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- カテゴリ:小学生
- 発行年月:1999.10
- 出版社: ほるぷ出版
- サイズ:23×28cm/32p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-593-50397-3
紙の本
シェイカー通りの人びと
著者 アリス・プロベンセン (作),マーティン・プロベンセン (作),江國 香織 (訳)
シェイカー通りに住む人々は気ままな人たちばかり。家は質素だし、庭にはがらくたがたくさん。子どもから大人まで、みんなが助け合って生活していました。しかし貯水所建設のために、...
シェイカー通りの人びと
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:21,463円(195pt)
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商品説明
シェイカー通りに住む人々は気ままな人たちばかり。家は質素だし、庭にはがらくたがたくさん。子どもから大人まで、みんなが助け合って生活していました。しかし貯水所建設のために、シェイカー通りを去ることになったのです。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
アリス・プロベンセン
- 略歴
- 〈アリス・プロベンセン〉1918年生まれ。夫のマーティンと共に絵本を制作。作品に「パパの大飛行」など。
〈マーティン・プロベンセン〉1916〜87年。妻のアリスと共に絵本を制作。作品に「動物げきじょう」など。
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紙の本
地味さが際立っている絵本。甘っちょろい感傷を排除して「時」の無常さを表現した絵本。
2001/04/14 20:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
翻訳者の江国香織さんが『絵本を抱えて部屋のすみへ』で明らかにしているが、一度、ぜひ訳したいと某出版社に申し出てみたところ、地味すぎるからと一蹴されてしまったという。
確かに地味すぎる。地味さが際立っていると思う。
「シェイカー」と表記されているが一般には「シェーカー」と書くことが多い、このキリスト教の一派は「手は仕事に、心は神に」という主義で簡素な生活を重んじ、労働を通じて神に奉仕することを喜びとした。その敬虔な生活姿勢と魂のありかは、ロバート・ニュートン・ぺックの名著『豚の死なない日』『続・豚の死なない日』でよく表現されている。
米国には現在ほとんどいなくなってしまったようだが、日本では『牧場物語』などの著書もある藤門弘さん主宰のアリス・ファームがその生活を実践している。このグループはシンプルなシェーカー・スタイルの家具で有名である。
物語は実に淡々としている。
古い農場に住む年とったハーキマー姉妹が、生活のため農場を少しずつ売りに出すことにした。安い土地だったので、ほんの1、2年でシェイカー通りには家がずらり建てられる。その家の住人たちが一軒ずつ紹介されていく。
バラック風の家の裏にはがらくたがいっぱいで、つましい彼らの生活は周囲の住人に差別的な目で見られていることもわかる。
ある時、その土地に貯水所ができることになり、シェイカー通りの人びとは立ち退きを言い渡される。彼らは、次つぎに引っ越していく。
土地にはブルドーザーが入り、水が張られていく。残ったのは、元の地主だったハーキマー姉妹の家だけ。ひとりのおじいさんだけが、飼っている動物たちと一緒にボートでの水上生活を始めた。
この土地に起きた変化が、感情を取っ払ったような事実の羅列だけの文章表現で説明されていく。
つけられた絵の色調はアーシーで、青空も青葉さえもグレイッシュなのである。それは、出てくる人びとがまるで大地の一部であるかのような印象すら与える。表情も大地に溶けているかのように見える。
決して使われている色の数が限られているわけではなく、かえって豊かでさえあるし、家や家具や道具の描きこみだって丁寧なのだが、やはり全体を通しての印象は地味である。
まるで、物静かで寡黙な人と夜中にお茶を飲んでいるような気配がただよっている。お互いに同じ時間を共有できたという実感だけが後に残る。
「時は過ぎていくのだよ」という無常感−−と表現すると、絵本に理屈や説明をつける必要などないという批判を受けそうだけれど、むなしくもなく、無理に前を向くでもない、単なる「無常」が私には感じられた。
人には、そういう気分にひたりたい時がある。自分の地味さを意識していたい時もある。