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商品説明
いったいどうすれば「いい考え」が浮かぶのか? 考え方のコツ、究極の読書法、文章の極意の具体的、実践的なテクニックを丸谷才一が直々に伝授。『本の話』連載をまとめたもの。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
丸谷 才一
- 略歴
- 〈丸谷才一〉1925年山形県生まれ。東京大学英文学科卒業。作家。「たった一人の反乱」で谷崎潤一郎賞、「忠臣蔵とは何か」で野間文芸賞受賞。ほか、著書・受賞多数。
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紙の本
たとえば新聞に載る随筆、最後まで読みますか?
2004/06/24 06:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在。朝日新聞に月一回。丸谷才一さんが連載をしております。
題して「袖のボタン」。
新聞・雑誌の連載は、あとで単行本になりますね。
たとえば、丸谷さんの場合。講演「ゴシップ的日本語論」は
雑誌「文學界」2003年9月号に掲載。
次の年の2004年5月に単行本になりました。
それじゃあ。
「袖のボタン」は、これから連載がどのくらい続くのでしょう。
たとえば、2004年6月1日の「袖のボタン」は映画の試写を見た話でした。
こうはじまっております。
「『フォッグ・オブ・ウォー』(9月公開予定)を試写で見た。エロール・モリス監督の映画でアカデミー賞受賞作。マクナマラ元国防長官がほとんど出づっぱりで、回想し、証言し、反省する。」
むろん。元国防長官の人となりもさりげなく、文中に紹介しております。
「マクナマラはフォードの社長、アメリカ国防長官、世界銀行総裁を勤めた人物だから、貫禄十分のしたたかな大物で、気働きがすごいし、はぐらかしや言いのがれや空っとぼけが巧妙を極める。」
その人が映画でどのように証言しているか。
それが、今回の丸谷随筆の眼目でした。
「なかに日本とのいくさの思い出もまじる。戦争末期、若いマクナマラはグアム島にあって、司令官ルメイの指揮下に、統計将校として働いていたのだ。東京大空襲について彼は言う。『たった一晩で、われわれは十万人の民間人ーー男、女、子供を殺した。戦争に勝つためなら一晩に十万もの民間人を殺していいのか。戦争が終ってから、ルメイはぼくに言った。もし敗けていたらおれたちは戦争犯罪人だね、と。その通りだと思う』。」
そのあとに丸谷さんの感想が来ます。
「わたしとしては、彼が最近の世界情勢によって心を刺激され、同時代史と自分史を兼ねるものにおけるアメリカの行状をいちいち検討してゆくうちに、45年3月10日までさかのぼったような気がして仕方がないのである。ベトナム戦争の話の途中にとつぜん日本のことが出て来るのはそのためだろう。たぶん彼はあやまちの発端をそこに見たのだ。…これだけの切れ者が、世間的な分別は身につけたまま、しかし罪をあがなおうとする。それは生身の人間のする偉大な行為だという気がしたのである。…」
ところで、丸谷才一著「思考のレッスン」(文庫本もあります)。
その最後は、レッスン6「書き方のコツ」でした。
そこで、丸谷さんは語っておりました。
「文章で一番大事なことは何か?
それは最後まで読ませるということです。
当り前のようだけど、これがむずかしい。
たとえば新聞に載る随筆、最後まで読みますか?
みんなたいてい途中でやめるんじゃないかなあ。」
そして「思考のレッスン」の最後は
こう終っておりました。
「言うべきことをわれわれは持たなければならない。
言うべきことを持てば、言葉が湧き、文章が生れる。
工夫と習練によっては、それが名文になるかもしれません。
でも、名文にならなくたっていい。
とにかく内容のあることを書きましょう。
そのためには、考えること。そう思うんですよ。」
紙の本
丸谷才一の評論、随筆の面白さの秘密が解ったような気になる
2003/02/09 17:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の小説は2冊しか読んだことがないが、4月中旬の若葉が萌えだした大木の先端の枝を、透かし見るような印象をもっている。明朗、透明で、しっとりとした落ち着きと暖かさがある。小説以上に、評論、随筆に興味と関心を持っている。この本を読んで、丸谷才一の評論、随筆の面白さの秘密が解ったような気がする。インタビューを採録したものであり、語られる内容が身直に感じられ、本の選び方や読み方について、色色と教わることが多い。読書のコツとして、ひいきの批評家をつくれ、ひいきの学者をもて、という指摘は良く理解できる。題名どおり、本を読むコツだけでなく、考えるコツ、書くコツについても、著者の考え、経験を述べている。
紙の本
人間は考える葦であったはず
2002/07/31 00:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
知的生活というのは時代の要請でたびたびブームのような広がりを見せるが、実際には生きて行くすべてが知的生活といえる。若い時代の勉学といい、働き出してからの専門知識といい、どうも人間は生涯知的生活をおくる動物らしい。
ところがどうも本さえ読んでいれば知的生活を送っていると勘違いしている気配がある。本当はもっと考えなければいけないのだ。何しろ、古代より人間は考える葦であるのだから。
この丸谷才一さんの本は知的生活にうってつけの本である。こういう本を読むと、本の代金よりもずっと得をした気分になる。ずばり、いい本です。
紙の本
文筆家になるためのレッスン、または批評家丸谷才一の楽屋裏
2010/02/18 17:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風紋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
しょっぱなから、すごいことが書いてある。「正しくて、おもしろくて、そして新しいことを、上手に言う。それが文筆家の務めではないか」
文筆業者でなくてよかった、こんな芸当は自分にはとうていできない・・・・などと慌てないように。すぐ後に、この四拍子が全部そろうのは難しい、とつけ加えられている。せめて新味のあることを言うのを心がけよ、と。たしかに、夫子自身はオリジナリティあふれる文章を書きまくっている。
では、その秘訣は何か。これが本書のテーマである。
6つのレッスンで構成される。すなわち、(1)思考の型の形成史、(2)私の考え方を励ましてくれた三人、(3)思考の準備、(4)本を読むコツ、(5)考えるコツ、(6)書き方のコツ、である。
誰にでもできる具体的なレッスンがある。(4)の「本を読むコツ」から例をひこう。
読みながら、人物表や年表を作るのだ。人物表とは、ハワカワ・ミステリーの最初に用意されている登場人物一覧表のようなものである。これを自分で作る。登場人物の関係図を作ると、理解が深まる。同様に、年表も自分で作り、関係する事項を追加していく。
しかし、こうしたテクニックより興趣がまさるのは、丸谷が著作をものするきっかけである。
たとえば、丸谷が少年時代にいだいた二つの疑問だ。その一つは、「日本の小説は、なぜこんなに景気が悪いことばかり扱うんだろう」というもので、これが後年批評家として大成する出発点となった。
疑問の力はおおきい。
日本文学史の本はみなつまらない、という不満を丸谷はかねてから抱懐していた。ある日、英国人が詞華集を好きなのはなぜか、という疑問が湧いた。英国人が引用好きなせいではないか。いやいや、日本人も明治以前には詞華集が好きだった、勅撰集や七部集があった。今はよいアンソロジーがない、共同体の文学が失われた。待てよ、これを使ったら日本文学史の時代区分ができるのではないか。・・・・という思考の流れがあって、政治的時代区分を借用していた従来の文学史を一新する『日本文学史早わかり』が誕生した。
このあたりも、本書で定式化されている。
つまり、第一によい問いを立てること。
第二に自分自身が発した謎をうまく育てること。
そして、これは文章を書くコツにつながる。問いがあり、謎を育てていくうちに言いたいことが出てくるし、言うべきことを持てば、言葉が湧き、文章が生まれるのだ。
本書は、ハウツー的な発想法としても読めるが、批評家丸谷才一の楽屋裏をのぞくのに格好な本である。
紙の本
言うは易く
2002/07/25 14:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
丸谷才一の本は彼のその知識の質・量に圧倒され、しまいに鼻についてくるのが常なのだが、この本も例外ではない。
但し、もちろん参考になることも書いてある。例えば、「書き方のコツ」のところにはこんな文章がある。
『ものを書くときには、頭の中でセンテンスの最初から最後のマルのところまでつくれ。つくり終わってから、それを一気に書け。それから次のセンテンスにかかれ。それを続けて行け。そうすれば早いし、いい文章ができる。』
これは参考にはなるが、実践するのはなかなか難しい。