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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1999.9
- 出版社: 草思社
- サイズ:20cm/358p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7942-0886-3
紙の本
ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖
五十年に一種以上という驚くべきペースで新種の魚が生まれてきた、アフリカ最大の湖ヴィクトリア湖。「進化の実験場」ヴィクトリア湖と、三百種以上に分化し、今も進化を続ける驚異の...
ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖
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商品説明
五十年に一種以上という驚くべきペースで新種の魚が生まれてきた、アフリカ最大の湖ヴィクトリア湖。「進化の実験場」ヴィクトリア湖と、三百種以上に分化し、今も進化を続ける驚異の魚シクリッドを研究者の目を通じて綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ティス・ゴールドシュミット
- 略歴
- 〈ゴールドシュミット〉1953年オランダ生まれ。国立ライデン大学、国立芸術アカデミーで学ぶ。ライデン大学動物研究室の教官を経て、現在、著述業に携わる。
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紙の本
驚異的なスピードで進化するアフリカ・ヴィクトリア湖の熱帯魚,シクリッドの進化の秘密をめぐる物語
2000/07/22 06:15
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投稿者:鈴木 康之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1万2500年前には干上がっていたことが分かっている東アフリカのヴィクトリア湖には,最大時で500種のシクリッド類(現地名はフル)という熱帯魚が生息していた。DNA分析によって1つの種から分化したことが明らかであり,おおよそ25年以内に1種類の割合で新種が生まれてきたことになる。ダーウィンが唱えた自然選択による進化の現場が実際にこの目で見られるかもしれない場所なのだ。
シクリッドは,雌が口の中で卵をかえすなど不思議な習性をもった熱帯魚で,観察もしやすく,一般の人気も高い。オランダ人の学者ティス・ゴールドシュミット氏は1980年代初めからタンザニアのヴィクトリア湖畔で5年間を過ごし,シクリッドの生態を観察し,その進化の速さの秘密を解き明かそうとした。
本書は,その経験をもとにまとめたものだが,読み始めると,空港でうろうろしていて,スパイと間違われたり,マラリアで入院したりと,なかなか本題のシクリッドと進化の話にならない。この本はオランダで最優秀科学書賞を受賞するとともに,文学賞の候補にも上がっていて,科学啓蒙書であると同時に優れた文学作品でもあるのだ。マラリアで入院した話も,単なるアフリカで体験したエピソードではなく,血液に寄生したマラリア原虫から,自然選択の話へと移っていく。シクリッドは,雄が雌を引きつけるために美しい色彩をしているが,その話も,タンザニアの男性が花嫁を得るための話とつながって分かりやすく語られる。
アフリカでの体験と,ヴィクトリア湖での研究が渾然一体となった,ひとつの旅行記であり,物語であると同時に,進化と自然選択の解説書である。シクリッドの進化の秘密にまつわる最新の情報も盛り込まれている。科学に関心のある人だけでなく,ノンフィクションの好きな人,旅行記の好きな人,アフリカに関心のある人など,幅広く楽しめる本だ。また,英国人が持ち込んだナイルパーチによって,シクリッドの絶滅が心配されていることも取り上げ(事情は日本のブラックバスと似ている),環境破壊について考えさせる本でもある。
(C) ブックレビュー社 2000