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紙の本
東海村での臨界事故を踏まえ,防災基本計画を刷新。自然災害や事故への対処法を示す。関係者必携
2000/12/01 21:16
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投稿者:木村 智博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1995年1月の兵庫県南部地震を踏まえ,同年7月に防災基本計画が大幅に改訂され,さらに1997年6月に航空,道路,危険物などの事故災害に関する項目が新たに策定された。このように防災基本計画は随時,改訂される。今回,2000年5月に出された計画は,1999年に東海村で発生した臨界事故の経験を踏まえ,原子力関係の災害対策の充実を図ったものである。
本書は最新版の基本計画を収録したもので,今後の防災対策を都道府県・市町村レベルで策定する際の参考になり,また,企業が危機管理を充実させるためのバイブルとなり,町内会や学校レベルでは防災教育,ならびに防災訓練を実施する際の手本になる。さらに個人が利用する場合,防災グッズの点検の必要性,防災意識を養ううえで有益である。一見,活字が多く,取っ付きにくい印象を持つが,国民各層が防災意識を持ち,日頃から災害に備えるための指針が示されているので,広く活用されることが期待される。
最近の防災基本計画の流れで注目されるべき事項として,インフラや施設の安全性に加え,迅速な避難・誘導の実施の項目が挙げられる。今回の基本計画で扱われている事項は前述した原子力災害にかかわる計画については,災害予防,災害応急対策,災害復旧の各段階ごとに実施すべき措置,施策などについて詳述されている。
本基本計画の全体的な構成は,目的や基本方針などを記した総則,震災対策,風水害,火山災害,雪害の各対策,さらに海上,航空,鉄道,道路,危険物など,大規模火災,森林火災,原子力などの事故災害を扱っている。各々,災害予防,応急対策,復旧・復興の段階ごとの対策の趣旨が記述されている。通常,都道府県が発行する『地域防災計画』では震災対策編と風水害対策編にまとめられ,種々の災害が存在する点が見えにくい場合が多い。しかし,本書ではさまざまな事例を掲載しているので,危機管理に際しては複眼的視野を持つことの重要性を認識させられる。また,津波などの複合災害の危険性にも言及している。
(C) ブッククレビュー社 2000