコ人の指を数本吹き飛ばす。居酒屋は大混乱。ここでジュニアは「弾を間違えた」。
文句なしの星5つ。読書の原始的な喜びを思い出させてくれる傑作。最高です。
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まさに燦然と輝く金字塔。記号の多用で極限まで削られた文節はしかし、下手に饒舌な文章よりはるかに巨大なプレッシャーを持って読む者に迫る。落ちていく主人公の行動は妄念に溢れ、そこに論理的説得力は一切なく、記号の羅列から風景を読み取る行為と同様に彼の意味を推し量らせようとする。
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ブラックダリアから2冊目のエルロイ。この文体はエルロイフォロワーの冲方著「マルドゥック・ヴェロシティ」で体験済み。
正直いってなかなか人名が覚えられない。馴染みの薄い外人の名前なのに愛称もあって誰がなにをしているのか分からない。読み終わった今なら大分分かるが…。
物語に熱があると称される本作。エルロイの筆致は熱い。しかし女が出てきて女のために身を投じて犯行動機は女で…とセックスと暴力が混じり合ったものが人間の根底にあるとするエルロイの主張。ちょっと合わない。
電報体の文体で情報量が多いのにページも多い。ちゃんと知るには再読が必須だと思うが重たくて気軽によめない。
おもしろかったが、ドラッグみたいな本。内容をすっとばしてトリップした感覚だけが残る。それも自分の中の破滅的な感覚が呼び覚まされる薬。
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内容(「BOOK」データベースより)
異様きわまる侵入盗―切り裂かれた衣服、惨殺された番犬。被害者は警察と癒着した大物麻薬密売人。上層部の命で捜査にあたる悪徳警官クラインは、全てを操る巨大な陰謀に翻弄され、破滅してゆく。脈打つ暴力衝動、痙攣し暴走する妄執、絶望の淵で嗚咽する魂―ミステリ史に屹立する20世紀暗黒小説の金字塔