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評価内訳
2006/06/03 12:27
投稿元:
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歴史の表舞台に立たされ、歴史の波に翻弄されたヒロイン、ヒーロー達の数奇な運命を辿り、後世に語り継がれたイメージとは異なる真実の姿を、歴史家や作家らと共に探訪している。 本作は元々、NHKテレビで対談形式で放送されたものを一冊の本にまとめられたものだが、実際には対談ではなく、別撮りであった為、お互いに顔を向き合わせた場では言えないような相手とは全く違った自説でも、忌憚なく語る事ができたよう で、読み手側も対談者同士の違った見方が其々に参考になる、面白い作り方になっている。 内容は、「孝謙・称徳女帝」「梶原景時」「鎌倉」「北条政子」「太田道灌」「足利義政」「足利義昭」「お市の方と淀殿」のラインナップになっている。 永井路子自身、歴史作家としての原点が鎌倉期なので、専門時代中心と言った所か。 「孝謙・称徳女帝」は一人の女性で、藤原家から嫁いで初めて皇后となった光明皇后と聖武天皇の娘で、女性でありながら皇太子となり、孝謙天皇として即位した。その後、一端、淳仁天皇に譲位するものの同族の藤原仲麻呂との不和により二人を追い落とし、再び称徳天皇として即位する。弓削道鏡とのスキャンダルで有名な人だが、その真実の姿はどうだったのか。彼女の生立ちや性格、歴史的な背景などから追求していて、新しい 一面を教えられた。 その他、「梶原景時」や「足利義政」「足利義昭」などは、歴史上の人物の中では一般的には評価が低い人たちだが、実際のところはどうだったのか。そう言ったイメージは「勝てば官軍」的な後世に作られたイメージではないのか、という点が示されていて、非常に興味深く、面白く読めたし、かなり参考になった。「北条政子」や「お市の方と淀殿」も、世間的には激しい女性、ってイメージが強く、どちらかと言うと、あまり良いイメージではないが、この人達も見方が変ると思う。 これらの作品を通して、一番感じたのは、やっぱり歴史の流れである。 昔、大学の日本史のレポートで、『武士の成り立ちとその意義』って課題が出された時、調べれば調べるほど難しくて、その代わり大分勉強にもなったんだけど、この本では丁度この変革期の時代が描かれていて、武士の萌芽のようなモノが、すでに最初の孝謙女帝、つまり奈良時代には出来てきていたんだな、って言うのを改めて認識させられたように思った。出来てきていたのは文献上ではわかっていたが、その詳しい背景に関しては、詳しく書かれている文献があまり無く、今回、庶民的な流れのような、政治を直接に 動かしているのは政治家だけど、そのバックボーンは庶民なんだ、って事を実感させられた。そして、流れとしての歴史を捉えていくと、それはいつの時代でも変らないのだという事も。
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