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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1999.4
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/378p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001675-3
紙の本
血の流れるままに (Hayakawa pocket mystery books リーバス警部シリーズ)
エジンバラ市長の娘が誘拐された! リーバスらが追いつめた容疑者の二人の少年は、川に身を投げ自殺してしまった。それからほどなく、ある区議員の前で元受刑者が自殺。三つの自殺に...
血の流れるままに (Hayakawa pocket mystery books リーバス警部シリーズ)
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商品説明
エジンバラ市長の娘が誘拐された! リーバスらが追いつめた容疑者の二人の少年は、川に身を投げ自殺してしまった。それからほどなく、ある区議員の前で元受刑者が自殺。三つの自殺に関連はあるのか…?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
イアン・ランキン
- 略歴
- 〈ランキン〉1960年スコットランド生まれ。エジンバラ大学卒業。さまざまな職業を経て、作家に。97年「黒と青」でゴールド・ダガー賞受賞。
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紙の本
ハードボイルド警察小説を英国風にアレンジしたシリーズ
2001/05/18 06:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『黒と青』で、しきりにリーバス警部が「飛ばされた」というような話が出ていたが、この物語で描かれているのが、その飛ばされる原因となった事件だ。『黒と青』を読んだのが、つい最近だったから読む順を間違えちゃったなぁ。この物語を読んだ後だったら、少しは印象が変わったかもしれない。しかし、ひどいよ>早川書房。いきなりシリーズの8作目が翻訳されて、本邦2作目にあたる本作が7作目。巻末の訳者あとがきによれば、この次刊行されるのはたぶん9作目(^^ゞ。いったいぜんたいどういうことでぃ!! 考えらんない。
これを読む限り、リーバス警部シリーズは立派なハードボイルドと言えそうだ。孤軍奮闘する一匹狼ぶりは『黒と青』よりも鮮明で、リーバスの持つ人生観、倫理観、アウトローぶり、捜査方法、ついでに上げるならリーバスの軽口など、どれを取ってもハードボイルドとしての要素を備えている。悩める姿はネオ・ハードボイルドのヒーローたちとも共通しているし。そして、そこに加えられる英国ミステリのテイストが、複雑を極める本格物っぽいプロットである。『黒と青』でも驚いたんだけど、なんとまあ複雑なプロットを作る作家だろう。一時も気を抜けない。しかも、登場人物がえらく多い…(^^ゞ。難物でありました。
全体的な印象は、『黒と青』よりもいいみたい。季節感たっぷりのスコットランドの雰囲気も、慣れたせいかこちらの方が良いような気がするし、リーバス警部らしさに関してもこちらの方が上のような気がしている。アウトローぶり、一匹狼ぶりが際立っているのだ。ただし、同じ警察小説のハードボイルドと比べると、ちょっと弱いかな。比べたのは、マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ物と、ジェイムズ・エルロイのロイド・ホプキンズ物。彼らに比べれば、リーバスはまだまだ甘いな(^^ゞ。上司の横槍、捜査妨害、その辺に甘さが感じられてしまうのだ。リーバスの性格を分かっているくせに休暇なんか与えちゃうしね。リーバスの崩れ方も甘い。その辺が英国ミステリたる所以でありましょう。乱暴者のアメリカ人と比べたらかわいそうか。
シリーズ物のおもしろさは、主人公を取り巻く状況の変化や、主人公自身の変化にあるのだ。繰り返して言うが、そういう楽しみを奪われるのは腹立たしい。こういう刊行の仕方は許されないぞ。ボブ・リー・スワガーのシリーズよりはマシかもしれないけどね…(^^;;;)。
紙の本
音楽小説でもないのに、ロックが盛りだくさんなんて
2002/08/27 21:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ランキンの警察小説を読んでいて、逢坂剛の公安シリーズを思い浮かべたらおかしいだろうか。たしかにリーバス警部シリーズには派手な銃撃戦もなければ、謀略といった部分もない。だけど、権力を巡る警察官の欲望や、それに対する反抗心、音楽についての描写は似たような熱気がある。無論英国らしい微妙なユーモアでは一歩引けを取るけれど、逢坂にはお茶の水署シリーズという爆笑ものがあるのだから、いい勝負だろう。
ランキンでは英国推理作家協会賞を獲った『黒と青』も読んでいるけれど、その前の作品にあたる今回の作品(ややこしいけど日本での出版の順の問題)も文句無しにいい。組織が上手に描かれていて、それに政治が絡んで、内部の欲望や家庭の問題があってと相変わらずの大盤振る舞い。それが実にうまくまとまっている。
エジンバラ市長の娘が誘拐された。犯人を追跡していたリーバス警部の目前で、身の代金を要求する若者二人は、川に身を投げてしまう。現場に残された車には、娘の姿は無い。被害者の父親が権力者であるだけに、彼への風当たりは強くなる。今回も前作同様、リーバスは警察の機構そのものに反逆し、ハムレットのように悩む。現代の組織が抱える問題をうまく小説に溶け込ませ、共感を誘う。
丁度今、P・ラヴゼイのダイヤモンド警部シリーズを読み始めているが、ここにも同様の設定がある。警察が問題を抱えている時代の表われだろうか。女性陣がいいのも現代ならではのことかもしれない。リーバスの部下のクラーク、娘のサミー、市長の娘のカースティたちは、みな人間として苦悩しているが、それでいて実に活き活きとしている。
ネルソン・デミルの『プラムアイランド』に比べると、主人公がより屈折して、知的な印象を与えるのは作者の生まれた国の違いかもしれない。好みの問題はあるが、百点満点でいえば115点くらいはつけたい。前作『黒と青』も同様のレベルにある。それにしてもリーバス警部ものをTV化している英国人は偉いとしか言いようがない。