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商品説明
夢に生き、夢に滅ぶ。潰えれば、死。その覚悟があるだけでいい。動乱の時代に、悪党の活路を求め500の兵で天下を動かした男、河内赤坂村の一介の悪党、楠木正成の生き様を描く歴史小説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
北方 謙三
- 略歴
- 〈北方謙三〉1947年佐賀県生まれ。中央大学法学部卒業。81年「弔鐘はるかなり」でデビュー。著書に「夜を待ちながら」「風待ちの港で」「白日」ほか多数。
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紙の本
悪党の活路とは…楠木正成の闘い
2000/08/06 01:41
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投稿者:(格) - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃に読んだ智略を尽くした千早城の戦い。それを北方がどう料理するか、などの興味で読もうとしたが、その期待は裏切られる。戦いの描写は少ない。それはどうでもいいのだ。
たしかに凄まじい戦いなのだが、結局、勝敗がつくことなく、この戦いは終わる。足利高氏の旗揚げによって、京はあっさり落ち、戦いは終わるのだ。そしてこのことはそれ以上の意味を持つ。帝をいただく悪党と武士の戦い。武士をなくし、新しい国の形を打ち立てようとする正成の戦いはそこで負けたのだ。その後、一度だけ大塔宮を救おうと意志を奮い立たせようとするが、高氏に読まれて失敗する。倒幕の終了以降は正成にとって、もうどうでもいいことなのだろう。あるいは、まだしも高氏に世の中を任せることが次善の策であると思ったのか。どうせなら、湊川まで描いて欲しいとは思うが、それは、そのときの高氏の気持ちを描いてほしいから。いずれにしても、倒幕以後は、正成にとってつけたしだ。
大塔宮のあまりの理想を追求する姿勢よりも、高氏の男の大きさに惹かれる。北方の創作は明らかだが、『俺と手を組まぬか、正成?』のセリフには震える。『破軍の星』北畠顕家のかっこよさにもしびれる。新田義貞はそれほど小さな男だったのか。後醍醐は意志だけが強い、それほどの暗愚な存在だったのか。かなり大胆な解釈のような気もするが、物語の中でこれらは自然に描かれている。
そして、楠木正成。始めは利だけ。悪党として生き延びるための闘いだと言うのだが、またそのためなのかもしれないが、結局は国の新しい形を作る、帝のもとに国を造る、という考えのもとに立つ。結局、朝廷のあまりのひどさを知り、それが100年早いということがわかり(実際にはもっとだったが…)、夢破れる。このような思考は三国志の劉備の考え(あくまで北方の)に似ている。無論、最後には自ら帝になる劉備とは違うのだが。